どう……して……！

……くすくすくすっ。

……あ、新しい……ほひゅ～冥路の……騎士さ……ほひゅ～フ、フリットめに……ございます。ほひゅ～

以後……ほひゅ～なんなりと……おも……おもう……ほひゅるるるるぅぅぅ～～～

くすくすくすくすっ……。

死んじゃった…。

フリットの仕事は新しい冥路の騎士を誕生させることだったんだろうね。

ルザフ！
……だいじょうぶ……だ。

怪我は！？
もう痛まない……。いや、痛みの感覚が……ない。

あらま…。

！！

助かったぞ、りぃ。お前が来てくれたからフリットの奸計に気づくことができた。
オオ、ソウダッタノカ。さすがハりぃダナ！

ありがとう、りぃ。

いえいえ、そんな。えっへっへ。

アフマウ、もういいのか？
うん……。あの風からは懐かしい音が聞こえた……。

そういえばフリットが、大量のアストラル風を浴びたからもうダメだ。って言ってたのに、アフマウピンピンしてるね。

マウの育ったワラーラ寺院のゴルディオスの間に吹いていた風と同じ涼やかな音……。だから、きっとだいじょうぶだと思うの。

ゴルディオスからもアストラル風出てたの？

その風と冥界の風が同じ？しかも涼やか？
どういうことなんだろう。

……さて、これからどうする……。
フリットが言っていたように、時間は多少あるのだろう……。この身体が、俺の意思のまま動くうちに……急ごう。

急ぐって？
鉄巨人を破壊するんだ。君の兄が復活させる前に。

そんな！だって、あれは……。

皇国の救世主か？そうかもしれない。だが……。完全なるオーディンの化身となった俺と、アレキサンダーの宿った鉄巨人が衝突すれば……。

！！……審判の日ね。勝者による正義の裁定が下されるという……。
ああ。両者の死闘で焼き尽くされた大地の上で正義の裁定とやらに意味があるならな……。だからラグナロク……最終戦争だけは何としても阻止せねばならない。

そして、鉄巨人を壊した後、俺自身にも決着を……

！？
て、提督。早く、早くお逃げください！！ふ、不滅隊がそこまで……

グワァァァ！！

アミナフだ。

お手柄だぞ。ナシュメラ。
……兄さま！

次期冥路の騎士と、外国の密偵を一網打尽にするとは。

くそっ。

下手なことはやめてもらおうか。漆黒のルザフ……それとも、冥路の騎士とお呼びすべきか？

ハザルムに潜り込んでいた貴様の手下はすべて、捕らえさせてもらったよ。

それから、貴様の噂を聞きつけてこの付近に参集しつつあった、イフラマド系の民衆もね。

わぁ…。

我々に非協力的とはいえ、あやつらも我が皇国の民ではある。無益な流血は避けたい。わかるな？
くっ。

……！

連れていけ。反アストラル拘束帯で厳重に縛れ。油断するなよ。

はっ。

リシュフィーが…いないな……。

…………。

……来いっ！
アフマウ……いや、聖皇ナシュメラよ。これが、君の国のやり方なのか？皇国は、やはり200年前からなにも変わってはいないのか！？

……待ちなさい！命令です。その人を放しなさい。

へ、陛下。恐れながら……。
構うな。行けっ！

ちょっと……わらわの命令がきけぬのか！

聞け、ナシュメラよ。お前は聖皇の身でありながら国政を放棄し、あまつさえ反皇国勢力と行動を共にした。

確かに。

故に、法に則り全権の象徴たるザッハークの印は宰相である私が預からせてもらった。
そんなっ！！

残念ながらお前には、もう何の権限もない。
そんな……兄さまは聖皇を……マウを裏切ったの？

ふっ、裏切った……か。お前にそれを言われる筋合はない。

確かに。
でもこれで、宰相に権力が集中したってことよね。
それはとてもとても良くないね。

りぃ……。
？

そろそろ、いいだろう？このかわいそうな愚妹に教えてやってくれ。貴様の本当の主が誰なのかをな。

本当の主ねぇ。
所属国はウィンダスだけどね。

冒険者は国家を越えて自由なのよ。

本当の主……？兄さま、なに言ってるの。りぃはマウの傭兵よ！

つくづく、めでたいやつだ。そいつが傭兵になったのも、お前に近づいたのもこいつが外国の密偵だからなのだぞ？
…………。

確かに中の国から依頼は受けたけど、頑張って近づいたというより成り行きでなし崩し的に感がすごいんです。

ううん。分かってないのは兄さまの方……。ルザフのことも、りぃのことも、兄さまは、なにも知らないじゃない！

国民のための政治ができるのは圧倒的にアフマウだってことが分かったのぅ。

（聞いて、りぃ……）

ん？

（これを「サラヒム」に……。）

ナシュメラから輝金の短剣を渡された！

ナジャ社長に？短剣を？

マウだって同じよ！りぃに身分を偽ってた……。でも、そんなこと関係なくいつだってりぃはマウを助けてくれてたわ。

アヴゼンが魔法を唱えだした。

（あれは移送魔法です……。止めますか？）
いや、捨ておけ。

逃げられていいの？？

りぃよ。貴様の飼い主に伝えろ。賽は投げられた。おとなしく聖皇の名の下に服属せよ、と。

宣戦布告！？

トリオン王子が「クリスタル大戦に匹敵する争乱がおこる恐れあり」って心配してたのはこれか！

エラジア大陸だけでなく、中の国にまで攻めてこようとしてるなんて。

りぃ逃げて！
えっ、私！？

自分たちを転送するのかと思ったら私を逃がすためだったの！

だいじなもの:輝金の短剣を手にいれた！