
 そういえば、ジョネットの頼みを聞いてくれたそうですな。タブナジアの料理のことです。ジョネットもとても喜んでいたようです……。
 うん。美味しい料理が増えたらいいね。
 ひとつ、お聞きしてもよろしいですかな……?
 うん?

 私が以前、サンドリアとタブナジアをつなぐ商人であったこと、どなたからお聞きになったのですか?
 サンドリアのルーヴァさんだよ。
 そうですか……ルーヴァさんというお名前はかすかに記憶しているような気もします。
お得意さんだっただろうしね。

 私の名前を覚えていらっしゃるのなら、きっと私の亡くなった妻のこともご存知でしょう。
 チラッと知ってるっぽかったよ。
 ……。少し……、お時間、よろしいですかな?


 これは、私の妻の形見なのです。これがどこで作られたものなのか、由来を聞いていただけませんでしょうか……。
 由来を?
  妻はこれをとても大事にしていたのですが、その由来を語ることもなく先に……。

 もしサンドリアに立ち寄ることがありましたら、よろしくお願いします。
だいじなもの:形見のアミュレットを手にいれた!

 あらまあ!あなたはタブナジアの商人の方とお知り合いでいらしたのですか。
 うん。戦火を生き延びてとっても元気だから安心して。
 良かったな、ルーヴァ。あの後もその商人のことを話していたものな。
 あらまあ、いやですよ、フェミト様。そんなかんぐるようないい方は……。

 けれど……奥様はもうお亡くなりになっていたのですね……。当時は珍しかったのですけど、とてもお歌の上手な方だったと記憶しております。

 それにお2人ともお美しくて……はたから見ても、それはもうお似合いでした。当時の若い女性の間ではよく話題になっていましたから、私以外にもきっと覚えている人もいると思いますよ。
えっ、これ、当時の2人?
 ただ……教会に属する女性がそこに出入りする商人と一緒になったことで、後ろ指をさされるようなこともあったようです。

 だからタブナジアに移り住んだ後は、そのデスパシエールさんももうサンドリア教会に出入りすることはなくなったとか……。
えっ、長老?えっ!?

 そうそう、この形見のアミュレットのお話でしたね……。はっきりとはわかりませんが、おそらく形からいって、サンドリア大聖堂由来のものなのは、間違いないのではないかしら……。
ふむふむ。
 けれどちょっと古くなっていて、書いてある文字も読み取れないところがあるようです……。

 見た感じですと、ギルド桟橋の近くに自生している、光るキノコの胞子をつけてみがけば、少しは見えるようになるんじゃないかしら?
 キノコの胞子で?
 年寄りの知恵みたいなものですからねえ……最近はすぐ古くなった物を捨てる人が多くて……。
昔の物の方が丁寧に作られてて長持ちするってのあると思う。
 ギルド桟橋に行くことがあったら、探してみるといいでしょう。

 もしきれいになったら、もうちょっと詳しいことがわかるかもしれませんから、また持ってきてくださいな。
 うん。

ここだって。
ジャグナーに本ワープで、そこからチョコボで。
ギルド桟橋のワープ偏ってるから調整してほしいなぁ。ジャグナー森林もだけど。

敵が出るんかい!
形見のアミュレットに、キノコの胞子をつけて磨いた!
だいじなもの:サンドリア大聖堂のアミュレットを手にいれた!

 ギルド桟橋に行ってこられたのですね。形見のアミュレットも見違えるようですね。
 詳しく分かりそう?
 これは見てみるとやはり……これは大聖堂で作られたものですね。昔の聖人の言葉を遺したものです。

 うっすらとその文字が読めるようになっています。言われなければきづかなかったことでしょう……。その言葉は……。

 ……。「信じる心があれば、後悔することはありません」
 この言葉は教会で聞いたことがある。「信じる心」とは女神への信仰をさすものだったが……。

 これの持ち主の気持ちは……きっと、それだけではなかったでしょうね。
信じる心、か。
 ふふ……。少し……妬いてしまいますね。フェミト様が変なことばかり言うからですよ。

 デスパシエールさんにもよろしくお伝えください。この言葉とともに……。
 うん。ありがと。

 おお、形見のアミュレットについて調べてきていただけたのですな……。しかもこんなにきれいにしていただいて……。
 どういたしまして。
 え?このサンドリア大聖堂のアミュレットに言葉が……?そうですか……後悔することは、ない……と……。

 すみませんが、少しの間……、年寄りの昔話を聞いてくださいますかな?
お、おう。

 妻が遺したひとり娘、つまり、ウルミアの母親は、とても信仰のあつい娘でした。きっと、元々サンドリア大聖堂にいた妻の影響があったのでしょう。
この子供がお母さんか。
 けれど……妻と娘が女神様のことについて話すたびに、私は複雑な心境でいたのです……。 疎外感、罪悪感……私の中に醜い感情がいりまじっていました……。私は所詮、ただの商人だったのですから……。
そんな気にしなくてもいい事では。

 私は……妻から信仰を奪ったのではないか?妻は後悔していたのではないか?
ああ、なるほどそういうことで…。
 妻が亡くなった後も、そしてウルミアの両親が亡くなった後も、その思いが消えることはありませんでした……。
一人娘にまで先立たれたのは辛すぎる。
ウルミアが生きててよかった。

 ウルミアは……妻や娘にとてもよく似ています。容姿も、その信仰も、その歌声も……。

 ウルミアがこの街をまた出ていくと言ったとき……胸が、はりさけそうになりました……。これは女神様が、私から、ウルミアを……そして妻を、取り返しにきたのだ……とも考えました。
奥さんにも娘にも先立たれたと知った今なら、ウルミアを必死に守ろうとしてたのも、ウルミアを危険から遠ざけようとしてたのも分かるな…。
 けれど……妻には妻の、そしてウルミアにはウルミアの「信じる心」があったのだと思います。

 そして何よりも……妻は……妻は、後悔していなかった……。せめて、そのことに対してだけでも、私は「信じる心」を持ちたい……そう、思います。
 そう……信じる心があれば……後悔することなどないのですから……。

 年寄りの昔話に長々とお付き合いくださり、ありがとうございました。これはせめてものお礼です。どうぞ受け取ってください。
エレガントリボンを手にいれた!