結局、我輩は見送りに行かなかったのでありますが……なんだかこうモヤモヤして……やっぱりこっそり行けばよかったであります。
そうやって成長していくのだよ少年。
はッ!この足音は……
ん?
ひッ、ひえ~~ッ!!て、て、敵襲であります~ッ!!
鬼軍曹じゃないですか。
こ、ここは我が騎士団の領地であります!大人は、た、た、立ち去れ……
盗聴器の一件でロンジェルツに雷落とされてヘコんでたんだよね。
足音で判別できるようになるほど恐怖体験だったのか。
ひぃッ!
一瞥くれただけで吹っ飛ばしたぁ!
ロ、ロンジェルツさま。僕らの領地になにか御用でしょうか?
おい、ミジンコども。貴様らの頭はどいつだ?
ほう、どうした?怖気づいたのか?
いないんだなぁ。
しょせんミジンコの頭だな。ママのスカートの中で「戦争ごっこ」でもやってろ。
な、なにっ!?
まさかここで初期の挑発マクロネタがっ!?
傾注~ッ!
後で、このヴェラニスがその豚どものボロ戦車を取りに来る。
なんだって!?
それまでに少しは、そいつを掃除しておけ!お前らのせいで、しょんべん臭くて、かなわん。
ふざけるな!これは、この基地は僕らのものだ!
すまない、みんな。どうしても次の作戦でその戦車が必要なんだよ。
ヴェラニス!……ガキに教える必要はない。
はい、隊長。ですが、それでは彼らがあまりにも不憫です。なにしろ、この戦車は……
まさか!?
ロンジェルツさま。もしや、この我々の基地を模擬戦の標的にされるつもりでは?
はて、どうかな?ガキが知る必要はないことだ。
やはり……この移動基地は僕がひと月もかかって、人間でも動かせるように改造したものです。壊さないでください!
ほう。そいつはまだ動くのか?
!!
ならば、なお都合がいい。どうやら、貴様だけは役に立つミジンコのようだな。そうだ。ミジンコ工兵に任命してやろう。
ハハハハハ!しっかり、整備しておくんだな!
くそっ、ロンジェルツめ!
子供ではまだアレには勝てんよねぇ。
……ねぇ、あんちゃん。ぼくらの基地、なくなっちゃうの?
う~ん。
か、かくなる上は鉄羊騎士隊と一戦交えるであります!
無茶いうなよ。エグセニミルだっていないのに。
……。
……あの僕に作戦の提案があります。作ればいいんですよ。もう一輌、同じものを。
ビスティヨ、本気か?いまから?どうやって?修理するのにだって、ひと月もかかったんだぞ。
なに。「張りぼて」でいいんですよ。
もし、すぐに取りに来たらどうする?あの口ぶり明日にでも回収にくるかもしれないぞ。
回収担当のヴェラニスとかいう若い騎士。この僕らの移動基地の構造をどうやら、よく解っていないようでした。
あいつが来たら「ギアが壊れたから修理してま~す」とかなんとか言って、時間を稼ぎます。
……よし!その作戦でいこう。ビスティヨ。君は、ここで製作の準備をしてくれ。
ロロン、シラヌス、マシェーグ。君らは僕といっしょに来い。工人通りに潜入し木工ギルドから廃材をかっぱらうぞ。
了解!
使うやつじゃなくて廃材にするのえらい。
それから、りぃ。悔しいけど、君は僕らよりずっと強い。すまないけど、ジャグナーに行ってオーク戦車の装甲を調達してきてほしい。
うん。
あの、ラーアル副団長……。
どうした、ロロン?
我輩……腰が抜けてしまって……。
ははは。しょうがないな。立てるようになったら君はビスティヨの作業現場が見つからないよう、見張りを頼むよ。
いつものようにね。
面目ないであります……。
ははははは。
もう、裏切り者のエグセニミルなんか、僕らに必要ない。僕らの基地は、僕らの力で守るんだ!
おう!!
……。
ここにオークの戦車があるの?
どこにも見当たらないけど。
とりあえず調べてみるか。
えっ?
突然オークの戦車が出てきた!?
だいじなもの:オーク戦車の装甲を手にいれた!
なんで!!?