反時計回りにぐるっと回って落とし穴を落ちてエレベーター!
ここか。
あっ、わんわんお!
ちゃんと絵が描かれてる。
カー君の所と一緒だ。
……我が名は……フェンリル……。我が理体は……失われ……、今や彷徨える星となりし身……。
おおっ。
我が力……もはや、消え行く……暁星のごとく……。あとはただ……空のみ残る……。
霊獣フェンリル。我が名はテンゼン。霊獣フェニックスの息吹宿りし鳳凰丸と共に、ひんがしの国より参った。
4つの母なるクリスタルは、その力奪われることにて「虚ろなる闇」をまとい、世界には「世界の終わりに来る者」が現われている。ヴァナ・ディールを救うがため、その尊いお力、その尊い知識、我輩とこの鳳凰丸に託していただきたい。
……そうか……。そなたは……またも……人と共に……生き……死ぬか……。
……それも…………ひとつの……道……。我ら……霊獣の……、人の……選んだ道……。
……?恐れながら、おっしゃることが、よく聞き取れぬでござる!霊獣フェンリル、そなたは何を語らんと!?
……1万年前……我が……教えた記憶……。それが……そなたに……道を示す……。……見よ……過去の契りを……古に……定めしことを……。我……、空に……消える前に……。
おわー!?
ここは……!?
これは……霊獣フェンリルの見せている幻影でござるか?
サルタバルタだ。
サルタバルタは…タルタル語で『約束の地』……。
キュイーン。
りぃ殿、ここは、古代の民の時代だとか……。
エシャンタールだ。
……となれば、あそこにて霊獣フェンリルと対峙しているのも古代の民……?
だねぇ。
……人よ。黄昏を迎え入れる定めを受け入れ、なお、生きることを選択した者たちよ……。我が警告の通りクリスタルの光は陰り、混沌たる命の波乱が起きようとしている……。
そなたたち人と語り合うことは、もはや意味のなきこと。そなたたちも人の姿でありたいのならば、すみやかにこの地を去れ。
セルテウスと我ら霊獣が交わした契約が果たされるまで、人にとっては十分な時間が残されている。永く短きその営みを繰り返し、最後の命の炎を燃やし尽くすといい。
お待ちください、霊獣フェンリル。私たちの未来はいまだ、決定されたわけではございません。
メルト・ブローとか起こって全部終わった後かな。
私たちはあなた様に、新たな定めを生み出していただくために来たのです。
……なに?新たな定めを……?
もう一度言おう。そなたたち人と語り合うことは、もはや意味のなきこと。 母なるクリスタルが出した答えは、世界の理となる。石の記憶は告げた。それは誰にも変えられん。
はい。あなた様の言わんとしていることは、よくよく存じております。
時が経つにつれ、人の命は汚れ、闇が生み出だされ……そして、いつしか闇をその身に宿し者「世界の終わりに来る者」が現われ、人すべてを黄昏へと導く……。
「世界の終わりに来る者」は闇をその身に宿している…。
洗礼の箱…「暁の瞳」は虚ろを進化させて魔晶石に変えるってナグモラーダが言ってた。
プリッシュが洗礼の箱に触った時に大変なことになったのは、プリッシュの中の虚ろに反応して暁の瞳が動いたから、か。
それはあなた様が定めることもなく起こる必然。定めを決める星月の力をもちいても、その必然を打ち消すことはできない。
しかし、故国にて果てたセルテウスより、私は伺いました。霊獣たちと交わされた契約は、「世界の終わりに来る者」を打ち破ることにて反故とされると。
確かに、我らの結んだ契約はそれだ。人に課せられた呪縛、それに逆らうことができればな。
「世界の終わりに来る者」を殺せばいいってこと?
いやでも、それならきっと生まれてすぐにエシャンタールがやってるはずよね。
打ち破る、呪縛を払う方法…なんだろう。
しかし、今、その役目を負いしセルテウスは亡い。ならば、人のうちの誰がそれに逆らえる?解のない問いに、答えられる者があるというのか?
……はい。私が、その答えを見出したと思います。
えっ、1万年前にもう分かっちゃってるの?
セルテウスが、何故、最後に私にああ告げたのか……。それは私に、この使命を与えるがため。
……なに?まさかそなたは……。そうか、そなたこそが「虚ろなる闇」から解き放たれた奇跡の存在。
何ィ!?
人間は必ず持っているという虚ろなる闇が、無い?
虚ろの器から出てきたから?
今ここでそなたと話すことができるとは、さすがの我も、詠みきれなかった。
……。
人の命の循環より外れたそなたならば、世界の終わりまで、人の定めを見届けられるかもしれん。
命の循環から外れた?
今と変わらぬこの容姿……まさか、不老不死。
エシャンタールは30年前に起きたんじゃなくて、1万年ずっと生きてきた…!?
しかしそのときが訪れたとき、そなたひとりでは、「世界の終わりに来る者」に何もできまい。
そなただけを置いて、人は、黄昏へ向かって進化の一途を辿るぞ。驕慢、嫉妬、怯懦、無知、憎悪の一途をな。
辛すぎる。
わかっています。けれども私には、永く久しく続く年月があり、そして人には、永く久しく続く血の縁がある。
霊獣フェンリル。「その時」を作ってください。「定めの時」を。「世界の終わりに来る者」が生まれ落ちる「定めの地」を……それさえ定められれば、私たち人にも勝機がございます。いいえ、人は必ず、勝機を作り出すでしょう。
確かにいつ起こるとも分からないことに対処するよりも、いつ起こるか分かっていれば作戦も立てられるし準備もできる。
「定めの時」、「定めの地」……。
……フフフ。人よ、定めを担うは、そなたが想像するより遥かに重く険しいことよ。しかし、そなたのまがつみにこれ以上の業報はあるまい。人の定めをそなたひとりで担えるかな?
……。
うなづいた。
ならば我は、そなたたちの行く末を見極めてやろう。さぁ、月詠みを始めようではないか。
……そして…………定めは…………下された……
……1万年の時を経て…………「世界の終わりに来る者」は…………生まれ落ちる……
……「定めの地タブナジア」に……
ああ、やっぱりプリッシュだよね…。
…………りぃ殿……。
うん?
……これは、霊獣によるたぶらかしでござるか?それとも、受け入れがたい真実でござるか?
真実だろうねぇ。
霊獣フェンリルは、「世界の終わりに来る者」が生まれ落ちる地をタブナジアに定めた……?1万年前に……。
月詠みしてたから確実だね。
タブナジア……。忌むべき子……。しかし……、しかし……。
……。バストゥークに戻るでござる……!ウルミア殿に尋ねなくてはならんでござる……!
うん。