聖跡の巡視

ナジャ・サラヒム これも、それも、あれも……うんうん、よしよし。

ナジャ・サラヒム うちがいかに優良企業で社員が幸せか、伝わってくるようじゃないか~♪

あっ、前回言ってた「感謝の声」だな!?

ナジャ・サラヒム えぇと……どれどれ……「社長のおかげで、私は初めて本当の『勇気を学びました』。感謝しています。」

ナジャ・サラヒム フフン♪

ナジャ・サラヒム それから、こっちのは……「社長のおかげで、私は初めて本当の『勝利を味わいました』。感謝しています。」

定型文に当てはめた感がすごい。

ナジャ・サラヒム フフフフン♪

ナジャ・サラヒム ん~っと、それから?「社長のおかげで、私は初めて本当の『恐怖を知ったでござる』。感謝しています?」

絶対ゲッショーだ!!

ナジャ・サラヒム …………。これは「幸福」に訂正、と♪……フフフフン♪

捏造ー!!!

ナジャ・サラヒム さぁて、パンフの「感謝の声」は、こんなところかネェ。我ながら、上出来じゃないか♪これで我が社のイメージアップ間違いナシだよ。

そうはならない気がする…。

ナジャ・サラヒム だけど、実際の社員の業務報告ときたら……ったくどいつもコイツも、パッとしないネェ。おかげで、我が社の経常利益も横ばいときたもんだ……。

ナジャ・サラヒム ったく!

ナジャ・サラヒム まっ、いいか。この依頼さえこなせば一発逆転だってあり得るんだからネェ……。

良い表情してる…。

ナジャ・サラヒム おやおや、奇遇だよ。……丁度いま、あんたを呼びにやろうと思ってたとこさ。

見えないけどいるの。そこに。

ナジャ・サラヒム 先日のことだよ。数多の商品……じゃなくて傭兵を抱え、聖皇さまの覚えめでたい我が社……サラヒム・センチネル宛てに金で縁どった封書が1通、届いてネェ。

金の縁取りの封書…。
厄介な感じしかしない。

ナジャ・サラヒム その件で、あんたに話があったのさ。まぁ、いいから聞きなよ。その書状は、仕事の依頼だったんだけど……

ナジャ・サラヒム まずは報酬!これが、そんじょそこいらの依頼と違って……絢・爛・豪・華!!ってのは、間違いなしなんだ。

ナジャ・サラヒム フフン……なんでだか、わかるかい?差出人はアトルガン皇立文化財調査事業団。つまり、恐れ多くも聖皇さま直々の折り紙付きだからだよ♪

皇立文化財調査事業団?

ナジャ・サラヒム ……。りぃ、あんたまさか、あの有名な団体を知らないのかい?ほら、最近じゃあアルザダール文明遺跡群とかを調査してる……
りぃ それがアトルガン皇立文化財調査事業団?

ナジャ・サラヒム 皇宮のお抱え錬金術師っていったら、あんたは、どんな人物を思い浮かべる?

青魔道士とかを作るためにヤバすぎる実験を繰り返してる、錬金エプロン着たあの人たちかな…。

ナジャ・サラヒム あたいだったら……あやしげな薬品で染みのついたエプロンを身につけてて……なにがおもしろいんだか、同じ実験を毎日毎日毎日……飽きもせずに繰り返してる陰気なヤツをイメージするネェ。

会ったことないのかな。
でもその通りな感じ。

ナジャ・サラヒム 皇立文化財調査事業団は、そうゆう錬金術師サマたちの集まりさ。

あの人たちは文化財を調査してるわけじゃなさそうだから、同じような錬金術師の組織がいくつかあるのね。

ん?
文化財を調査するのに、錬金術師なんだ?

ナジャ・サラヒム ……っと、いけない。言葉がすぎちゃったよ。

良い印象は持ってないのね。

ナジャ・サラヒム なんたって、聖皇さまの直轄機関。いの一番の上客なんだから。あんたも肝に銘じときなっ!
りぃ うん。

ん?また選択肢が出てきた。
こっちも教えてくれるのね。

りぃ アルザダール文明遺跡群。
ナジャ・サラヒム 実は、あたいも、詳しかないんだけどさ。

ナジャ・サラヒム この街の近郊には、エジワの、オルドゥーム遺跡の他にも別口の巨大な遺構があってね。それが、アルザダール文明遺跡群さ。

ナジャ・サラヒム バフラウ段丘を暗碧海に向かって北西に抜けた先にある洞窟から行けるんだけど……そこにあるってことは誰もが知ってても、つい最近まで入口が不滅隊に封鎖されててネェ。

ナジャ・サラヒム ところがっ。このたび、その一部が、一般見学者にも開放されることになったらしくってね。

最近まで入れなかったのか。

ナジャ・サラヒム 拝観料としてアトルガン白銀貨を1枚納めれば、中に入れてもらえるらしい。なんでも拝観料は、調査費にあてられるんだとか、なんとか……。ホントかどうかは知らないけどネェ。

資金繰りが大変なのか、別の目的に使われるのか…。

ナジャ・サラヒム わかったかい?つまり、この依頼は報酬もすごいけど……それ以上に大切なのは皇立文化財調査事業団、ひいては皇宮の覚えめでたくなるチャンスでもあるってことさ。

ナジャ・サラヒム へまするんじゃないよっ!!
りぃ 何を!?

ナジャ・サラヒム ……っと、肝心の依頼内容を教えてなかったね。

だよね!?

ナジャ・サラヒム 要は、「アルザダール海底遺跡」へ傭兵を1名派遣して、遺跡内の見回りをさせろって話さ。

見回るだけで傭兵に依頼を?

ナジャ・サラヒム 調査が遅々として進まない理由のひとつに、遺跡内に出没する化け物が関係してるって、あたいも聞いたコトがある……。だから、最近なにかと目立ってる傭兵を見て、白羽の矢を立てる気になったのかもしれないネェ。

なるほど、倒せと。

ナジャ・サラヒム いいかい?これはビッグチャンスなんだ。おまけにこの任務は傭兵の仕事にしたら、楽な方だろう?失敗は許されないからねっ!

まぁ、確かに指輪を探せとかオリハルコン見つけろとかに比べたら、遥かに簡単。

ナジャ・サラヒム ほらっ! シッ、シッ!とっとと、アルザダール海底遺跡へ出発、出発!!
りぃ 言い方!ひどいっ!!

ナジャ・サラヒム それにしても……

ナジャ・サラヒム どういうことだろうネェ?りぃを名指しだなんて……。

えっ、指名!?

これは、大変なことになりそうな予感…。