西風 其の弐

そういえばナジャ社長からトリオン追いかけろって言われてたから報告しなければ…。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

ナジャ・サラヒム おや、りぃ。あの麗しのお花畑の騎士サマは、どうしたんだい?

呼び名よ。

ナジャ・サラヒム あんた……まさかとは思うけど、1人でのこのこと戻ってきたんじゃないだろうネェ?
りぃ えーっと…。

ダンッ!

ナジャ・サラヒム なぁ~んだって!?あたいの聞き間違いだと信じたいネェ。
りぃ ひえぇ。

ナジャ・サラヒム ……もう一度言ってごらん?

最後まで王子っていうのは一応隠してたから、ばらさない方がいいよね。

りぃ 国に帰りました。

ダンッ!

ナジャ・サラヒム あのバカ騎士っ、あたいに挨拶のひとつもせずに、国に帰ってったっていうのかい!?あたいのカオに泥ぬるたぁ、いい度胸してるじゃないか!

ダンッ!

ナジャ・サラヒム あんたもあんただよ。なんですぐさま、あいつを追いかけなかったんだい!?

ナジャ・サラヒム ま、さ、か。傭兵は自由な身だとでも思って、あたいに使いを頼まれてるのも忘れて、アルザビを離れてたりはしなかっただろうネェ?

離れてましたー!!

ナジャ・サラヒム ライファルもあんたも、あたいと「傭兵契約」を結んだんだ。……忘れたとは言わせないよ?

契約…恐ろしい…。

ナジャ・サラヒム 傭兵契約がある限り……

ナジャ・サラヒム ずーっと!

ナジャ・サラヒム 一生!

ナジャ・サラヒム 死んでもっ!!

ナジャ・サラヒム あんたたちは、このあたいのモチゴマなの。
りぃ ひいぃ。

ダンッ!

ナジャ・サラヒム 勝手に、あたいの目の届かないとこへ、長い間、行ってるような暇があるんだったら、皇国の仕事の、3つや、4つや、5つ!

ダンッ!

ナジャ・サラヒム ……6つや、7つ!!的確、迅速、そして無難にこなして、「サラヒム・センチネル」のために貢献すること!

多い!!

ナジャ・サラヒム それが愛社精神ってもんだろ?

ナジャ・サラヒム 今からでも遅くはないよ。ライファルを、地の果てまで追いかけといでっ!

いやもう、戻ってくるのは無理なんです。
クリルラのピンチだから。

  

ナジャ・サラヒム ……というのは、冗談さ。
りぃ えぇ!?

ナジャ・サラヒム せっかく、あの「でくのぼう」がこのアルザビの街から、消えてくれたんだ。わざわざ追いかける趣味なんてあたいは、持ち合わせていないよ。

ええ???

なんかBGMも穏やかなのになったし。

ナジャ・サラヒム そういえば、中の国から来たって、ほざいてたっけネェ……。あれだけ、この地に居座ろうとしてた奴が、なんで急に戻る気になったのか見当もつかないけど……

それはクリルラが。

ナジャ・サラヒム うれしいったらありゃしない♪心のツカエがすーっと溶けて、とっても気分がいいよ。

なんだか本当にご機嫌っぽい。

もしかして、今までのイライラのうっぷん晴らしで八つ当たりされただけですか!?
ひどい!!

ナジャ・サラヒム やっぱり、あんたが「運」を運んできてるのかもしれないネェ?これは、臨時ボーナスだよっ。とっときな!

臨時ボーナス!?
ご機嫌すぎてこわい!!

ナジャ・サラヒム あんた、ウチに入社して、ほんっとによかったネェ。ほら、泣いたっていいんだ。その感動を、胸に深ぁく刻んで忘れるんじゃないよ。

感動じゃない涙が出そうです。

ナジャ・サラヒム 今度、ウチの入社案内に、あんたの「感謝の声」を掲載するんだからネェ。

そんなの書いてないけど…捏造ですか!?
やめてー!!!

アトルガン白銀貨を手にいれた!