鉱山区の鉱石通りの方で、ちょっとした騒ぎがあったようなのだ。なんでも、新しい語り部が現れたとか……。
語り部が?
バレたの??
あ、私は前世でバス出身のLSメンに語り部の正体聞かされて知ってるのです。
何やら怪しい話ではあるが、ガルカたちの長老格であったウェライが失踪したこともある。下手な騒動になっては困るからな……。鉱石通り入口のメディシンイーグルがその場にいたらしいので聞いてくれ。
おお、ミッションを受けてきた者か。早速だが、実はこんなことがあってな。
どうしたんだ?みんな集まって……。
なんでも語り部が現れたとかで……。
何だと?
このお方が、ラオグリム様がいなくなった後、現れることのなかった語り部だ!
偽物やんけ!!
私はこのお方とコロロカの洞門で出会った。そして200年の記憶を耳にしたのだ!!
皆が驚くのも無理はない……。わしも自らに課せられた宿命に驚いている……。しかし、わしも語らねばなるまい。なぜなら……わしは語り部なのだから。
わしが転生を迎えたのは、アルテパの砂漠の西の最果てだった……。
何でまたそんな所に?だいたい冒険者以外は通行も許可されていないじゃねえか。
わしの前世は、冒険者であったのだ……。
語り部は最期の時を我らが故郷で迎えようと転生の旅に出て、光る岩を見つけた。そしてそこで天の声を聞いたのだ。
そう……「忌まわしき地にさまよえる民を導け」と。そして、わしの手には輝くアルテパの月石が、わしの頭には200年の記憶が委ねられた……。
これだけの大人を前に、肝の据わった子だなぁ。
本当に……語り部なのか?
汝、語り部の記憶を疑うなかれ。
信じて……よいのですね?
語り部の言葉こそ真実なり。
確かに、ラオグリム様の面影を感じさせるような……。
言われてみればそんな気も……。
おい!ちょろいぞ!!もっと頑張れ!!!
もう先代のラオグリム様や暗黒騎士ザイドや長老ウェライの行方を捜す必要はないのだ。我々の元に語り部は御降臨なさったのだ!
ところで、どこか休むところはないかな?語り部はお疲れだ。
本来は立ち入り禁止区画ですが、鉱石通り奥の区画を御提供いたしましょう。宿屋などで、民が集まり混乱があるといけませんゆえ。
同じ顔で分かりづらいけど、一番奥に立ってる人だよ!
それでかまわないだろう。案内を頼む。決して失礼のないように……。
こっちはフードの詐欺師だよ!
と、いうわけだ。本来は喜ぶべきことなのだが、正直言って私自身も困惑している。トールマウンテンの機転があったためになんとかなったが……。
錬金術ギルドの前の所で通せんぼしてる人だよね。
あの奥に連れて行って、誰も入れないようにしてるのか。
アルテパ方面で真実を確かめるために調査すべきという話もある。ツェールン鉱山のガード、ドレイクファングにも話を聞いてみてくれ。
わかった。
鉱石通りで話を聞いてきた冒険者のようだな。
うん。
あの語り部を名乗る子供の言っていることが果たして真実なのかを突き止めることが必要なのだが、現在具体策を上に打診中なのだ。
疑ってかかるようなマネをしたら、我々ガルカの誇りにも関わる問題だ。きっと上も結論を出しかねて……。
私が責任を取ろう。冒険者に指令を伝えてくれ。
おっ、今バスで一番頼りになるガルカなのでは。
アイアンイーター様!それでは冒険者を調査に向かわせる許可はおりたのですね……。
冒険者に調査に向かってもらうことは、あらかじめ決まっていた。具体的にどうするかが決まっていない間抜けな状態ではあったがな。
記憶が本当かとか、なかなか確かめようがないし難しいよね。
私自身の責任でかまわない。アルテパ砂漠で、あの語り部を名乗る子供の言葉が真実かどうか確かめてきてほしい。
彼は自分がアルテパ砂漠の光る岩の側でアルテパの月石を手にしたと言ったらしい。それが本物ならあのような子供が手にすることはできないはずだ。確かに語り部であることを証明するひとつの手がかりにはなるかもしれない……。
結構強いモンスターがうじゃうじゃいるから、確かに子ども一人では無理よね。
もしそれがニセモノなら……。おそらくは困難な仕事となるだろうが、本物のアルテパの月石を見つけてきてほしい。
わかった。
私も、正直複雑な思いだ。ただ……真実が知りたい。それだけを願う。よろしく頼む。
アルテパの月石を持ってかえった後は鉱山区立ち入り禁止区画のガード、トールマウンテンの所に向かってくれよ。
これだけ多くのガルカが喜ぶのではなく、疑問に思うって…。怪しさしかないじゃないですか。
ラオグリムが現れた時は、どんな感じだったんだろうなぁ?