私はソバーヌ。夫は、王室料理人の長をやっております。
こんにちは。りぃです。
ご主人、王室料理長って、すごいなー!
実は私、夫よりとても気になる話を聞いてしまいました。そこで冒険者の方に依頼をしたいのですが…。
冒険者に依頼をするほどの?どんな話だったの?
…この依頼が誰かの耳に入れば、私たち家族が危険に晒されることになるかもしれません。
え、そんなにやばいやつ…?
もし依頼を受けていただけるのでしたら、血判を押してはくださいませんでしょうか?
血判!?
暁の女神アルタナ様に誓って、この件、他言せぬとの血判を…。
ハ、ハイ…。
ありがとうございます。では、誓いの証として国教会認定聖布をお持ちになってください。
そこら辺の紙じゃ駄目なの!?
お手数をかけますが、よろしくお願いいたします。
と、とんでもないことに足を突っ込んでしまった感!!
この依頼を受けて幾星霜。
いつのまにか国教会認定聖布を手に入れてたから続きをやりに来たよ。
ありがとうございます。国教会認定聖布と、冒険者の方の血判、たしかにいただきました。
ガクブル
これから私がお話しすること、決して他言しないとお約束ください。では、お話しします…。
…先日のこと、国王様のところにワーロンビリオ・M・テュロム伯爵様がいらしたそうなんです。
伯爵…?
テュロム伯爵様のこと、ご存知でしょうか?今は、ギルド桟橋付近をその領地として、あの地に館を構えていらっしゃる方でございます。
ふむふむ。
およそ30年前、あの地は、ミスタル伯爵家のものでした。
違う伯爵が出てきたっ。
名前覚えるの苦手だから、たくさん出てきたら分かんなくなるぞ…頑張れ私っ!
しかし、ある謎めいた事件によって、当主フランマージュ・M・ミスタル様は、その命を奪われ…その謎めいた死は、騎士たちに多くの衝撃を与えました。
え、フランマージュ?
フランマージュって、30年前の北方調査に行ったサンドリア代表の人じゃない!
魔晶石を奪え in ダボイ 前編 ここで登場して、
魔晶石を奪え in ダボイ 後編 ここで謎の死の様子が描かれてる。
フランマージュ、伯爵だったの!?
フランマージュ様のひとり息子であり、王立騎士団員であったレゼルビュー・M・ミスタル様は、その渦中に落とされました。
息子がおったんかい。
さまざまな憶測が飛び交い、もともと不仲であった神殿騎士団員のエプリフォーン卿と言い争いとなり、決闘を行うことになってしまったのです。
決闘!?そこまで?
え、いや待って。
この2人、同じフェイスタイプ?髪の色まで同じって、分かりにくいッ!!
しかしもちろん、今と同じく決闘は堅く禁じられている行為…。そのことが明るみに出た結果、レゼルビュー様は伯爵の位を剥奪され、奥様は幼い息子を連れて、セルビナにお帰りになられました。
ひぇ。
…そして、あれから30年。おふたりの間にお生まれになった男子は、それは立派な騎士様になられ…
フランマージュの孫は今30代ってことね。
ミスタル家の汚名をそそぐために、旅を始めたそうです。
おお。頑張ってるんだね。
お父さんのレゼルビューはどうなったんだろう。
しかしそれを知ったテュロム伯爵は、その男子を捜すようにと臣下に命じました。
えぇー!?
テュロム伯爵自らも30年前の真実を知りたいがために、力を貸そうということですが…テュロム伯爵の料理人が言うには、自らの領地が失われることを心配しているからだとか。
あぁ…。
フランマージュがいなくなって手に入れたギルド桟橋の土地を、孫に取り返されたくないってことね。
んん?
やましいことが無ければ取り返される心配しなくていいよね。
つまり、30年前のフランマージュの死にテュロム伯爵家が絡んでるってわけか…。
料理人の言うことだと馬鹿になさらないでください。彼らの元には、多くの食材と共に多くの情報が集まります。
もちろん。むしろ一番の情報源だよね。
テュロム伯爵が悪意をもって、ミスタル家の男子を捜しているのならば、くれぐれも気をつけるようにとその方にお教えしなくてはなりません。
ソバーヌも同じところに思い当たったのね。
あなたのように腕の立つ冒険者の方ならば、その方を捜し出すことができますでしょう。その方に、危険が迫っていることを伝えてさしあげてください。
わかった。頑張ってみるよ。
とは言ったものの、うーん、うーん。
登場人物が多いし、名前は長いし伯爵だらけだしよく分からん…。
えーい!つまり今の時点でこういう事ですね!?とりゃー!
作るの頑張ったっ。
手掛かりは…セルビナに逃げたという、レゼルビューの奥さんかな。