誰かが歌ってる。
伝説は、こうはじまる。
すべての起こりは「石」だったのだ、と。
遠い遠いむかし、
おおきな美しき生ける石は
七色の輝きにて闇をはらい、
世界を生命でみたし、
偉大なる神々を生んだ。
光に包まれた幸福な時代がつづき、
やがて神々は眠りについた……。
世界の名は、ヴァナ・ディール。
私たちの世界、ヴァナ・ディール……。
これは、ジラートの幻影で途切れ途切れに出てきた唄の最初の部分だよね。
あなたは確か……
ども。
りぃさん、でしたわね?私はウルミアと申します。
こんにちは。今の歌って…
……え?先ほどの歌はなんという歌かと?お気になされているのですか?
あれは古よりタブナジア大聖堂に伝わる「神の歌」でございます。
神の歌…。
いくどとなく起きた炎が、いくどとなく人の歴史を焼き払っても、この歌だけは決して失われず、私たちを導くしるべとなる歌……。
ザイドとライオンも知ってた歌詞は、たぶん同じ歌よね。
今の歌を歌っていたのは、おまえか?
あなたは……ナグモラーダ、さん?
名前覚える能力凄い!
分けてほしい!
ああ、永い時の洗礼を受けても、失われぬものもあるのだな。懐かしい調べだった。
懐かしい?
この歌が?
あんた何歳よ。
….まさか、1万歳とか言わないよね。
このような場所にて、歌なき時代に生まれた歌……歌の始まり、始まりの歌を聞けるとはな。
歌の始まり、始まりの……?
もしやあなたは、この歌のことをご存知なのですか?
ああ、よく知っている。その歌はな、「石の記憶」という。そして、こう続くのだ。
石の記憶。
…よく知ってる?
ん?歌うんかい!
ああ、しかしいつしか
おおいなる災いが満ちる、
祝福されしヴァナ・ディールの地に。
何万年の長きにわたり
暗黒を退けていた古の封印がやぶられ、
終わりなき悪夢たちが、いま目覚める。
闇に覆われた悲劇の時代が幕を開けた。
しかし神々の眠りは醒めない……。
世界の名は、ヴァナ・ディール。
ふふ、創作ではないぞ。石の記憶とは、ヴァナ・ディールの記憶。人も神も、誰も偽ることはできぬ。
……。
ライオンたちが知ってるのとも、ジラートミッションの最後の方で出てきたやつとも微妙に違うなぁ。
……!
光ってる!!
それ、飾りじゃなくて本当にスカウターだったの!?
すまんが、失礼する……
なによあんた、ウルミアには丁寧だわね。
お待ちください!ひとつだけ教えてください!その歌は、それで終わる……?
いや、まだ続く。
が、この先は、おまえには歌えん。この先は、神が歌うのだからな。
神が?
ヴァナ・ディールを作って今は寝てる、神?
人には歌うことができない?
神が歌う……?いったい、どういうことなのかしら……?
あ、そうだ。ウルミア。
……え?プリッシュが私を呼んでいた?わかりました、すぐ町に戻りましょう。
おお、ズンズンと歩いてくる。
プリッシュ、見たか?さっきとは別の軌跡が、リヴェーヌ岬に向かって伸びていったようだが?
別の、だって?なんだ、竜ってのはいっぱいいるのかな?
……プリッシュ。先ほど話していたこと、まだ信じられないわ。
戻ってきた後、プリッシュの話聞いたのね。
本当に、楽園の扉が開かれようとしているのかしら。
知らねぇけどよ。でも、それもバハムートに尋ねに行くんだろ?
また楽園の扉が開きそうなの!?
ジラートの時あんなに大変だったのに!
最後はライオンが身を挺して…。
そうだよ。
ライオンを助ける方法、いつ見つかるんだろう。
…ジラートの後に3国ミッションやったら元気いっぱい出てきたから今の今まで忘れてたけど。
いいか、バハムートのところへ行くぜ!生ける神様とやらとくっちゃべりに行きてぇ奴はついてきなぁ!
希望者が…誰もいない…。
あれ?タルタル3人組はどうした?
いつもの元気がいい返事がないわ。
そういや、あのよそ者も見ないぞ。
……そういや、外で見たねぇ。
あん?どこで見たって!?
ああ、俺も見たぞ。あのよそ者と、3人組が話してるところを。
あいつら、旅の準備していきやがったぜ、プリッシュ!
あんだとぉ!?
あの子たちもしかして、リヴェーヌ岬に行ったのかしら。でも、なぜ?
あいつらが行くんだから決まってる!なんかおもしろいことがおきんだ!くそぉ、俺たちも行くぜぇ!
いってらっしゃ…え、私も行くんですか?
イヤァ!