ウルミアはヒナリー夫人の所だって。

冒険者の方、よくおいでになってくださいました。プリッシュさんは見つかりまして？
ううん。まだだよ。

……そうですの。大変なことになりましたわね。ウルミアさんからだいたいのことはお聞きしました。

プリッシュさんは、患いの身だというのに、争いに巻き込まれて行方知らずとか。それも、ジュノより各国に手配されるまでに追い詰められて……。

ジュノは気軽に指名手配するからな！

……冒険者の方。あなたは、今のプリッシュさんと面識がおありですのよね？
うん。

私は随分と前に一度、面識がある程度なのですが、そのときの印象では罪を犯すようなお嬢さんとは思えませんでした。

あんなに明るく元気で前向きな犯罪者はいないだろうなぁ。

ですから、杞憂だとは思うのですが、ひとつ気にかかることを思い出しましたの。それは、ミルドリオン枢機卿様がプリッシュさんをお連れになったとき。主人は「あの子には気を許すな」と申していたのです。

ほほう。

理由を尋ねますと、彼女は不遇な生まれにて、いずれ大罪を犯す定めの下に生まれてきたとか。それ以上のことは、教えてはいただけませんでしたが……。

ミルドリオン枢機卿と、前教皇と、カッファル伯爵はプリッシュが何者か知ってて何が起こるのかも知ってたのかな。

いえ、けれどもご安心なさいまし。私は私利私欲を捨て、女神アルタナに帰依する身。どんな罪を犯していようと、助けを求める弱き者をむげにはいたしませんわ。

ラヴォール村でも務めていただけある。

ウルミアさんにはここに滞在していただいて、私もできる限りのご協力をさせていただくことにいたしました。それで……冒険者の方。ぜひ、ウルミアさんにご伝言をお願いできませんでしょうか？
うん？

実は、先ほどサンドリア大聖堂にお勤めの高僧シャザルヴィージュさんより、お話ししたいことがあると伺いました。ウルミアさんはサンドリア港にいらっしゃるでしょう。よろしくお願いいたしますわ。
うん。わかった。