りぃか。コトールポワンから話は聞いている。やつの死体があがらぬのが気に入らないが上出来だろう。「精霊の障壁」もなくなったそうだ。
本当に殺せって命令だしてたのかぁ。
時にりぃ、分かっているだろうな。
分かって?
…ああ、見聞きしたことを漏らすなってことか。
でも、どれを?
クレーディ王女が変装して出かけて危険なことをしてたこと?
ロシュフォーニュに関すること?
屍鳥隊のこと?
どれのことか分かんないよ。
フッ、りぃ、そう私を困らせないでくれ。
くれぐれも屍鳥隊のことは内密にな。これが他国に知れれば四国協商会議の折に何を言われるか分かったものではない。ましてや今度の件は父上も不在であったことだし……。
それか。
そっか、クレーディ王女が出かけてたことは王子たちは知らないのか。
父上はずいぶんよくなられたようだ。もうじきこの椅子に戻られることだろう。
おっ、よかったねぇ。
いよいよだな。大聖堂で行われる継承の儀の際には、護衛を頼むことになるだろう。では、下がるがよい。
はーい。
そういえばピエージェ、クレーディはどうした?
なにやら庭でふさぎこんでいたようだが……。
うむ……。だが、仕方がない。これもサンドリアのためだ。あやつもいつか分かってくれるだろう。
兄上……。
なんだピエージェ。
もしも、もしも兄上も私も聖剣を抜くことができなかった場合、どうなるのだろうか……?
ハッハッハ!何を心配しているかと思えば、ピエージェよあの聖剣を抜けるのはもはや私かお前しかおるまい。分かっているだろう?
いや、クレーディ王女でしょ。
お前の小心ぶりもそこまで行けば立派だ、ハッハッハ。
……。
トリオン王子の深くは考えないが有り余る行動力。
ピエージェ王子の思慮深いがためらってしまうところ。
やっぱりトリオン王子にピエージェ王子が参謀として付いたら、サンドリアはうまく回って行く気がするね。
あ、王女。
落ち込んでるのかなぁ。
まぁ、そうだよね…。
誰……?
ん?
オークが……!?どうしてここに?誰か、誰かいないの?
ええっ!なんで!?
あっ、背後から誰かが。
屍鳥隊……!?
やつらはもうここまで来ているというのか。壁が破られた今、計画を変えるしかないな……。
汚らわしい!ここから去りなさい。あなたが入っていいところではないのですよ!
一応助けてもらったんだから、お礼を…。
失礼しました、姫。しかし、あなたにお話したいことがありまして、参上いたしました……。
私に話……?
……あなたは一体?
あっ!!
コトールポワン の顔じゃない!
ロシュフォーニュ だな!!
生きてると思う。どころか、怪我してる。どころか、ピンピンしとるやん!!
斬られた時にわざとに鎧に当てて大袈裟に壊した。とかしたのかな。
とにもかくにも…。
毎回毎回ロシュフォーニュは忍び込むし、オークまでこんなお城の奥深くに出てくるし、
警備もっとしっかりして!!