あ、りぃさんが気がついたみたいですー!
う、うーん…。あと5…50分…。
ん…?
……ああ、よかったよぉ~。
へ……?
そっか、トゲトゲが飛んできて。
……フンッ!そうかい。
(もう、あんなに心配してたくせに……。)
ナジャ社長、一応りぃさんに謝ったほうが~。
これは……その……
そう、ドゥザフによる不可抗力だよっ。言っとくけど、社の労災はおりないからね!
ひどい!
社長!!
アブクーバが怒ったぁ!!
……その、ごめん、りぃ……。
ヒィ!!
……そ、そんなことよりあんた、なにか報告があって出社したんだろう?ネェ?
あ、アフマウから短剣を預かって。
!!!
なぜ、それを早く言わないんだい!
いきなりトゲトゲが飛んできてそんなん無理だったし!
…………。
ちょっと早過ぎだよ……いや、事態はそこまで……。
輝金の短剣を渡してこの反応?
やっぱり、ナジャ社長がサラヒム・センチネルを設立したのは儲けのためだけじゃなくて他に目的があったんだ。
そしてそれは聖皇と直接交わした約束で、輝金の短剣が合図…。
……ん?……見世物じゃないよ。しばらく考えごとをするから、2人とも席を外しとくれ。シッシッ!
社長ってばいったいどうしちゃったんでしょうか?急に考え事がしたいだなんて……。慣れないことして具合でも悪くなさって、後で嵐が吹き荒れなきゃいいんですけど。
でもまぁ、ドゥザフの懸賞金がパァーになったわりには穏便にコトが済んでなによりですー。
あ、りぃさんにはすでに社長の嵐の被害が……。
ぐぬぬ。
お、お大事に!
もー、文句言われる前に追い出したなぁ。
りぃ様。捜しておりました。
あれ?トラビアルス。どうしたの?
火急の言伝がございます。バルラーン大通りまでご同道ください。
火急?
なんだろう。
そうですか……。やはり、聖皇ナシュメラ2世は実権を失い、宰相が国政を……。
まさか、殿下のご懸念が現実になるとは……。
トリオンはここまで読んでたのか。
殿下は、かつて国賓として皇国に招かれたことがあり現聖皇とは、顔見知りであらせられます。そのとき、なにがあったのかは存じませぬが……「彼女ならば最後の舵取りを誤ることはない」と殿下は信じておられたのですが……。
トラビアルス殿っ。このようなところに呼びたてるとは、いささか軽率ではありますまいか!?
いくら他人に聞かれる心配が低いからといって……抜き打ちで取り調べとかあったらどうするんですかぁ!!
ロディンコミディン殿……。
ああ、そうそう……あなた様との情報交換は、もうナシにさせていただきたく~。こっちは、魔笛に関して新たな情報を仕入れちゃったものでその報告に、てんてこまいでしてねぇ~!
はっ!シャ……カラババ様に口止めされてたんでしたぁあっっ!
あーあ、呪われるぞぉ。
……お!?……いい匂いが……ケバブか?まだ、全員そろわないでしょうな?自分、ちょっとそこで腹ごしらえしてきますので!
この仕事、向いてないような、向いてるような。
ドシン!
誰だ!?
えっ、アヤメ?
アヤメ殿!
お久しぶりです。驚きました。まさか、ミスリル銃士のアヤメ殿が来られるとは……。
我がバストゥークとしてももう、情報庁の諜報員だけに任せておける事態ではなくなった、ということです。
と、おっしゃられますと?
バストゥークの戦略指令局はすでに第三共和軍団、つまり共和国艦隊に臨戦態勢を命じました。
ええっ。
なんですと?それは、性急に過ぎるのでは……。
甘いよ、トラビアルス。我がウィンダスだって水陸両用カーディアンの配備を完了してるんだぞ。
ええーっ。
そんな話より全員そろったのなら、本題に入りませんか?
まだ、ゲッショー殿と連絡がとれておりませんが……。
ゲッショーは…無理なのでは。
申し上げ難いのですが、連絡のつかない方を悠長に待っている時間はないのではありませんか?
早く、始めましょうよ~。
……ついに、我々が恐れていた事態を迎えました。
やはり、決まったのですね。
そうです。近く、四国軍事会議が開催される運びとなったそうです。
水晶大戦から20年。一度も開かれなかった会議がついに……。
無論、開戦は回避せねばなりません。そのためにも、我々が情報収集を競い合っている場合ではないのです。
同感ですね……。そうだ、りぃはなにか知っているのではありませんか?皇国の中枢に浸透しているのでしょう?
いっぱい知ってるよぉ。
とりあえずこれまでの顛末を話さないと訳わかんないだろうな。
かくかくしかじか。
……そんな馬鹿な。オーディンの化身などと……。
……まさか、聖皇が臣下に捕らえられてるだなんて……。
そんなぁ……ドゥザフの賞金はもう……。
狙ってたんかい!
ねぇ、りぃ。他にも私たちに話すべきことがあるでしょう?
ん?
こっちが正解だったのね。
宣戦布告されたやつか。
……開戦は避けられないかもしれませんね……。
ええ。しかも恐らく水晶大戦を上まわる規模の戦いになる。
そして、犠牲者も……。