現在我が国が調査中のある件に関して、情報をもっているらしい、ある冒険者の行方を現在追っているのだ。
ある冒険者?
ダルザックとか?
この件に関してはプレジデントが関心を持っておられるらしい。大統領府に向かい、プレジデントから直接お話を伺うように。
はーい。
よく来てくれた……。実は現在、あるガルカの行方について調査している。おまえも知っているだろう。ウェライという老いたガルカのことだ。
コーネリア、頑張って頼んだのかな。
話を聞く限りただ、死期を感じたガルカが旅立っただけのように思うのだが、鉱山区のガルカはさらに心のよりどころを失ったようだ。
バカな話だと思うがな。いつまでも種族意識に凝り固まるから硬直的になってしまう……。
うーん、まぁ、信仰みたいなものだからね…。
タルタルも神子さまがいなくなるとやばいみたいだし。
ただ……ひとつ気になる情報があってな……。その老ガルカ、ウェライから冒険の途中に手紙を受け取ったという冒険者がいるそうだ……。
その情報を得た人物に話を聞いてほしいのだが……。なんというか……その……。
珍しく歯切れが悪いな?
こっちだ。ついてきてくれ。
ここはコーネリアの部屋じゃないですか。
お嬢様、冒険者の方が、お話を伺いたいと……。
それじゃあ、お父様が調査を認めてくれたの!?
!!だましたわね、お父様!!
閉めたwww
何を勘違いしている。別にそのまま閉じこもりたいなら閉じこもっていれば良いだろう。おまえを引きずりだすつもりなどない。
アイアンイーターから、鉱山区のガルカたちの動揺を抑えるためにもウェライの行方について調査を行ってほしいと話があった。
理由をつけつつ、グンパのために申し出たのかな。
だからそれに関して情報を既に得ている人物、つまりおまえに事情を聴取するだけだ。バカにするな。おまえの考えごときで国政を動かしたりはせん。
でも娘の頼みを聞いてやる良い口実になったよね。
あんなに私が言っても聞き入れてくれなかったのに……。
娘だから頼みを聞いてあげにくいってのもあるだろうしなぁ。
おまえは何か情報を得たのではないのか?そうでないなら話はここまでだ。冒険者には別の任務を……。
待って……。実は、「蒸気の羊」亭で、ある冒険者さんのウワサを聞いたの。その人の名前はハニさん……。
ダルザックじゃなくてハニか。
その人はコロロカの洞門を冒険中にウェライさんに会ったらしいの。しかも、何か手紙を頼まれたって……。
いつ頃の話なんだろう。
その後のハニさんを誰も見てないというの。どこかに冒険に向かったという話だけど……。
もっと詳しい話は、「蒸気の羊」亭のヒルダさんに聞けばわかると思う……。
わかった。それではここから先は冒険者に調査してもらおう。
ねえ、お父様……。
やっぱり……自分の力で何かできるなんて思い上がりなのかな?結局偽善でしか、ないのかな……。
コーネリア……。
これは昔聞いた話だ……。東方の言葉では「偽善」という言葉を、「人の為す善」と書くそうだ。
日本語で喋っててこのセリフは何だか変な感じ。
中の国の言葉は英語、東の国の言葉は日本語。ってイメージなのかな。
元々それは批判されるべきことではなく、人が人であるための行為であったのかもしれない……。それがいつのまにか悪い意味に使われるようになった……。
何かを為そうとすれば常に批判がついてまわる。イヤというほど私はそれを体験してきた。それでも、私は自分が正しいと信じる結果のみを求めてきた……。
それで大統領まで登り詰めたわけだし、すごいよね。
何もせず文句だけを言う連中に決して私の邪魔をさせたりはしない。
それと……おまえのような小娘が自分のやっていることの善悪を論じるなど10年早い。肝に銘じておけ……。
お父様……。
こんな言い方しかできないんだなぁ。
ルシウスあたりが毎回通訳してくんないかな。
それでは、「蒸気の羊」亭のおかみ、ヒルダに事情を聞いて、そのハニとやらの行方を追うように。よろしく頼んだぞ。
うん。