フィーーーーーック!!!
散々迷いに迷い、数々の分かれ道を潜り抜け、2階に行ったり階段を降りたり、すんごい長い道を抜けてきた先に倒れたフィックが!
どうしたの!
フィック…!?
フィック…!?どうしたの!?大丈夫!?
ええええフェレーナ!!?
どうしてこんな、散々迷いに迷い、数々の分かれ道を潜り抜け、2階に行ったり階段を降りたり、すんごい長い道を抜けてきた先に無傷で汚れひとつないドレスを着たフェレーナが!?
フィックが倒れてることよりも、フェレーナが現れたことの方がびっくりだよ!!実は高レベルの強者なの!?
う…!フェレーナ…姉ちゃん…
なんてこと…。フィック、どうしてあなたがこんな目にあわなくてはならないの?どうして…?
姉ちゃん…誰も…悪く…ない…憎んじゃ…ダメ…
そうね、フィック…、憎しみからは何も生まれないんだったわよね…。
ああ、あなたの想いが伝わってくる…。わたしたちみんなが、この想いを分ちあえたなら、きっと…、きっともう争いなんてなくなるのに。
姉ちゃん…泣か…ないで…
えぇ、フィック…、心配いらない。わたしは…わたしは大丈夫だから。
よかった…
もう何も話さなくていい。言葉にならないあなたの思いが伝わってくるわ。いつもあなたから感じていた温かさ…。今は…、今は安らかに眠りなさい。
うん…ただ…フェレーナ姉ちゃん…
え?なに、フィック?
ありが…と…
フィック…
フィック…。どうか愚かなわたしたちを導いて…。
フィックは、ヤグードにやられたのかしら?それとも通りすがりの冒険者に?
どちらかは分からないけど、全く悪意のないフィックは理解しようとしない者に倒されてしまった…。
フィックは、いつも人と獣人は分かりあえるはず、と言っていました…。
言葉が通じて意思疎通できるんだから、そのはずだよね。
あなたはこれからもきっと獣人たちのことを憎み、争っていくのでしょう。いえ、憎むことすらなく、戦い続けるのかもしれない…。
憎んではいない…な。クリスタル戦争を経験していないし、憎く思うきっかけがなかったから。ただ、確かに、身を守るために、大切なものを守るために、戦うのかもしれない。
でもこれだけは忘れないで。獣人の中には、フィックのような思いをいだいている者もいるのだ、ということを。
うん。わかった。
そして、目の前のことだけじゃなく、自分が知らず知らずのうちにのっている大きな流れのことにも早く気がついて…。
え…?
フィックの身に起こることも分かっていた感じだったし、フェレーナにはいったい何が見えているの?