……この層はこんだけかいな?
そうみたいやわ。ほかに気配は感じしまへん……。
変やな……手応えがなさすぎや。敵の本拠地やし、もっとゴッツい奴がようさんおるかと思ったんやけど……
……ギオ!大至急、城砦に戻りな!
……はれ?ロマーはんやないの。どないしはったん?おまけにりぃまで……
何事だ!猛虎のギオ殿に、コブラのロマー殿まで……。カルゴナルゴの守備はどうなされた!?
じゃかしいわ!人馬のドアホの命令や!神子はんの名前出されたらこっちぁ言うとおりにするしかないやろが!
怒ってるー!
み、神子さまの……!?
せやせや。それになぁ……
要点を簡潔に話してもらおう!
砦が危ないんだよっ!
カルゴナルゴが?
あぁ、実は……。
カルゴナルゴはいまタルタルの魔戦士だけで守ってはるんやろ?せやったら、ちょっとヤバいんとちがう……?
なるほど。耐魔装備が、すでに支給されはじめていたか。……予想より少々早いな。
……その縄文字に、ほかに情報は?
えっとね…。
「神が都への道をしめし、ウィンダスは滅亡する」……?
神?星の神子はんのことやろか?
何いうてはんの。ヤグードの神いうたら……
現人神、ヅェー・シシュ!
面白い。敵の総大将みずから出陣し、聖都を狙うか。それで此処はもぬけの殻だったというわけだ……
ちょっと、なに余裕こいてんのさ!早く聖都へ引き返さないと……!
もぬけの殻のうちにオズトロヤを抑えておければいいけど、そこまでの戦力が無いか。
ここにいる戦力をすぐに帰さないとウィンダスが危ないし。
……いや、敵の策は読めた。まずはカルゴナルゴ城砦へ向かう。ロマー殿、聖都に駐屯しているアナコンダ傭兵団を城砦に急行させよ!
わかった。ペリィに伝えてくるよ。
隊長自ら伝令でオズトロヤに来てウィンダスにも行くのか。
あっと、りぃ。アンタはギオたちとカルゴナルゴに戻りな。わかったね!
うん。
猛虎団を連れ戻してくれたんだ。よかった!
まだヤグードは来てないのね。
間に合って良かった。
あれから、人馬魔導団のヤツに耐魔装備の話をしたんだけど、聞く耳もたなくてさ……
これはこれは元帥閣下。ご無事で何よりでございます。一日千秋の思いで、お待ちしておりました。
調子いいなぁ。
世辞はよい。貴下は何故我が命に背き、猛虎義勇団をオズトロヤによこした?しかも、神子さまの神命を騙ったそうだな……
お言葉ながら、我らの精霊魔法と魔法防壁があれば、砦は安泰です。余剰兵力は有効活用すべきかと……
……。
……か、閣下!き、き、来ました!!
パットナオットナ、サンドリアからカルゴナルゴに戻ってきてたのね。
ヤ、ヤグード……ヤグードの大軍です!!いったい、どこから!?
……バカな!?そんなはずはない!
サルタバルタからアラゴーニュにかけて、点々と口を開ける奇妙な洞窟の噂を聞いたことがある……。入口こそ狭いが中は巨大な空洞となっているそうだ。それを利したか……。
ヅェー・シシュ。神を僭称する不届き者なれど、侮りがたし……。
……。
わぁ、いっぱいいる。
距離をおいたまま攻め寄せる気配がありませんね……。
敵の狙いは包囲だからな。だが、後背に聖都を抱える我らにとって、篭城は敗北と同義……
打って出るぞ。非戦闘員は内郭へ……
了解です!
……ミスラ傭兵団長、前へ!
ヤグード軍は矢の届かぬ場所に陣取り兵糧攻めの構えを見せている。それを突き崩すには危険を冒して、一隊が城外に出て奴らを誘い込む必要があろう。
だが、これは命を賭した任務になろう……誰ぞ、引き受けてくれぬか?
まかせな。
さすがロマー・ミーゴ。即断即決。
コブラ傭兵団!総員、城外でひと暴れするよっ!
ん?
ということは、私もですかっ!?
アナコンダ傭兵団、胸壁の上へ!ロマーたちに遅れをとるなよっ!
おもろうなってきたな~。よっしゃ、ウチらは塔の上からカモ撃ちといこか!
……ロマー、死ぬんじゃないよ。
はん、余計な世話さ。あんたこそ、胸壁から落ちるんじゃないよ!
この砦……否、連邦の命運、そなたらに託したぞ……