錆びたアイアン章ってのが必要なんだって。
錆びたアイアン章は次のストレージに存在します。
モグサッチェル
持ってたわ。
この錆びたアイアン章ってのが「鉄拳」ってこと?
「共和アイアン章」
バストゥークのってことか。
「863C.E. Xarcabard」
えーっと、863年っていうのは……ザルカバード会戦があって、闇の王が倒された年じゃないですか!
ザザーグもズヴァール城の戦いに参加してたのか!
……ん?お前、こんなところでどうした?
軍にスカウトされた後の話を聞くために将軍を待っていたのさ。
……なに、タイハールに言われて、オレを取材だぁ?ったく、あいつめ。口の軽い野郎だぜ。わりいが今オレはちょいと失せ物捜しで忙しくてな。また、今度にしてくれや。
……あん? ちょっと待て。そいつぁ……錆びたアイアン章じゃねえのか?よく見せてみろ!
どうぞ。
違えねぇ。お前、どっからそいつを……?
いつの間にかそこらへんの敵から拾ってた。
……なるほど。ったく、どうもいけねぇ。そいつを見ると、昔のことを思い出しちまう。
クリスタル戦争の時のものだし、それから20年いろんなことがあっただろうしなぁ。
……しょうがねえ。お前も、折角ここまで来たんだ。つまらん昔話だが、ちぃとばかし聞いてけや。
やったー!
客将になった後の話でいいんだな?
うん。
精兵を預けるって話だったが実際にオレに任されたのは、広大な皇国領の片田舎から徴兵されてきたケツの青い新兵と……懲罰代わりに憲兵に配属された荒くれ兵士ばっかりでな。
ああー。
ありがちな。
要するに問題児集団の束ね役ってとこか?ガハハハッ!
笑い飛ばす器の大きさよ。
当時もそうしたんだろうな。
だがよ。そんな連中でも、何度か共に死線をくぐりゃあ、顔つきが変わってきやがる。半年もすりゃあかつての部下の黄金銃士みてぇに背を預けられる戦友に変貌しやがった。
オレが手塩にかけて育てた連中だからな。そりゃ、うれしくてなぁ。
ザザーグ本人の強さもすごいけれど、人材育成能力がとても秀でてるのね。
そんな頃だったぜ。あの事件が起こったのは……。
これは、これはザザーグ将軍。巡視、おつかれさまでございます。
おう、ワマーダ。どうだい?この間、怪我した肩の具合は?
おかげさまで将軍から教えていただいたお薬でほれ、このとおり……。
てぇしたもんじゃねえか、おい。
へへへ……。
だがよ、もう歳なんだ。元気なのはいいが、ほどほどにしとけよ。孫娘が泣いてるぞ。
おやおや。ザザーグ将軍に比べりゃあ、まだピチピチの若もんですがな。
ガハハハハッ!こいつぁ、一本とられたぜ。
確かに年齢だけ見れば。
ザザーグ将軍!
どうした?
ついさっき、不審者が数名、上陸したとかで港の方で揉め事が起きてまして。
不審者だぁ?そいつぁ、オレたちの仕事じゃねぇ。まとめて不滅隊にでも突き出してやれ。
……そ、それがそいつら、将軍の名をしきりに喚いているみたいで……。
なんだと?
今は、沿岸警備の海象旅団の海兵が対応してるんですが……ひとまず将軍に知らせた方がいいんじゃないかと思いまして……
……そうか。礼をいうぜ。
それじゃワマーダ、またな。無理すんじゃねぇぞ!
……だからあっ!
べらんめぇ黄金銃士隊の面々じゃないですか。
何度でも言いやすけどあっしらはバストゥークの漁師。嵐に巻き込まれて遭難したんでして……。
いや、こいつは驚いた。バストゥークの漁師はプレートメイルを着て漁をするとはな…………嘘つけ!
この人、ザザーグの付き人と同じ顔してるけど別の人だよ。
ザザーグさんって人に話を通してもらえば分かりますよ。自分らの遠い親戚なんです!
……ほほうザザーグ将軍はガルカ族だが?貴様とは似ても似つかんな……。
子どもでも瞬時に見抜けるような嘘つくなんて、ちょっとヤバいですね。
ぐぐ……!!
お前ら!
ザザーグ隊ッ!……さん。
あくまで漁師を装う努力。
あ、あ、兄貴。お元気そうで……。
ガハハハッ!懐かしいじゃねえかなにやってんだ、こんなところで。
……将軍。お知り合いですかな?
