呪縛ほどけるとき 其の参

白タルの散歩道

タブナジア侯国。
行ける日が来るのだろうか。

白タルの散歩道

ん?

白タルの散歩道

オープニングのアルドと同じポーズしてる。

白タルの散歩道

プリッシュ おっと、見つかっちまったようだな!?
りぃ なにしてるの?

白タルの散歩道

プリッシュ りぃ。ここに来たことはあるか?ほら、こっからだとよーく見えるだろ。俺が生まれた街、「世界の終わり」が生まれた街……タブナジアがよ?

白タルの散歩道

プリッシュ 俺はずっと、世界の終わりってもんがどんなもんかそれだけを考えて生きてきた。

自分が引き起こすと言われたものがどんなになるか、そりゃあ考えてしまうよね。

プリッシュ このままずっと永遠の命を生きていたら、必ず世界の終わりを見れるはずだ。

白タルの散歩道

プリッシュ 男神プロマシアの復活でも、眠れる神々の目覚めでも、獣人どもの勝利でも、人間たちの自滅でもいい。

白タルの散歩道

プリッシュ 世界が終わる。そのときになれば、いくらなんでも俺の命も終わる。

白タルの散歩道

プリッシュ あんときさ、あの扉の前で、男神プロマシアは、それを俺に見せてくれるって言ってたんだ。

プリッシュ そんとき、俺は気づいた。世界の終わりを見たがっているのは、世界の終わりを誰よりも待ち望んでいるのは、ほかでもない。

白タルの散歩道

プリッシュ この俺だってことをな。

プリッシュをもってしても永遠の命は耐え難い…。

白タルの散歩道

プリッシュ ……だから俺は、あの黒い魔晶石を、男神プロマシアにぶっこんじまった。あれが母なるクリスタルに戻り、再び「世界の終わりに来る者」がいつか生まれ出てしまうことを望んじまったんだ。

あれは攻撃したわけじゃなかったのね。
やっぱり男神に投げ入れるのは相当やばい事だったのか。

白タルの散歩道

プリッシュ ミルドリオン様は、こんな俺に、なにも言わなかったよ。

気持ちが分かるんだろうな…。

プリッシュ ただ微笑んで、おまえに会えって言ってくれた。
りぃ 私に?

白タルの散歩道

プリッシュ なんでだろうな?おまえに嫌われちまうことが、俺への罰だと思ったのかな?
りぃ そんなことないのでは。

白タルの散歩道

プリッシュ 違うさ。だって、ほら、胸がいてぇんだ。

胸が?

プリッシュ おかしいだろ?今までいろんな人にいろいろ言われても、人じゃねぇやつらに責めなじられても、こんなことなんなかったんだ。

白タルの散歩道

プリッシュ けど、なんにも言わねぇおまえは、そうやってそこにいるだけで、胸がいてぇんだ。

えっ…。

プリッシュ 殴られたり、蹴飛ばされたり、傷つけられたり、刺されたり、そういった痛みじゃねぇ。

白タルの散歩道

プリッシュ わかんねぇんだ。怖いんだ、不安なんだ。なんだかすげぇ、気持ちわりぃんだ。

白タルの散歩道

プリッシュ もうおまえはただの人間なんだろ?

母なるクリスタルの光を全部出したから、元の人間に戻ったはずよね。

プリッシュ なのになんで、俺に心を閉ざすんだ?

えっ?無意識ですっ。

白タルの散歩道

プリッシュ それが悲しいのか?俺は悲しいのか?

白タルの散歩道

プリッシュ それが辛いのか?俺は辛いのか?

白タルの散歩道

プリッシュ それが嫌なのか?俺が嫌なのか?
りぃ プリッシュ…。

泣かないで…。

白タルの散歩道

む?
何か光ってる。

白タルの散歩道

プリッシュ なんなんだろう。これは、なんなんだろう……。

嫌われることがこんなに苦しくなるくらい、私のことを信頼して好きになってくれたのね。

白タルの散歩道

プリッシュ ……おまえと俺は、同じ気持ちなんだ。心と心が一緒で、だから俺は、おまえの心が読めない。

泣くプリッシュ

プリッシュ いや、読めないんじゃなくて、俺もおまえと同じに、同じになった……?

白タルの散歩道

プリッシュも光りだした!

光るプリッシュ

驚くプリッシュ

プリッシュ 俺のここにあった、胸にあった魔晶石が、なくなってる……?

今の光で?
前から消えてたら気づかないはずないよね。

プリッシュ 俺の魔晶石……溶けて消えちまったのか……?

