テュロム伯爵の使いのものではないようだが…ん?あのときの冒険者か?
ん…?
あ、あー!!
北サンドリアの、南サンドリアへ続く門の右の影に隠れるように立ってて、王城の設計図を使ってハルヴァー宰相を脅してる詐欺師だ!!!
ハルヴァーを脅してるどころか、王城の設計図をオークに売ってんのよ。更に、売ったくせに、オークから設計図を取り戻して来いって言うのよ。
脅して売って回収して…永久機関の完成!?
ブログには書いていないけど、とにかくこんな悪いヤツの依頼を受けたことがあって、恥ずかしながら顔見知りッ!
…そうか。テュロム伯爵が脅迫されていると聞きつけ、その相手を探るよう、頼まれたというのか。
うん。あんたが脅してるの?
脅迫者がわかったら、王立騎士団にでも、突き出すつもりか?
いやー、そこまで考えてなかったな。誰か知りたいだけだよ。
…それも違うというのか。相変わらず、変わった依頼を好んで受けるようだな。
好んでるわけでは…。
まぁ、いい。せっかく王国認定ゴールドを持ってきたんだ。おまえも俺の客だ。テュロム伯爵のネタを売ってやろう。
やったぁ。
アタルフォーネ盗賊団のことは知ってるな?奴等に金さえ積めば、仕事を頼めたってことは知ってるか?
知らなかった。
自分たちが狙った獲物だけ襲ってたのかと。
今でも奴等は、ただの盗賊団だと思われている。
うまいことやってたんだね。
奴等に姦計の一端を背負わせれば、依頼者はまったく疑われなく済んだってわけだ。
あー、なるほど…。一部の人から重宝されてたわけね。
だが、戦争が終わった後、盗賊団の団長アタルフォーネは、2人組の賞金稼ぎの働きで捕らえられてしまった…。
んー?
シーフAFクエの時、ヴォーダラムは「アタルフォーネが裏切り者に殺された」って言ってたんだよね。
ヴォーダラムは結局アタルフォーネの仲間だったみたいだから、軽く嘘ついてたのか、
いろんな話がまことしやかに錯綜してるのか、
賞金稼ぎが実は仲間だったのか。
この情報屋が言ってることが本当っぽい感じがするけどね。
そこで、客だった奴等は慌てた。アタルフォーネの口を一刻も早く封じなきゃならないってな。
喋られたら一巻の終わりだね。
そのひとりがテュロム伯爵。ギルド桟橋を領地にしてる伯爵様だ。
うーわ。
わるいひと。だ。
ずっと思ってたけどさ。
やっぱり、テュロム伯爵がアタルフォーネ盗賊団を使ってフランマージュを殺して、ギルド桟橋の領地を奪った?
伯爵様は考えたね。アタルフォーネが処刑されるのは確実だが、その罪状が調査される前に、口を塞がねば破滅だ。
そこで、牢の番人を買収し、アタルフォーネの食事に毒を盛った…。けれどそれこそ、アタルフォーネの狙いだった。首をくくられたり切り落とされたりじゃなけりゃ、死んだ演技はできるだろ?
なるほどね。
ククク…、そして、アタルフォーネはこの世から姿を消したのさ。
アタルフォーネ、生きてたんだ。
多くの腐ったブタどもを震え上がらせるネタをたくさん残してな。
料理しがいがあるねぇ。
このネタをおまえがどうするかは自由だが、アタルフォーネを敵にまわすようなことはしない方が身のためだぜ。
善良な一般市民だから、関係することはないよ。うん。
奴はあの後、西の異国へ高飛びしていたが、近頃になって舞い戻ってきたらしいからな。
西の異国?
私はまだ行ったことないけど、アドゥリンのこと?
そして最近、
え、戻ってきたの?
ヴォーダラムがタブナジア復興計画を進め始めたのは、アタルフォーネが戻ってきたからってのもありそうね。
おまえの依頼人が誰だか知らないが、それが普通の町人なら、教えてやるのは命取りだ。
確かにこれは…ダメだ。
アタルフォーネ盗賊団の名前を聞くだけであれだけ怖がってたのに、この一件に根深く絡んでる挙句、アタルフォーネが生きてるって知ったら…。
ダメだ。
それが死刑執行人からの忠告だ。じゃあな。
うん。色々教えてくれてありがと。
…え、ちょっと待って。
死刑執行人?
もしかして、王国認定ゴールドを持ってこの滝に来た人を、あのスライムで屠るのがこの人の仕事だった…?
独断で動いてるとは思えないし、雇い主は誰だ!?
…そして、結局テュロム伯爵の脅迫者って、アタルフォーネってことでいいのかな?
これだけ詳しく教えてくれたってことは、そうってこと?
セルビナの町長の所に、ルーヴランスを探しに来たっていうヒュムの女性も謎のままだなぁ。
うーん、ソバーヌになんて報告すればいいんだろう。