これがタブナジアの魔石?
お、来たな、りぃ。
おしかったな!もうちょっと待っても来なかったら、プリッシュさまのお仕置きコースにご招待してやるとこだぜ!?
いっ、いやだ!!
……と、あれがあのとき見えた獣人の結界だな。まぁ、俺に任せておきな!
あ、これ魔石じゃなくて結界なの。
わぁ! こりゃすげぇ場所だな!
ほんとだ。
ここは、ランペール王の時代に兵士が洗礼の箱を見つけた場所で、ヨー・ラブンタが魔晶石を見つけた場所で、シドの所に運び込まれた魔晶石の欠片があった場所か。
ウルガラン山脈に来た時にそれっぽい所を探したけど見つからなかったはずだ。
BF内だったのね。
獣人のやつら、なんでこんなところにまで、あの魔晶石を運んだんだ?まぁ、そこらへんに捨てたら、あれを拾った奴がまた、おかしくなっちまっただろうけどよ……。
ああ、おまえはあの魔晶石についてよく知らねぇだろうな。
そうだね。すべて憶測で、詳しい人から聞いたわけじゃないし。
実はな、あの魔晶石に封じられた「虚ろなる闇」は、特別なもんなんだ。
30年前、「タブナジアの魔石」って呼ばれる魔晶石の破片が、タブナジアからバストゥークに渡ったって話は聞いただろ?
うん。
その魔晶石を持って、この地へやってきた調査隊は、案の定、その破片に封じ込められてた闇の声に毒されちまった。
30年前の北方調査隊、欠片持ってきてたの。
「おまえの本当にしたいことをしろ」「おまえの本当の姿に戻れ」……。あの声は、俺たちが持ってる闇にむかって、何度も何度も囁いてくる……。
陰湿すぎる。
それで、あの調査隊にいたヤツらは人としてやっちゃいけねぇことをやっちまった。ま、それも仕方ねぇよな。だってあの声は、男神プロマシアの声なんだからよ!
男神の声だと……?
だぁっ!?まーた、盗み聞きかぁ!?
その話、よく聞かせてもらおう。
私は、ルーヴランス・ミスタル。30年前の調査隊に参加してた、王立騎士フランマージュ・M・ミスタルの孫だ。
本物の方だ!!!
……ああ、おまえはそっちか。おまえのことも、よーく知ってるぜ?
プリッシュは気づいてたのか…!
そうか、心が読めるんだからバレバレよね。
やっと帰ってきたんだな。おまえの爺さんの仇は、その手で討てたのか?
なぜ、それを!?……そうか、おまえが……!?
ああ、そのとおりさ。運がわりぃな。俺は、プリッシュ。そっちはりぃ。
……おまえたちが……
私とは1回会ったことがあるやで。
まぁ、あれくらいじゃ通りすがりの冒険者って感じで覚えてないのも当然だろうけど。
へっへっへ。俺たちのこと、得体の知れネェ奴らだって聞いてるだろ?
えっ、私も…?
でも、そんなことは気にしちゃいねぇから安心しな。俺が聞きてぇのは、おまえが北の地で見た「闇の血族」の親分のことさ。
北に行ってるって、そんなに北まで行ってたの。
ミスラたちはそいつが、男神プロマシアだと思ってるみてぇだけど、そんなもんじゃねぇってこと、俺はよーく知ってる。なら、あれはいったい誰なんだ?獣人たちには、闇の神って呼ばれてるみてぇだけどよ?
闇の神。
モブリンが言ってた、デーモンを生んだ、男神のふりをしてる「黒ォい神」か!
……それを調べるために、私は戻ってきたのだ。
北の島々でつかんだ話では、あの闇の神は、ここに眠っていたのだという。
あー!!
ここって、大いなるものが眠る闇のクリスタルがある場所だよね?
はるか過去に一度目覚めて、また眠ったけど眠りが浅いっていうあの召喚獣の。
スカリーYが来たけど妙な結界があって氷湖に入れなかったって。
さっきプリッシュが解いたあの結界か。
つまり、デーモンを生んだ闇の神って、闇の大いなるもの。
しかしあるとき、闇の王がここを訪れ、闇の神の声に答えた。闇の神は、闇の王を強大な力を持つ「石」に導き、自ら生み出した悪魔たちを遣わしたとか。
なぁるほどな、なんとなくわかってきたぜ。獣人たちに男神プロマシアって言われてる正体が……。
なに?それはいったい、なんなのだ?
あっ、奥に行って大丈夫?氷割れない?
??? : プリッシュ!
待て!安易に近づくな、妙な気配がする!
てぇやぁぁぁーーーーっ!!!
ええーーー!?
安易に近づくなって言いながら、自分が気合の掛け声とともに斬りかかっていったぞ!!?!?
偽ヴランスなら絶対こんなことしないでしょ!
玉にキズなほど熱血漢だーーー!!