一度戻って、プロトウェイポイントで飛んで。
ここから反対側の壁画へ。
ここが……アルテパの歴史をつづった壁画の間だ。
反対側にも同じのがあるけど、あっちじゃ駄目だったん…?
もうはるか昔の建造物のように見えるかもしれんが、我々ガルカにとってはほんの2、3世代前まで、ここは隆盛を誇った都だったのだ。
ガルカの寿命って200年くらいよね。
ということは、5、600年くらい前はここに住んでたの?
もっと昔の出来事かと思ってた。
拡大した勢力は、他の勢力とぶつかりあう。それは歴史の必然……。そう、この地にはもうひとつの勢力が存在した……。
ガルカは、地下に眠っていた種族、アンティカを呼び起こしてしまったのだ。もとより、力においては強い種族だったガルカは、当初の戦いにおいて引けをとらなかった……。
建物作ってて、巣に突き抜けちゃったのかな?
だが、決定的な差がそこにはあった。数の力だ。それは圧倒的な繁殖力の差によるものだった。転生という形で種を残していたガルカは次第に数を減らしていったのだ。
アリだもんね…。
ガルカは、死期を悟ると、高い山に登り、最期の時を迎える。そして新しい光に導かれ新しい肉体を得て、自らの足で山を降りるといわれている。
これ、実際どうなってるんだろうね?
3歳くらいの状態で誕生するのか…あ、草食動物みたいに産まれてすぐに立ち上がれるって感じなのかな。
だが……誰もその真実を目にしたものはいない。ただの伝承でしかないのかもしれない。
本人も自分がどうだったのか分かってないんかい!
我々が目にするのは転生の旅に出て、1年もたたないうちに、子供のガルカが自らの足で集落を訪れる、という事実だけ。
本人は気づいたらガルカの集落にいた。ってこと?
何かの証拠の品があったため同じ名で呼ばれる者もいれば、前世の素性のわからぬ者もいる……。
等しく彼らは、前世の記憶を失っている。そう、たった1人……1世代にたった1人の例外を除いて……。
それが、語り部だ。語り部は前世の記憶をもち集落に戻る。そしてその記憶を証明し、ガルカの長として君臨する。
見た目は子供、頭脳は大人!
誰よりも長い記憶をもつことから生まれた必然ともいえる風習だ。その風習によりかかってガルカは生きてきた。
その風習は語り部に多くの重圧を与えてきた……。その証拠として、今までの歴史上、1人として無事に転生を迎えた語り部はいない。
転生の旅に出ることができなかった。ってことよね。
ある者は400年続いた記憶の喪失に怖れ恐怖に苦しみ、ある者は重圧に耐えかね、逃げ出し、行方不明。
ひぇ。
そして……ある者は種の抱える憎しみを、北の地での悲劇の結果増幅させ、闇の王となった……。
語り部が転生して語り部になる。を繰り返したら永遠の記憶の持ち主になるわけだけど…。
もしかしたらガルカの種のシステムはそれを行おうとしたけれど、精神が持たなくて実現できていない。とかなのかしら。
いつまでもそんな鎖にしがみついていることはないだろう……。しかし、その鎖からガルカの民を解き放てるのは……他ならぬ語り部しかいない、私はそう思っている。
おそらく今、語り部は自らが立つことを決意しつつあるはずだ。その時を彼は見誤ることはしないだろう。ただ、アイアンイーターには、その彼を見守るように、とだけ伝えてくれ。
うん。
その時がくれば、私もこのガルカの呪縛を解き放つ役割から離れることができる。
何かやってるの??
色々調べてみた結果、語り部じゃないと呪縛から解き放てないって分かった。とか?
そしてその後は……。お互いの思いを越えてヒュームと向き合う時だ。私も……フォルカーと会わなければならないだろう。
フォルカーと?
闇の王を倒した後に行方をくらまし、フォルカーに隊長の任を押し付けたことに対して?
他にも何かあるのかな。
結局、ザイドの話を聞いてもガルカがどうやって産まれてるのか分からなかったなぁ。
男性しかいないけど子どもは誕生する。ってことは、分裂(アメーバ)…?出芽(ヒドラ)…?栄養生殖(芋)…?
とか思ったけど、どれも想像すると怖すぎる!!!
実はガルカの桃源郷みたいな所があって、そこには女王ガルカがいて(女王蟻システム)、転生の旅に出たひとりと引き換えに丁度良い年齢になった子どもの記憶を消して送り出す…。
とかも思ったけど、違うよねぇ。
ここは、きっと謎のままなんだろうな。
はっ!!まさか、死ぬ間際に口から卵を生み出すピッコロ大魔王システム…!!!?!?!?
よく帰ってきたな!それでどうだった?流砂洞は……?
かくかくしかじか。
そうか……ガルカの歴史がそこに描かれていたのか……。
ザイドはきっと今はガルカの歴史の転換点にあると考えているのだろう……。私もそう思っている。
語り部の誕生を止められるかは分からないけれど、語り部にリーダーを押し付けることをやめたら、負担は相当減るものね。
しかし……語り部とは、いったい……ザイドは語り部の出現を確信しているのか?
出現を確信というか、誰が語り部なのか分かってる風だったよね。
それに、フォルカー隊長とはその後に会う、というのも気になる。隊長に何とお伝えすればいいか……。
いずれ会おうって言ってた。とかでいいんじゃない?ザイドだし…。
ひとまず、御苦労だった。ここから先は私たちの仕事だ。だが、おそらくまたゼプウェル島の調査に向かってもらうことになるだろう。
ほーい。