ジュノのすぐ近くだった。
そんなところを調べても意味はないぞ、おまえにはな。
あら。
ここだったか……。すっかり忘れていた。
忙殺される毎日だろうしねぇ。
昔、ジュノに2人の幼なじみの少年がいてな。いつも一緒に街の中を走りまわっていて、いろんなイタズラもした。ケンカもしょっちゅうだ。
もしかしなくても、ウォルフガングとモンブローのことですね。
そんな2人が、ある日ガラスのかけらを拾った。本当に何の変哲もないガラスだったけど、2人にとってそれは宝物になった。そのガラスを通して見る風景はとても不思議で、美しかったんだ。2人は奪い合うようにして、それを楽しんだ。
良い子ども時代…。
ついには街の中だけでは飽きたらず父親の言いつけも聞かずにこっそり橋を抜けてここまで来た。
わんぱくすぎる。
今のおまえや俺ならばここへ来るのはたいしたことでもないんだろうが、子供にとっては大冒険だ。でも、その大冒険の先には大きな宝物が待っていたんだ。
ここからガラス越しに見るジュノは雄々しく、猛々しかった。2人は自分たちの街がこんなに美しかった、ってことにその時初めて気づいたんだ。
それからも、父親の目を盗んではここへ来てジュノを見ていた。だけどそんなある日、少年の1人がこう言った……。
ガラスを通さなくても、ジュノはとてもキレイに見えるよ。
モンブロー……。
ここは久しぶりですね、ウォルフ。
いやぁ、ホントにきれいだ……。そう思わないか、ウォルフ?
夜に来てしまって…すまねぇ…よく見えない…。
モンブロー、ここへ何をしに来た?
いや、久しぶりにジュノを眺めたくなっただけですよ。ウォルフこそ、何の用で?
……たまたま通りかかっただけだ。
そうですか……。
いつもツンだけどモンブローには特にツンツンなんだな。
……。
ウォルフ。
何だ?
あのガラスは僕のものですよ?
なにっ!?
あれを2人でここに埋める時に言ったじゃないですか、『モンブロー、これはおまえのものだ、俺にはもう必要ない』って。
ヌッ……、俺がそんなこと言ったか?証拠は?証明書はあるのか?署名付きで?
あんたそんな、地球が何回周った時みたいな。
ハッハッハッ、変わってませんね、ウォルフ。ウソですよ、欲しければ掘り起こしてもいいですよ。
からかったんかい!
……いや、いい。あれは2人の少年たちのものだしな。
ウォルフ……?
それに俺は、またガラスをここに埋めに来たんだ。いつの間にか自分が持っていた、な。
……。
いつからか、自分が何を守っているのか分からなくなっていた。あの時、親父が命をかけて守っていたものが何なのか分かったような気がしていたけど、何も分かっちゃいなかったのかもしれん。
でも、もしかすると、今ここに来て少しだけ、本当に少しだけ、それが分かったような気がする。
……そう思いたい。
ウォルフガングも苦労が多いよな…。
じゃあな、モンブロー。
ん、あれが見あたらんな。もしかすると、間違って埋めてしまったか……?
なんか小芝居始まったぞ?
まぁいい、始末書と減棒ですむだろう。モンブロー、その時はおごってもらうからな。
フフッ、喜んで。
いや、減棒って相当なペナルティですよ!?
本当に変わってませんね……、やっぱり。安心しました。
ツンデレも変わっていませんでした。
さぁ、あそこを掘ってみるといいでしょう。きっとあなたに必要なものが埋められてます。
うん。ありがと。
でも、ガラスは持っていかないでくださいね。あれは2人の少年の、とても大切な思い出ですから。
何かのアイテムの下にガラスのかけらが埋めてある。
ガラスはこのままにしておこう……。
だいじなもの:デルクフ解除キーを手にいれた!