みっつの道 – 礼賛者 其の壱

白タルの散歩道

ジュノのすぐ近くだった。

白タルの散歩道

ウォルフガング そんなところを調べても意味はないぞ、おまえにはな。

あら。

白タルの散歩道

ウォルフガング ここだったか……。すっかり忘れていた。

忙殺される毎日だろうしねぇ。

白タルの散歩道

ウォルフガング 昔、ジュノに2人の幼なじみの少年がいてな。いつも一緒に街の中を走りまわっていて、いろんなイタズラもした。ケンカもしょっちゅうだ。

もしかしなくても、ウォルフガングとモンブローのことですね。

ウォルフガング そんな2人が、ある日ガラスのかけらを拾った。本当に何の変哲もないガラスだったけど、2人にとってそれは宝物になった。そのガラスを通して見る風景はとても不思議で、美しかったんだ。2人は奪い合うようにして、それを楽しんだ。

良い子ども時代…。

白タルの散歩道

ウォルフガング ついには街の中だけでは飽きたらず父親の言いつけも聞かずにこっそり橋を抜けてここまで来た。

わんぱくすぎる。

白タルの散歩道

ウォルフガング 今のおまえや俺ならばここへ来るのはたいしたことでもないんだろうが、子供にとっては大冒険だ。でも、その大冒険の先には大きな宝物が待っていたんだ。

白タルの散歩道

ウォルフガング ここからガラス越しに見るジュノは雄々しく、猛々しかった。2人は自分たちの街がこんなに美しかった、ってことにその時初めて気づいたんだ。

白タルの散歩道

ウォルフガング それからも、父親の目を盗んではここへ来てジュノを見ていた。だけどそんなある日、少年の1人がこう言った……。

モンブロー ガラスを通さなくても、ジュノはとてもキレイに見えるよ。

白タルの散歩道

ウォルフガング モンブロー……。
モンブロー ここは久しぶりですね、ウォルフ。

白タルの散歩道

モンブロー いやぁ、ホントにきれいだ……。そう思わないか、ウォルフ?

夜に来てしまって…すまねぇ…よく見えない…。

ウォルフガング モンブロー、ここへ何をしに来た?
モンブロー いや、久しぶりにジュノを眺めたくなっただけですよ。ウォルフこそ、何の用で?

白タルの散歩道

ウォルフガング ……たまたま通りかかっただけだ。
モンブロー そうですか……。

いつもツンだけどモンブローには特にツンツンなんだな。

白タルの散歩道

モンブロー ……。

モンブロー ウォルフ。
ウォルフガング 何だ?

白タルの散歩道

モンブロー あのガラスは僕のものですよ?
ウォルフガング なにっ!?

白タルの散歩道

モンブロー あれを2人でここに埋める時に言ったじゃないですか、『モンブロー、これはおまえのものだ、俺にはもう必要ない』って。

白タルの散歩道

ウォルフガング ヌッ……、俺がそんなこと言ったか?証拠は?証明書はあるのか?署名付きで?

あんたそんな、地球が何回周った時みたいな。

モンブロー ハッハッハッ、変わってませんね、ウォルフ。ウソですよ、欲しければ掘り起こしてもいいですよ。

からかったんかい!

白タルの散歩道

ウォルフガング ……いや、いい。あれは2人の少年たちのものだしな。
モンブロー ウォルフ……?

ウォルフガング それに俺は、またガラスをここに埋めに来たんだ。いつの間にか自分が持っていた、な。
モンブロー ……。

白タルの散歩道

ウォルフガング いつからか、自分が何を守っているのか分からなくなっていた。あの時、親父が命をかけて守っていたものが何なのか分かったような気がしていたけど、何も分かっちゃいなかったのかもしれん。

白タルの散歩道

ウォルフガング でも、もしかすると、今ここに来て少しだけ、本当に少しだけ、それが分かったような気がする。

ウォルフガング ……そう思いたい。

ウォルフガングも苦労が多いよな…。

白タルの散歩道

ウォルフガング じゃあな、モンブロー。

ウォルフガング ん、あれが見あたらんな。もしかすると、間違って埋めてしまったか……?

なんか小芝居始まったぞ?

白タルの散歩道

ウォルフガング まぁいい、始末書と減棒ですむだろう。モンブロー、その時はおごってもらうからな。
モンブロー フフッ、喜んで。

いや、減棒って相当なペナルティですよ!?

白タルの散歩道

モンブロー 本当に変わってませんね……、やっぱり。安心しました。

ツンデレも変わっていませんでした。

白タルの散歩道

モンブロー さぁ、あそこを掘ってみるといいでしょう。きっとあなたに必要なものが埋められてます。
りぃ うん。ありがと。

モンブロー でも、ガラスは持っていかないでくださいね。あれは2人の少年の、とても大切な思い出ですから。

白タルの散歩道

何かのアイテムの下にガラスのかけらが埋めてある。
ガラスはこのままにしておこう……。

だいじなもの:デルクフ解除キーを手にいれた!