白タルの散歩道

プリッシュ そうか、俺は、取り戻したんだな……。人が人である証、虚ろなる闇を……。

りぃ

プリッシュ そして俺も、おまえと同じ、人間に戻ったんだ。だから、こんな苦しくなったんだ。

人間になった!
だから心が読めないし、今から他の人と同じように歳をとっていくのね。

永遠の命じゃなくなった…。
よかった。よかったねぇ。

涙をふくプリッシュ

見上げるプリッシュ

プリッシュ ……畜生。人間って、おもしれぇな。

見上げるプリッシュ

プリッシュ 苦しいけど、嬉しいんだな。辛いけど、幸せなんだな。

見上げるプリッシュ

プリッシュ だから言えるんだ。心から、身体の真ん中から。

胸に手を当てるプリッシュ

プリッシュ ありがとう、りぃ。俺、生きていけるよ。

プリッシュとりぃ

プリッシュ 終わりなんか待たずに、みんなと同じ気持ちで……
りぃ うん。

プリッシュ 生きていける。

走り去るプリッシュ

走って行った。

よかった。
プリッシュの背負っていたものがすべて解決してよかった。

そうか、プロマシアの呪縛を受けていて、解放されたのはプリッシュなんだね。

人はまだプロマシアの呪いを受け続けている。
それがないと、人は人の形と知性を保っていられない。
人が人の形と知性を手放したくないのならば、それは呪いではなく、祝福なのかもしれない。

Distant Worlds

Seas invite in the evening sun
夕日が海に落ちるのは

to light the somber abyss.
海の世界を照らすため

Clouds dance up with the heavens’ stars,
雲が空を泳ぐのは

chanting an air of joyous bliss.
星の言葉を伝えるため

Water fades back from blue to jade,
水面 (みなも) が色を変えるのは

guiding young rainbows high.
虹と契りを結ぶため

Flowers bloom into reds and whites,
花が優しく咲き誇るのは

quenching our hearts when they run dry.
あなたの心を飾るため

Angels chained by a beast locked in slumber.
天使であり 獣である私たちは
知を求め 血を求め

Sin washed away by the swift flow of time.
時がすべてを流すのは 犯した罪を許すため

I may know the answers,
though one question I still hear.
私は知っている すべてを
それでもあなたに問いたい

What twist in fate has brought us
to roads that run so near?
どうして 私とあなたが出会ったか?

Distant worlds together.
Miracles from realms beyond.
私の世界とあなたの世界がつながる奇跡

The lifelight burns inside me
to sing to you this song.
私が生を受けたのは あなたに歌を歌うため

To sing with you this song.
あなたと歌を歌うため

To sing to you your song.
あなたの歌を歌うため

( 歌詞:アルティマニアより )
歌詞:佐藤弥詠子
英訳詩:マイケル・クリストファー コージ フォックス
作曲:植松伸夫
編曲:水田直志

イベント中は短縮バージョンになっていたので、以下に全文を載せておきます。

Distant Worlds

Seas invite in the evening sun
to light the somber abyss.
夕日が海に落ちるのは 海の世界を照らすため

Clouds dance up with the heavens’ stars,
chanting an air of joyous bliss.
雲が空を泳ぐのは 星の言葉を伝えるため

Water fades back from blue to jade,
guiding young rainbows high.
水面 (みなも) が色を変えるのは 虹と契りを結ぶため

Flowers bloom into reds and whites,
quenching our hearts when they run dry.
花が優しく咲き誇るのは あなたの心を飾るため

Angels chained by a beast locked in slumber.
Sin washed away by the swift flow of time.
天使であり 獣である私たちは
知を求め 血を求め
時がすべてを流すのは 犯した罪を許すため

I may know the answers.
Journeys over snow and sand.
私は知っている すべてを
あなたとの旅が教えてくれた

What twist in fate has brought us
to tread upon this land?
何のために 私とあなたは生まれたのか?

Blessed by light and the burden of shadow.
Souls abide to an endless desire.
光を追い 影をひきずる私たちは
齢 (よわい) を超えて 弱さを超えて
人の想いに果てがないのは 既に扉が開かれているため

I may know the answers,
though one question I still hear.
私は知っている すべてを
それでもあなたに問いたい

What twist in fate has brought us
to roads that run so near?
どうして 私とあなたが出会ったか?

Distant worlds together.
Miracles from realms beyond.
The lifelight burns inside me
to sing to you this song.
私の世界とあなたの世界がつながる奇跡
私が生を受けたのは あなたに歌を歌うため

To sing with you this song.
To sing to you your song.
あなたと歌を歌うため
あなたの歌を歌うため