羽撃け、鷲獅子 其の参

ロロン 結局、我輩は見送りに行かなかったのでありますが……なんだかこうモヤモヤして……やっぱりこっそり行けばよかったであります。

そうやって成長していくのだよ少年。

ロロン はッ!この足音は……

ん?

ロロン ひッ、ひえ~~ッ!!て、て、敵襲であります~ッ!!

鬼軍曹じゃないですか。

ロロン こ、ここは我が騎士団の領地であります!大人は、た、た、立ち去れ……

盗聴器の一件でロンジェルツに雷落とされてヘコんでたんだよね。
足音で判別できるようになるほど恐怖体験だったのか。

ロロン ひぃッ!

一瞥くれただけで吹っ飛ばしたぁ!

ラーアル ロ、ロンジェルツさま。僕らの領地になにか御用でしょうか?

ロンジェルツ おい、ミジンコども。貴様らの頭はどいつだ?

ロンジェルツ ほう、どうした?怖気づいたのか?

いないんだなぁ。

ロンジェルツ しょせんミジンコの頭だな。ママのスカートの中で「戦争ごっこ」でもやってろ。
ラーアル な、なにっ!?

まさかここで初期の挑発マクロネタがっ!?

ロンジェルツ 傾注~ッ!

ロンジェルツ 後で、このヴェラニスがその豚どものボロ戦車を取りに来る。

ビスティヨ なんだって!?
ロンジェルツ それまでに少しは、そいつを掃除しておけ!お前らのせいで、しょんべん臭くて、かなわん。

ラーアル ふざけるな!これは、この基地は僕らのものだ!

ヴェラニス Vailanice すまない、みんな。どうしても次の作戦でその戦車が必要なんだよ。
ロンジェルツ ヴェラニス!……ガキに教える必要はない。

ヴェラニス はい、隊長。ですが、それでは彼らがあまりにも不憫です。なにしろ、この戦車は……
ビスティヨ まさか!?

ビスティヨ ロンジェルツさま。もしや、この我々の基地を模擬戦の標的にされるつもりでは?

ロンジェルツ はて、どうかな?ガキが知る必要はないことだ。

ビスティヨ やはり……この移動基地は僕がひと月もかかって、人間でも動かせるように改造したものです。壊さないでください!
ロンジェルツ ほう。そいつはまだ動くのか?

ビスティヨ !!

ロンジェルツ ならば、なお都合がいい。どうやら、貴様だけは役に立つミジンコのようだな。そうだ。ミジンコ工兵に任命してやろう。

ロンジェルツ ハハハハハ!しっかり、整備しておくんだな!

ラーアル くそっ、ロンジェルツめ!

子供ではまだアレには勝てんよねぇ。

マシェーグ ……ねぇ、あんちゃん。ぼくらの基地、なくなっちゃうの?
シラヌス Cyranuce う~ん。

ロロン か、かくなる上は鉄羊騎士隊と一戦交えるであります!
シラヌス Cyranuce 無茶いうなよ。エグセニミルだっていないのに。
ラーアル ……。

ビスティヨ ……あの僕に作戦の提案があります。作ればいいんですよ。もう一輌、同じものを。

ラーアル ビスティヨ、本気か?いまから?どうやって?修理するのにだって、ひと月もかかったんだぞ。
ビスティヨ なに。「張りぼて」でいいんですよ。

シラヌス Cyranuce もし、すぐに取りに来たらどうする?あの口ぶり明日にでも回収にくるかもしれないぞ。
ビスティヨ 回収担当のヴェラニスとかいう若い騎士。この僕らの移動基地の構造をどうやら、よく解っていないようでした。

ビスティヨ あいつが来たら「ギアが壊れたから修理してま~す」とかなんとか言って、時間を稼ぎます。
ラーアル ……よし!その作戦でいこう。ビスティヨ。君は、ここで製作の準備をしてくれ。

ラーアル ロロン、シラヌス、マシェーグ。君らは僕といっしょに来い。工人通りに潜入し木工ギルドから廃材をかっぱらうぞ。
シラヌス Cyranuce 了解!

使うやつじゃなくて廃材にするのえらい。

ラーアル それから、りぃ。悔しいけど、君は僕らよりずっと強い。すまないけど、ジャグナーに行ってオーク戦車の装甲を調達してきてほしい。
りぃ うん。

ロロン あの、ラーアル副団長……。
ラーアル どうした、ロロン?

ロロン 我輩……腰が抜けてしまって……。
ラーアル ははは。しょうがないな。立てるようになったら君はビスティヨの作業現場が見つからないよう、見張りを頼むよ。

ラーアル いつものようにね。
ロロン 面目ないであります……。
シラヌス Cyranuce ははははは。

ラーアル もう、裏切り者のエグセニミルなんか、僕らに必要ない。僕らの基地は、僕らの力で守るんだ!
マシェーグ おう!!

ビスティヨ ……。

ここにオークの戦車があるの?
どこにも見当たらないけど。

とりあえず調べてみるか。

えっ?

突然オークの戦車が出てきた!?

だいじなもの:オーク戦車の装甲を手にいれた!

なんで!!?