隠滅の炎 其の伍

アーデルハイト まずは雷管を取り付けてぇ……それから爆発を1分後にセット、と……。

1分?
せっかちね。

アーデルハイト 木馬さん、さようなら~。

私も早く離れ…

!?

( 右上 )

りぃ ぎゃふ!

アーデルハイト 完璧ですぅ~!

爆発5秒後やんけ!!

アーデルハイト あれ、探偵助手さんいつまで伏せてるんですかぁ?この調子で、残りもやっつけますよ~。もたもたしてないで、ついてきてください~。

プロマシアミッションでぶっ飛ばされた数々に比べたら、なんの、これ…しき……。

クララ りぃ、来たか。ここで最後だ。
りぃ いででで…。

マルティーナ Martina それでは、爆破します。みなさん、離れてください。

アーデルハイト ……?

どした?

アーデルハイト 待って……その木馬さん……

マルティーナ !?

光りだした!?

アーデルハイト みんな、逃げてっ!

マルティーナ きゃあっ!

こけちゃった!

アーデルハイト マルティーナ……!!

おっ。

ニコラウス 行ってはだめです!

助けられないよね。

こんな時こそザイドの出番でしょ!
何やってんのよ!!

ああああ!

ニコラウス、アーデルハイトを守ってるぅ。

マルティーナ…!

奥から誰かが!?

フォルカー ……ファイブムーンズ!?

こ、これは惚れてまうやろ!!

アーデルハイト マルティーナ、大丈夫!?
マルティーナ ええ……

ニコラウス いまの爆発は、いったい……

ファイブムーンズ 超大口径砲弾の特殊装薬が積まれていたのだ。大工房の分厚いベトンの防壁をも砕くという強力な装薬が……。

えぇ…。

アーデルハイト そうか!その炸薬の調整に敵は時間をとられていたんだわ。ごめんなさい。わたしがうかつでした……。
ファイブムーンズ 自分だって、ここへ来る途中ゴブリンの錬金術師が、そう話しているのを耳にしなければ、その事実を知り得なかった。

ゴブリンが作ったのね。

ファイブムーンズ ともかく、ケガ人が出なくてよかった……。
マルティーナ あ、ありがとうございます……ファイブムーンズさん……。

本当に良かったよ。

ザイド ふっ、皮肉なものだな。貴様がヒュームの女を助けるとは……。

テメーはどこ行ってたんだよ。

フォルカー ザイド、よさないか!

ザイド よくも、ぬけぬけと隊長の前に顔を出せたものだな。いまや貴様は銃士ではなく反逆者なのだぞ。それとも、いまさらながらおのれの仕出かしたことの重大さに気づきお縄を頂戴しにきたのか?

フォルカー ザイド……!お前、よくもそんな……
ファイブムーンズ いいんだ、フォルカー。ザイドに自分の気持ちがわかるものか。こいつには希望も理想も……夢すらないのだからな……。

メタクソに言ってる。

ファイブムーンズ ……だが、ウェライやグンパの言うとおり、ヒュームとの争いに力を行使したのは、自分の誤りだった……。

ファイブムーンズ 気がつけば自分は憎んでいたヒューム高官と同じやり方を選んでしまっていたのだ。

ファイブムーンズ 自分のせいで、あたら若き同胞の命を散らせてしまった……。
フォルカー ファイブムーンズ……。

クララ 話はそこまでだ。直ちに首府へ戻るぞ。ファイブムーンズ、お前もだ。
ファイブムーンズ 隊長……?

クララ いまは、正規軍も反乱軍もヒュームもガルカも、どうでもいいことだ。大切なのは、国民一丸となって美しきわが街バストゥークを、亀どもの魔手から護ること……違うか?

ファイブムーンズ はいっ!

本の影響から抜け出せてよかった。