おまえたちは、
この地にはびこる災いであり、悪夢であり、
世界をおおう恐怖、悲しみ、
絶望そのものである。
だが、希望がないわけではない…。
どんな嵐の夜をもつらぬき、
輝くひとつの星がある。
どんな獣の叫びにも消されず、
流れるひとつの唄がある。
災いは祓われねばならない。
闇は払われねばならない。
それがどれほどつらく、
哀しいことであろうと…
そうだ。
知恵と勇気と信念をたずさえた、
誇りたかき者…
さあ、深き眠りよりさめ、いまこそ立て、
伝説の勇者たち、
クリスタルの戦士よ…
ル・アビタウ神殿についたけど…また謎の唄が頭の中に。
その時によって微妙に内容が違う。
何度も聞いたフレーズの中に、違うフレーズが混じってくるんだよねぇ。
4番くらいまであって、ごちゃ混ぜになってるのかな。
うろ覚えの歌詞、1番と2番が入り乱れて歌ってしまう。みたいな。
ついにここまできたわね。
ん?
あっ、この生足は!
どうしてここに?なんてやぼな話はなしよ、りぃ。この世界が変わるかもしれないってときにじっとなんかしてられないわ。
さすがおてんば娘。
父さんには悪いけど今回だけは独断で行動することにしたの。エルドナーシュの好きにはさせない。私も最後まで戦うわよ。
ま、来るとは思ってたよ。
…でも不思議よね。りぃと初めて会った時はまだ駆け出しの冒険者って感じだったのに。
初対面でマシンガントークを一方的に繰り広げられて、ドン引きしたのを覚えています。
それがいま、世界の命運を賭けた戦いに挑もうとしている。誰も知らない遥かなる空の上、決して語り伝えられることのない戦いに。
ねぇ、りぃ。無事にすべてが終わったら私と一緒に世界を旅して回らない?
えっ?
なにを突然って顔ね。ふふ。約束よ、りぃ。
えっ?
そろそろ行くわ。いい?約束忘れたら承知しないからね。
えっ???
返事してないのに本当に行っちまった!!
一方的なのは相変わらずでしたぁッ!!
仕方ない。私も向かうか。宿星の座。
真っ赤だし!!
アラート鳴ってるし!!!
怖いよ!!!1!
うわあああああ
あっ!
エルドナーシュ!いた!
ザイドもいる。
あっ、何か技をくらって…?
ち…、やられた。
くっ、体が動かん…。これがクリスタルに接触した者の力か。
おまいら、またかよ!!!!!
やあ、おまえ達か。ついに、ここまで来たね。
あっ、今、お邪魔でしたでしょうかー?
さて、と。それじゃ、めんどくさい挨拶はぬきだ。お互い手の内は分かってるしね。
単刀直入にいこう。クリスタルラインの復旧に邪魔な獣人どもはおまえ達冒険者の働きでいずれいなくなるだろう。修復が済み次第、ここで神の扉を開く。
クリスタルラインはまだ壊れてるけど、神の扉は開けるのね。
フェレーナがトゥー・リアを呼び出した時に、デルクフの塔から打ち上げられたエネルギーでとりあえず足りるってことなのかな。
その時ヴァナ・ディールがどうなるかはわからない。だが、神の扉をくぐれば真世界に…、神々の楽園に入れる。ジラート1万年の夢が、ようやくかなうんだ。
おまえ達は、どうする?僕と共に神の扉をくぐらないか?より高い次元の生命に生まれ変わりたくないか?それとも…
神々の楽園は見てみたいけど、ヴァナ・ディールが壊れる可能性があるのはいただけないなぁ。
ことわる?どうしようもないバカだな、ほんと。最後のチャンスだっていうのに。より高い次元の、新しい生命になれるっていうのに…。愚かで、救いようないよ、ほんとに。
うん、でもさ、根本が違うのよ。別に、より高度な生命体になりたいとは思ってないから。
まさか本気で思ってるわけじゃないよね、自分たちで何かを変えられるだなんて?
1万年かけて進化したように、少しずつ、変えられるよ。急激な変化はひずみを生みやすい。対象が大きくなるほど顕著に。
ちっぽけでさ、とるにたらない、くだらない存在でしかないよ、人間なんて。内に闇を抱え込んで、世界をどんどんダメにしてくばかりじゃないか。
ジラート人は立派な存在だったんでしょう?それなのに、どうして、滅んでしまったんだろうね?
ん?乗り物?
まあ、いいや、そんなにムダ死にしたいって言うなら、べつにどっちでもかまわないよ。
僕の計画に協力しないというなら…、おまえ達はここで終わっちゃえ!