

……ねえ、りぃ。もう、とっくに気づいてる……?
リリゼットも未来から来たってこと?
……そう、わたしもあんたと同じ冒険者なの。未来から来た、ね……。
冒険者だったんだ。

……そしてあの鉄鷹騎士隊長は、わたしの父バルマ家のラジュリーズ……。これから10年ほど後あの傷……いいえ、あの呪痕が原因で命を落とす運命なの……

だから、わたしね。ここが過去の世界だって知ったとき真っ先に考えたの……。

父は、ジュノ攻防戦でその呪痕をつけられたって、母から聞かされてた。だから、そこにさえ、父を行かせなければきっと、負傷を阻止できるだろうって……。だって、この世界で起きたこと……ううん、これから起きることをわたしは歴史として、知ってるんだもの。
今はジュノ攻防戦の前の時期だけど、ラヴォール村でそれが起こった、と。

……でも結局、助けられなかった……。きっと歴史が変わってきてるのよ!だって、おとうさんの日記にはラヴォール村に行った話なんて、まったく記されてなかったもの。
歴史が変わっている原因がどこかにあるはずね。
…レディ・リリスだったりする?

…………。

やっぱり、あの黒白ネコが……!

あの獣人も、わたしみたいに歴史を変えようとしてるんだわ。しかも、獣人血盟軍にとって有利な歴史に……。
いや、ケット・シーは人の子の未来のために戦争を早く終わらせようとしてるんだったよね。

ケット・シーはね…

ん?

見てらっしゃい!絶対に、あのネコをふんじばって、今度はこちらのいいように使ってやる!そして……

おとうさんをなんとか、助けてみせるわ!
勘違いしたまま吹っ切れたー!!

……ところであんたは、これからどうするつもり?まさかあの黒白ネコとの約束を、守ろうっての?
世界の嘆きの涙を減らす
世界を大戦の悲しみから救う
うーん、嘆きの涙の方が分母が大きくて、大戦の悲しみが含まれてるんじゃない?
ということはよ、嘆きの涙を減らせばまるっと解決ってことだわ。
世界の嘆きの涙を減らす。

……だーかーら!それあのネコに言われたことじゃない!こんだけ、わたしが話してるのに、あんたは!
めちゃくちゃ不機嫌になったー!!

……と、待てよ。そっか!そういうことね。とりあえずあのネコの言うことを聞いてるフリしてれば……あいつは、きっとまたのこのこ、わたしたちに、接触してくる……そういうこと、ね……?

冴えてるじゃなーい!あんたのこと、気に入ったわぁ!フッフ~ン♪わたしたち、いいパートナーになりそうね!
お、おう?

さあて、そうと決まれば、あのネコの現れそうな場所でいっちょ派手に暴れてみせて……「嘆きの涙」とやらを減らしてみせようじゃない!フ……

フフフフフフフフフフフ……。

ひぃー!
悪い笑いしてるぅー!



……マガーツ、ボシーのあるトコロー♪

アーカツキーのシンペイさんが、おりたちてー……
ん??
ケット・シーの後ろにケット・シーがふよふよ浮いてるぞ?????
【コーキ】 オイオイ!ヌーイ!預言詩なんか歌ってる場合じゃないゼ!

【シャハク】 コーキちゃんの言うとおりだよ。オカシいじゃないか。アイツら、どうやって、この世界に来たのさ?
3匹目!?

【トゥリ】 ねえ、ケッヘ?ヒョットして、ヒョットして……アトモスをとおってきた、なんてことは?
4???

【ヌーイ】 はっ!!
いつも会ってたケット・シーはヌーイって名前なのね。

【ケッヘ】 にゃははははは!トジマリを忘れたんだろ?ヌーイはいっつもテギワが悪いからな!ありそうなハナシだ!
ケット・シーがいっぱいおるー!!!

【ヌーイ】 ンまあ、シツレーね!だいいち、プロジェクトは、アタクシたちみんなのおしごとですわよ!

【アーン】 たしかに、ワレワレは個であり全だ。しかしそれは、きちんとプロセスが予定どおり実行されて、のハナシ……。

【ダァー】 ダイタイさぁ、なんだっけ?シンペー?正気とは思えないネ~。

【ヌーイ】 アーン!、ダァー!アータたちったらほんと、文句ばっかりね!フゥゥゥゥゥッッッ!
ニャアアー!って怒ったぁ!

みんな暴れながらニャァニャァ言い始めたああああ!!!

【シャハク】 ウルサい!ウルサいウルサいウルサーーい!!シズかに……トゥリがなにか、言おうとしてる。

【トゥリ】 ねぇ……ミンナ、大事なことを忘れないで……アーンも、オフクもなんどもアブナイめにあってる、ぼやぼやしてるばあいじゃないよ……?

【オフク】 うん、シッポつかまれて捕まりそうになったんだよぅ!こわかったぁ……
シッポを?
リリゼット達はつかんでないよね。
他の所でも見つかって狙われてるのね。
まぁ、こんな立って歩いて喋るネコとか珍しすぎて捕まえようとするよねぇ。

【トゥリ】 ほ、ほんと?だ、だれかがボクたちのプロジェクトをジャマしようとしてるのかな……?

【ヌーイ】 そういえば……この間からアタクシのことをネコよばわりして捕まえようとしている小娘がいるわ。
これはリリゼットだね。

【コーキ】 ナ、ナンだって!?オレら、誇り高きケット・シー族をネコ呼ばわりだと!

【シャハク】 アヤしいね、そいつ……

【トゥリ】 アヤしい……

【ケッヘ】 にゃはははは!なにをぼさっとしている!絶対、クロだ!ソイツは何か企んでるぜ!

【ヌーイ】 でしょっ?ですからみなさん、あっちは頼みましたわよ。アタクシは、その小娘と手下を見張りますわ!
あっち?

【ヌーイ】 がんばるわよン!!

【コーキ】 ハーイ!
【ヌーイ】 決まったわね。じゃあ、以上よ!!
ヌーイがリーダー的な感じなのかな。



個であり全でも、それぞれ性格は違うっぽかったね。
いやしかし、8匹もケット・シーがいてびっくりして会話が頭に入ってこなかったわぁ…。
ところで、Cait Sith の後に続く名前は何だと調べてみたら、アイルランド・ゲール語の数字とのこと。
ケット・シーがアイルランドの伝説に登場する妖精だからね。
Aon アーン 1
Dha ダァー 2
Tri トゥリ 3
Ceithir ケッヘ 4
Coig コーキ 5
Seachd シャハク 7
Ochd オフク 8
Naoi ヌーイ 9
ん?
6 ( sia ) がいないぞ?
意味深。