今回はヌエの塔だぞーい。
ん?どうしたんだろう。
おせえぞ、りぃ!
やっと来たでござるな。いやはや待ちくたびれたでござるよ。
えっ、入り口で待っててくれたの!?
この塔を下りるのは初めてです。いったい、この先にはなにが……。
ルーヴランスさん、あなたもいらしたのですか!?
てめぇ、俺を止めに来たんなら、追いかえすぞ!俺は誰がなんといおうと泥棒野郎から箱を取り返すんだからな!
邪魔するつもりはありませんよ。ただ私はここに、ミスタル家の名を継ぐ騎士として来たまでのこと。
……それよりも、ナグモラーダの姿がありませんね。
おそらく先に、4つ目のクリスタルの御許へ向かったのでござろう。
我らも急ぎ、後を追うでござる。我が鳳凰丸が道案内をしてくれているでござる。
一番下まで行かないといけないと思ってたら、入ってすぐのエレベーターから行けるんだって。
珍しく親切!
と思った瞬間足が出てきたよ。
まぁ、そうですよね。
おまえさん大きすぎないかい!
やれやれ。
ここかぁ。
他の所よりいっそう明るい。
扉の模様、ホルトト遺跡と違うよね。
これも意味がある…というか何かを現してる模様なんだろうなぁ。
これは……?
これが……?
母なるクリスタル……。世界の始まりに、5つに分かたれたという……。
あれ?プロミヴォン通らなくて母なるクリスタルに到着しちゃった。
いつもは入り口と出口逆だったのかな。
なんと神々しい光でござろう。
いつのまにか、この光から生まれ……そしていつか、この光に還るからでござろうか……眺めているだけで、すべての不安や恐れが拭い去られていくでござる。
虚ろとは正反対ね。
なぁ、おまえにも聞こえないか、りぃ?
ん?
あの歌、俺たちを呼んでる声……クリスタルから聞こえる声……
流れてる音楽の事?
……その星は……あなたの星……、
……の唄は……あなたの……。
……いつの日か……
みなの夢と……祈りとなる……、
人々は……歌……。
……永遠を超えて、さしのべられた手と手は
もう放されることはない。
これは、「石の記憶」の…4番?
他の人には聞こえてないのかな。
ウルミアに聞いてほしい。
……!
また来た!
ってか、とうに用事は済ませてるかと思ってたのに、今来たの?
また母なるクリスタルをぶしゃーってやるのかな。
??? : これで役者はそろったな。
ナグモラーダ!
そっち側におったんかい!
てめぇ、この箱泥棒!洗礼の箱を奪いやがって……!
ふん、洗礼の箱……か。これがタブナジアにて、そのような目的で使われているとは思わなかったぞ。
デスパシエール老の話では、新たに教会に入る者は皆、この箱の前で女神アルタナに仕えることを誓うそうだな。本来の役目からは遠いが、意味深い使い方だ。退化した人間たちも、この箱の重要性を無意識に知ることができたということか……。
本来の役目?おまえ……、その箱が本当はなんなのか知ってやがんのか!?
クリューですからね。
ああ、知っている。おまえが身につけている、そのアミュレットのこともな。
このアミュレット?
それはもともと、ジラートの王がクリューの民の心を読むために作った「絆の証」。
ほほう。
1万年の昔、ジラートの民は他人と共鳴する能力「心の言葉」を持っていた。
テレパシーが使えたってこと?
しかし、いつしか人の心を「虚ろなる闇」が包むようになった。そのために「心の言葉」を失った者は、クリューと呼ばれた。
別の人種かと思ってたけど、クリュー人って元ジラート人だったんだ!
虚ろなる闇にやられた人がテレパシーを使えなくなって……のけ者にされたのがクリューなのか。
え、酷くない?
そこでジラートの王は、クリューを理解するためにそれを作らせたのだ。
そのアミュレットは闇を封じ、それを身につけた者は、自ら見たもの、聞いたものすべてを王へと伝える。
へぇ~!
闇を封じるから、プリッシュが普通の状態でいられるんだ。
おまえはそれをジラートの王子から授かっていたな。それを今度は、自分のために使ったわけだ。
王子…エルドナーシュか。
わかるか、りぃ。ヤツはそれをおまえに与え、永い年月を経て変わり果てた世界の道案内をさせたのだよ。
母なるクリスタルの御許をめぐるために……。
そうか、だから俺も……。
ん?
つまり、アミュレットを貰ってからプリッシュにあげるまで行動がすべて謎の少年に筒抜けだったってこと?
いつも私の後に母なるクリスタルに現れてたのは後をつけてたからだったのか!
そしてプリッシュに渡した後はプリッシュの元に現れた、と。
だからディアボロスに捕らわれているのを助けに行ったし、その時に『アミュレットをあいつに渡せ』って言ったあいつは私で、私の後を追うため、と。
…ちょっと待って。
プリッシュにアミュレットを渡したのはミルドリオン枢機卿。
枢機卿もアミュレット持ってた古代人!?
プリッシュの行動はミルドリオン枢機卿にすべて筒抜け。
ジュノ上層でアミュレットを奪われるまでは。
アミュレット強奪犯はナグモラーダに指示されたチェブキー兄妹かと思ってたけど、もしかしてミルドリオン枢機卿が…?
しかし、選んだ相手がまずかったようだ。最初の3つはともかく、ただの冒険者ごときがこのクリスタルにたどりつくまでに随分の時間を要した。
とりあえず目の前にいる人に渡した感じだったもんなぁ。
失敗だと思ったら、居場所はいつでも分かるんだし取り返せばいいしね。
そのおかげで私は、おまえが誰か思い出すことができたよ。おまえは、我らの輝かしい時代を終わらせた者。時代の裏切り者と呼ばれた者。
ジラート国滅びの原因がこの人!?
とんでもないじゃないですか。
そうだな、セルテウスよ?
名前だー!!
おまえは、クリューの印持つ身でありながらクリューを裏切り、ジラートの王子から信頼を受けながらジラートを裏切り……
眠れる神々の意志を継ぎながら、眠れる神々をも裏切った。
そして、母なるクリスタルから生まれ落ちた身でありながら、母なるクリスタルを裏切ろうとしている。徹底した裏切リ者だ。
すげぇ!裏切りのバーゲンセールだ!!
設定もモリモリだ!
ジラートの王子の信頼を得たクリューの印を持つ者で、神々の遺志を継いでて、出生は母なるクリスタル。
…母なるクリスタルから生まれた?
やっぱり人間じゃないのね。
だからこんなに顔色が悪い………はっ!!
アーク・ガーディアン!?
あの5人と顔色一緒だ!!
でも母なるクリスタルは5つでAAは5人いて…。
6個目の母なるクリスタルがある?あった?
それとも1母なるクリスタルで1AAじゃなくて、何AAでもいけるのかな。
何故、おまえがそのような道を歩み、今になって姿をあらわしたのか、尋ねたいことはごまんとある。……が、しかしそのすべてを問うまでもなかろう。
私が今、もっともおまえに尋ねたいことはただひとつ。おまえがいかにして、その「虚ろなる闇」を操る力を手に入れたのかということ。
一番聞きたいのはそれかもだけど、他の事も色々聞いておいた方が良いのでは。
神都アル・タユの消滅に巻き込まれながら、おまえだけが生き残ったはその力のおかげだろう?そこでいったい、なにがあった?なにを見、なにを知った?
……。
回想では喋ってるのに、どうしていつも話さないんだろう。
言いたくないのかな。
答えはないか、セルテウス。では、無理にでもこじあけさせてもらうぞ!その虚ろなる心の内を!