ああ、そんなところだ。
将軍がそう仰るなら解放してもよろしいですが……不滅隊の耳に入るとちょっと厄介かもしれません。お気をつけください……。
おう、すまねぇな。
いったいどうしたんだ、お前ら。
兄貴が去ってからこっち黄金銃士隊は、組織改革とやらでえれえお堅え部隊になっちまいやしてね。
自分ら元ザザーグ組は肩身が狭くて……。
兄貴がこっちで将軍になられたって話を風の噂に聞いて、あっしら、もう居ても立ってもいられず……。
隊長!自分らを、また部下にしてください!昔みたいに、この国でも大暴れしてみせますよ!
お前らなあ……。オレがバストゥークのことは頼んだ、って言い置いてきたのを忘れちまったのか?
いえ、決してそういうわけじゃあ……。
帰れ!お前らの顔も見たくねぇ。
そ、そんな……!
……でそいつらの正体は?
……漁師と偽っていますがどう見ても、バストゥークの工作員であります。しかも、内部から手引きされた……。
どういうことだ?
止めに入ったザザーグ将軍は、明らかにそいつらと顔見知りの御様子でありました。
港の係の人、ちょっといい人なのかと思ったのに面倒そうな人にチクってるじゃないですか!
ほう……。それはまた興味深い……。
御意。おそらく本当は郊外で接触する計画だったのではないかと……。
よし……我が旅団の手柄にするぞ。不滅隊にばれる前に、急いで手を打て。
了解であります。
あまりにアホすぎて、逆に勘繰られてるんかい。
くくく……。目に浮かぶようじゃねえか。ヤツが吠え面かくところがよ……。
残念ながら埃もなにも出ないよ…。
いや、何も企んでなくても、他国の武力集団が元隊長に会いに来てる。しかも現在の国の将軍に。ってだけで大問題か。
どうなってしまうのか。
帰れといったら帰れ!
まだ粘ってたんかい。
お前ら、親兄弟を見捨てるってえのか?
後生ですぜ、兄貴!
ザザーグ将軍。
あんだ?いま、取り込み中だぜ。
うわ。来た。
お伺いしたいことがございます。御同行ねがえますかな?
ザザーグ将軍!どうなさったんですか?
味方も来た。
港は我々の管轄だ。関係ない者は下がっていろ。
なんだとう!?そんなこと言って将軍を連行するつもりじゃねえのかい?
俺たちが来たからにはそうはさせねぇぞ!
貴様らも同罪で連行するぞ!
ほほう。やれるもんなら、やってみやがれ。力尽くでな!
おいおい、お前ら、よさねぇか!
…………。
ザザーグ、苦労が多すぎる。
警戒警報! 警戒警報!
マムージャ蕃国軍
バルラーン絶対防衛ラインを突破!
なおも、
皇都に向けて進撃中!
全都市、第一級戒厳令発令!
繰り返す。
全都市、第一級戒厳令……。
あらま。
ちっ、こんなときに!
わりいが話は後だ。持ち場に戻った方がいいんじゃねぇか?
後で覚えていろ!
おい、お前ら。トカゲどもの狙いは西門だ!敵の出はなをくじくぞ。後からオレも行く。至急、迎撃準備にかかれ!
はい、将軍!
兄貴……あっしらは?
しょうがねぇ。オレについてこい!
へい!
緊急事態だもの。
戦力は多い方がいいものね。
ザザーグ将軍。貴公を探していた。
…………。
命令変更だ。オレが呼ぶまで、この場に待機。
へい……。
ルガジーンいるのに見るからに怪しい武装してる人連れて行くわけにいかないから仕方ない…。
いっぱい来たぁ。
……どう思う?
ご懸念どおりでしょう。こいつは陽動作戦ですな。
ほほう。
西門に来ている連中は派手に暴れちゃあいますが囮です。おそらく、本隊はどこか、別の場所を狙っているのでしょう。信号塔か、あるいは埋門……。
!!
しまった!南の埋門だ!つい先日、何者かに放火されまだ修理中なのだ。
なんたる。
至急、予備兵の手配を!
残念だがそんな余裕は我が軍にはない。傭兵すら、すべて出払っている……。
待て、どこに行く!
オレ1人でもちったぁ、倒せるでしょう。ルガジーンさまは指揮に専念しててくだせえ。
ひとりであの数相手するの!?
兄貴!
お前ら!
!?
いきなり他国の鎧着た集団が現れたらびっくりするわ!
勝手ながら話は聞かせてもらいやした。要らねえとは言わせませんぜ?
ちっしょうがねえヤツらだ。いいだろう。
泣く子も黙る黄金銃士隊の恐ろしさ。敵さんにたっぷり見せてやろうぜ!
おう!
合点だ!
跳んだぁ!
行け!!