やぁ、君は立派な吟遊詩人になりつつあるようだね。オレの方はようやくあの人が去ってしまった傷口がふさがりそうなところだよ。
よっぽど好きだったのね。
今まであの人からもらった腕輪を、ずっと捨てられずにいたんだけど、もう思い切って別れをつげようかなって思ってるんだ。
そっかぁ。
名残惜しいけど、しかたない。でもオレ自身じゃ、とても捨てられそうにない。君、悪いけど僕の代わりに捨ててきてくれないか?
うん。わかった。
ありがとう。でも、こういう想いがこもった品はゴミと一緒に捨てるわけにはいかない。静かに眠らせる必要がある。ラングモント峠の奥にある忘却の泉へ投げ入れてくれ。
あの泉、そんな風に使われてたの。
ということは、底をさらえば思い出の品がたんまり出てくるんじゃ…?
じゃあ、頼んだよ。くれぐれもオークションなんかに出さないでくれよな。
えっ、そう言われると期待に応えたく…
だいじなもの:想い出の腕輪を手にいれた!
だいじなものかよーう!
ラングモント峠の北西の端。
ここだね。
タコ出てきたし!
なんでよ!!
さてと、改めて…
待ってくれ。
ん?
やっぱり自分で投げ入れようと思って追いかけてきたんだ。
そっか。はいどうぞ。
忘却の泉に想い出の腕輪を投げ入れた……。
何十年後、いや何百年後かに誰かがあの腕輪を見つけ、何を思うんだろう?あの腕輪のようにすべてのものには、人の想いが宿っているんだろうか…。
そうだねぇ。そうかもしれないね。
いや、オレたちが過去のそういったものを手にして、時の澱みにうずもれた想いを再びすくいあげることもあるのかもしれない。…そう思うと、少しせつないな。
ありがとう。なんか胸のつかえが取れたような気がするよ。これはお礼だ、取っておいてくれ。じゃあ。
ありがと。よかったね。
なんだかちょっと詩人ぽくなってきたね。
最初にあった時はくだを巻いた飲んだくれだったけど。
ペーパーナイフを手にいれた!