プリッシュ!
あ、みんな!ひっさしぶりだなー!
すげえ退屈してたんだ!みんな、俺の部屋によくきたぜぇ!
プリッシュ殿、元気そうでなによりでござる。
広い部屋だけど、この広さでは我慢できそうにない性格なのに、慣れっこなんだろうな…。
しかし、今回のこと、まことに申し訳ない。プリッシュ殿がタブナジアに戻られた後、このような目にあうとは露とも思わず、タブナジアへの案内を気安く頼んでしまったでござる。
いやー、俺も、こんなことになるとは思わなかったぜー。
罪人りぃをかくまってやろうと思ったのに俺が捕まっちまうなんてなぁ。しかも、ござるのおっちゃんまで心配させちまって、わりぃわりぃ。
何もしてないってばぁ。
みんなもう知ってると思うけど、実は、俺は「忌むべき子」って言われててさ、ちょっと前まで大聖堂に閉じ込められてたんだ。
ミルドリオン様がタブナジア大聖堂のお偉いさんになってからは、大聖堂の外に出ることも許されて、けっこう楽に暮らしてたし……
戦争が起きてからは俺の戦力がみんなの役に立ったから大目に見てもらえたんだけどさ。
今またこうなると、なかなか出してもらえなくてさぁ。うーん、参ったぜー!
プリッシュ。あなたは忌むべき子などではありません。昔の事故で少しだけ、人とは違う体になってしまっただけ。それだけのことです。
人とは違う体、でござるか?あのアミュレットを失うと、倒れてしまったことでござるか?
デスパシエール殿から、プリッシュ殿は重い病にかかっていると聞いたのでござるが……。
……それは……
ござるのおっちゃんは、にっぶいなぁ。りぃなんかは、とっくに気づいてるだろ?
えっ、あ、うん…。
そうさ、俺は何十年もずっと、この姿のまま年をとらねぇんだ。
ヌヌ!な、なんと!?
実は俺、タブナジア大聖堂の地下に安置されていたあるものに近づいちゃったことがあってさ。そしたら、いきなり、どっかーんと光って、気がついたらこのざまさ。
魔晶石の白い箱かな。
俺がタルタルだったら問題なかったんだけどさぁ、俺はエルヴァーンだったから、大問題に発展しちまったってわけ。
た、確かに。
タルタルだとばれないかも。
ううむ、そのようなことがあるとは……驚いたでござる。
しかし、それで「忌むべき子」と呼ばれることになろうとは……
……!もしやまさか、そなたは不老のみならず?
……不死かどうかは、俺にもよくわからねぇけどな。
けれど、モンスターの奴ら、俺には手を出してこねぇから、ある意味不死に近い存在とは言えるんじゃねぇかな?
モンスターが手を出してこないとな。
ウムム……。ひんがしの国の王は、何代にも渡り、不老不死の術を探しつづけてきたでござる。それがこのように目前にあるとは。なるほど、だからこそ、デスパシエール殿はそなたを忌むべき子だと隠すのでござろうな。
奇異の目、やゆの声、そして、ひんがしの国から守るために……。
……。
好意的にとらえるとそうだろうけど、あの長老の態度を考えると…厄介払いしたくて仕方ないって感じもするよなぁ。
あっ、まさかおまえ、俺を東の国に売り飛ばしたりしねぇだろうな!バハムートに会いに来るのが目的だってのは本当なんだろうな~!?
もちろんでござる!しかし、バハムートには会えたでござるが、あのような結果になるとは思わなかったでござる。
なにぃ!?バハムートにもう会っちまったってのかぁ!!!
まったくよー!ござるのおっちゃん、まずはそっちを謝るべきだろー!?俺が退屈してる間に、そんなすげぇことになってたなんてよー!
楽しそうなこと最優先!!
よーし、あとは俺にまかせとけ!俺がバハムートをおっかけってって……!
そういうわけにはいかないのです、プリッシュ。りぃさんとテンゼンさんは、これからもう一度、北方に向かわなくてはならないとか。
あれ?そういえば、プリッシュのアミュレットってナグモラーダが指示してチェブキー兄妹がプリッシュから奪ったのかと思ってたけど、ナグモラーダは持っていない?
ジュノ上層でプリッシュを襲ったのは別の誰かだったのかな。
それとも、謎の少年のアミュレットじゃないと駄目とか?
そのために、プリッシュが借りているアミュレットがどうしても必要だということなのです……。
プリッシュ殿、我らとともに北方へ来てはいただけまいか?ナグモラーダ殿の口添えさえあれば、デスパシエール殿もプリッシュ殿を解放してくださることだろう。
へぇ、そりゃありがたいけどよぉ。なんでまた、北方なんて寒い場所に行くんだ?
北方に行けば、おそらくあの少年に、今一度、会えるはずでござる。ディアボロスもバハムートも力を貸してくれなんだが、我輩は、虚ろなる闇がこれ以上広がるのを黙ってみているわけにはいかぬ。
次こそあの少年を捕らえ、男神プロマシアの意志とやらを問いただし、その正体を白日のもとに晒すでござる!
男神プロマシアの意志……?
そうでござる。プリッシュ殿も聞いたでござろう。ディアボロスが言うには「虚ろなる闇」とは男神プロマシアの意志のこと。そして、男神プロマシアとは、人に呪いをかけたといわれる恐ろしい邪神だというではないか。
男神プロマシアの意志とやらも、おそらく恐ろしいものに違いないでござる!そして、それが「世界の終わりに来る者」を……
……ヴァナ・ディールに……?
すいません、ウルミアさん。あまり長い時間、プリッシュと話させるなと長老に言われてますんで、そろそろ……
むっ、門番も大変だな。
(なぁなぁ、つまり、男神プロマシアがなに考えてやがるか聞きたいってことだよな?)
(ううむ……。まぁ、砕いて言えばそういうことなのでござるかもしれぬが……。)
(そういうことなら本人にきくのが早えんじゃねぇかな?)
本人に?
(北方に行く前に、男神プロマシアに会いにいってみるか?俺、居場所を知ってるんだけどよ?)
えぇ…むぐぐっ。
ナ、ナ、ナ、ナヌ!?
(声が高いッ!!)
(へへへ、タブナジア礼拝堂にいきゃあわかるさ。ミザレオ海岸の洞窟から入れるんだぜ。)
礼拝堂にプロマシアが?
えっ、本当に!?
悪いけど、プリッシュに会わせることはできないよ。かわいそうだけど、しょうがないんだ。
今まで黙ってたけど、この前、オレ、聞いちゃったんだ。プリッシュは、男神の子だって言われてたらしいんだよ。
男神の子ぉ?
眉唾な話じゃないって!タブナジア礼拝堂の奥に男神がいるって話も聞いちゃったんだから。
本当にいるの!?
…マジで?