いやぁ、驚きました。聞きました?アジドマルジド院長のこと…。
捕らえられた。ってやつ?
闇牢に繋がれた罪人が出たのは、何十年ぶりなのでしょうか。
え、そんなに?
本当によっぽどの罪を犯した人しか入れられないのね。
…何十年前には、誰が入ったんだろう?
しかし、なんでも、アジドマルジド院長が捕まったとき、どこぞの冒険者も彼と共にいたとか。
ドキィッ!
その冒険者にはおとがめはないのでしょうかね。
や、やっぱり怒られるかな…。
牢屋に入るのは嫌だなぁ…。
それはさておき、あなた、神子さまからお呼びがかかっていますよ。どうぞ、この先の天の塔をお登りください。
ヒイィ!神子さまから!?
うぅ…。
しかし神子さまのお召しなら行くしかないぃー。
…アプルル、あなたにも分かっているはず。召喚はとても危険なもの。人が手を出してはならない領域…。
いくら口の院院長といえど、許可なくホルトト遺跡に手を加えて…。その暴挙は、もはや見過ごすことはできません。
ウィンダスを束ねる者として、こういうことはちゃんとやっておかないといけないものね。
でも、神子さま!20年前、カラハバルハさまの召喚魔法のおかげでウィンダスが助かったのは事実でしょう?
だよねぇ。
ウィンダスの街の中までヤグードに攻め込まれて、もうどうやっても敗北の状況から、カラハバルハの召喚で一掃して大逆転したんだものね。
それはもう比類なき力よね。
確かに召喚は、とても危険な魔法だと思います!だけど、おにいちゃんが言うように、もしその魔法を使いこなせれば…
アジマルならできそうな気がしちゃうしね。
過分なる力は争いを生み、多くの過ちを引き起こします。…過ぎたる力は、過ぎたる望みを呼び、国を滅ぼすに至るのです。危険な思想を持つ者を、野放しにはできません。
うーん、確かに。
アジマル、力を求めるあまり暴走しちゃってるわけだし。
誰かアジマルの抑えになる人がいれば…。
だからってひどいです、神子さま。おにいちゃんは、ワカラズヤでバカでトンマだけど私には、たったひとりのおにいちゃんなんです!
アプルルちゃんひどいw容赦ないwww
あっ…。
走って行っちゃった。
りぃ…来ましたか…。
ピッ
守護戦士に聞きました。あなたはあの時、アジドマルジドと共にあの場所にいたそうですね?
はい…。なんとも成り行きで…。
あなたも、彼と同じ考えを?ウィンダスも、獣人を相手に戦うべきだと考えているのですか?
いや、そんなことは思ったことないなぁ。
仲良くできるに越したことはないよ。
いいえ。
いいえ、隠さずともわかります。あなたのその瞳に映るは、戦いに燃える炎。…けれど、今のウィンダスには、20年前のように、獣人と互角に戦う力はないのです。
イヤァ!信じてぇ!!
しかし、この話は、ここまでです。今日、あなたをここへ呼んだのは、あなたにも禁を破った罪をつぐなっていただくため…。
ひいええぇえ!!
ただ、安心なさい。あなたには、大きく尊い功績がありますから、あなたを闇牢に繋ぐようなことはいたしません。
闇の王倒しててよかったー!!!
しかし、あなたが口の院院長と共に犯した罪は、あなたが思っている以上に重い…。この罪に、目をつぶるわけにもいきません。
そんなにだったの…?
よって、あなたには、先日オズトロヤ城から天の塔へ届いた、ヤグードの「聖者」による招待に応えていただきましょう。
ヤグードの聖者?
これは、ギデアスの「バルガの舞台」にて開かれる武闘会の招待状です。ウィンダスの勇士とヤグードの勇士が剣を交え、互いの信頼を確かめ合う…それが目的だということです。
武闘会…。
けれども、この武闘会で彼らが用意した最強の戦士に勝てなければ、ウィンダスは、献上品を増やさねばなりません。
それって、負けたらウィンダスがまた苦しくなるってことよね。
あれ?ウィンダスが勝ったらっていう条件は?
まさか無し!?
今、そこまでヤグードの方が立場が強くなってるってこと?
…。りぃ…。私を恨んでいるでしょう。けれど、ただ一言、言わせてください。
…どうか、お気をつけて…。
神子さま、本当はこんな罰とか与えたくなかったのかな。
武闘会に参加するって、ものすごく危険なことだけど…。
闇牢に入れるほどの罪を犯して、でも闇の王を討ったという実績を差し引いて、それで周りが納得して示しもつくラインが武闘会に参加させることだったんだな。きっと。
そして神子さまは、私が必ず勝って帰ってくるって信じてるから、受けさせたのね。
はい。行ってきます。
どういうことが起きたか既に聞き及んでいるとは思うが…
うん。アジマルが闇牢に…。
一体、おまえさんはどういうつもりなのだ!口の院院長にはあれほど気をつけよと言ってあったろうに!
ごめんなさいー!
ズババ様がめっちゃ心配してくれてるー!
…。あうう、涙を禁じえないなの。
ごめんねぇ。なんだか成り行きでこんなことに…。
ただ、こう言うしかないなの。…お願いだから、生きて帰ってくるなの。
うん。ありがとう。またロランベリー持ってくるよ。