いったい、なにが……
こ、ここは……!
これが……5つ目の……?
母なるクリスタルだ。
でもなぜ……、このクリスタルだけ、これほどに異常な輝きを放っているの……?
真っ赤だもんなぁ。
それに、なんだか寒いわ。他のクリスタルの近くでは、とても温かくて安らかな気持ちだったのに……
??? : (それは、このクリスタルがヴァナ・ディールのものではないからだ)
ヴァナ・ディールのものじゃない?
ってか、誰。
光っ…。
(1万年の昔、神都アル・タユの地下にあった、5つ目の母なるクリスタル)
セルテウスだった。
(神都アル・タユがヴァナ・ディールから分かたれる際、そのクリスタルも共に失われた)
(しかしそれは完全なる離別ではなかった)
(クリスタルラインが再び起動され、5つ目の母なるクリスタルから、その光、エネルギーが吸い出されると……)
(このクリスタルは神都アル・タユと共に、ヴァナ・ディールに戻らざるを得なくなった。)
つまり、一度異次元に行ったけど戻ってきたってことね。
それは、このクリスタルが、神都アル・タユを支える力を失いつつあるからってことだな?
神都アル・タユを、支える?
もしや、真龍の王バハムートが話していたのは、このクリスタルのことなのか?
ああ。このクリスタルが弱まったせいで、「世界の終わりに来る者」がヴァナ・ディールに降り立とうとしてるんだ。
まだいなかったのね。
……なら……このクリスタルに……力さえ満ちれば……!
神都アル・タユの落下は防がれ、「世界の終わりに来る者」がヴァナ・ディールに解き放たれることもない。……かの者セルテウス、そして霊獣フェニックスも、そう、考えていたのでござるよ。
なるほど。
それならそうと最初から言えば、争う必要もなかったのでは!?
だからこそかの者は、ヴァナ・ディールに残された4つの母なるクリスタルを巡り、その光を、その力を吸い出した。その力をこのクリスタルへ注ぎいれるために……。
(……しかし私は、虚ろなる闇の子。光の荷い手にはなり得ない)
(そこで強い荷い手が、君が、必要だったんだよ)
…え?私?
りぃ、おまえも気づいていただろ?いつしかおまえにも、人の心の声が聞こえていることに……。
それはおまえに、アミュレットを通して、4つの光が集まっていたからなんだ。
アミュレットを通して?
セルテウスがこっちの様子を伺うために渡されたんじゃなくて、母なるクリスタルの光を私に送り込むためのものだったの!?
今私の体の中は4つの母なるクリスタルの力が…
だからケルトトに「うわぁ!なんかきみ、すっごいまぶしいんだけど、いったいなにもってんの!?」って言われたのか!
霊獣フェニックスはおぬしのことをこう呼んでいたでござる。母なるクリスタルの「光の器」。
そして、この母なるクリスタルの前で、砕かれるべき器だと……
えぇ!?
いや、砕かれないと光出せないの?
別にいらないから、そぉ~れ!って出したいんだけど!
(そう、君の旅は、クリスタルのためにあったのだ)
(永い永い旅は、今ここで終わりを告げる)
(さぁ、りぃ。還ろう。クリスタルへ。
む、むむ…
君の死こそが、
世界と人、
どちらも救う
唯一の方法なのだから……
でたらめ言ってんじゃねぇ!!!
はっ、
ぜぇはぁ。
プ、プリッシュ…。
セルテウス!世界も人も、どちらも救うというのなら、俺やおまえ、人ではないものが犠牲になるべきだ!
それに、テンゼン!命の霊獣フェニックスは、ただりぃを砕くために導いてたんじゃないだろ?
自分の半身を使って、りぃの砕かれた命を再び蘇らせるつもりだったはずだ!
マジですか!
フェニックス…。
俺だって一度は、「世界の終わりに来る者」だったんだ。あの恐ろしさはよーく知っている。
でも、頼む、セルテウス!りぃに5つ目の母なるクリスタルの光を与えてやってくれ!!!
りぃがたくさんの試練に耐えることができたのは、「虚ろなる闇」に抗える……4つの「輝ける光」を宿していたからだけじゃない!りぃには、強い意志があったんだ!人と世界を愛する強い意志が!
だから、りぃなら必ず勝てる!「世界の終わりに来る者」に!
セルテウス!神都アル・タユへの道を開いてくれ!!!
考えてる…。
魔法!?
!!!
プリッシュ!!!
げっ、頭から落ちた…!
またおまえかよ!!!