ウルミア。
りぃさん。
大丈夫?
ごめんなさい。大人げなかったですね。取り乱して、飛び出してしまったりして。
気にすることないよ。
あんなこと言われたらねぇ。
皆さんの言っていること、よくわかってはいるんです。
うん。
みんなもウルミアがそう思ってるって分かってるよ。
すべての人々を滅ぼそうとしている真龍の王バハムート。ジュノ戦闘艇隊の力がどれほど素晴らしくとも、このままでは多くの罪なき人々が、この戦いの犠牲となってしまうでしょう。
……それに、よくわかっているんです。皆さんだって本当は、プリッシュのことを助けたいと思っているということ……。
特にござるがね。
でも、霊獣ディアボロスの言うとおりだわ。世界と人、両方とも助けるなんてことできないのね。
霊獣ディアボロス……プリッシュのことを夢の世界に呼んだのは、彼女が「世界の終わりに来る者」だとわかっていたからなのかしら?
ジュノでアミュレット取られた時のことだよね。
あ~!
洗礼の箱の一件の後、アミュレット着けていないと苦しいのかと思ってて。
今のプリッシュ、全然苦しんでないのはどうしてだろうと思ってたけど、元からアミュレットがなくても苦しくなかったんだな?
ディアボロスがちょっかいかけてくるから苦しくて、今はソ・ジヤが動いててディアボロスが動けないから平気なんだな?
アミュレットにも対ディアボロス防御の効果があって、洗礼の箱事件後アミュレット盗まれるまでは守られてたのかな。
ミルドリオン枢機卿さまはそれを知っていたからこそ、プリッシュにあのアミュレットを渡したのかしら?でも……
りぃさん、今になってしまったけれども、私、あなたに言わなくてはなりません。
ん?
プリッシュのアミュレットが盗まれて、プリッシュが倒れてしまったときのことを……
本当に一瞬だったけど、間違いねぇんだ。
アミュレットが奪われるとき、伝わってきたあの感じ……。あれは絶対、ミルドリオン様だった!
何ィ!?
犯人はやっぱりミルドリオン枢機卿だったの?
私の勘当たってたんじゃない!
でもアミュレットを持ってたのはエシャンタール。
…。
ここで一瞬出てきたミルドリオン枢機卿の顎から下。右耳当たりのちょろっとある金髪。
頭頂部からの髪の色と形。
エシャンタールがミルドリオン枢機卿だったのか!!
ジュノの最奥にいてめったに人の前に現れないんじゃ、見つからないはずだよ!
では、ミルドリオン枢機卿さまがあなたからアミュレットを奪ったというの?どうしてそんな真似を?だってあれは、ミルドリオン枢機卿さまがあなたに贈ったものなのでしょう?
ああ、そうさ。ミルドリオン様は、あのアミュレットを通して、いつでも俺を見守ってくれていた。
悪いことを考えたり、悪いことに巻き込まれたりしねぇようにってね。
心が伝わるって分かっててつけてたのね。
でも……ミルドリオン様は今になって、どうしてもあのアミュレットを取り戻さないとならなかったみたいだ。ずっとずっと帰りを待っていた、ずっとずっと昔の友達が帰ってきたから……。
ずっとずっと昔?
エシャンタールがそんなに言うって、1万年前の人かな。
帰ってきたって、最近現れたわけで。
セルテウス?
友達なの!?
ミルドリオン様、心の中で謝ってたよ。でも俺がジュノにいる限り、そばで見守り続けてくれるって……
ジュノ……?ミルドリオン枢機卿さまは、ジュノにいるというの?そして、私たちがタブナジアから来たこともすべて知っていた?
それだけじゃないわ。20年もの間、私たちがタブナジアにいたことを知っていて、迎えに来なかったというの?
そうだよねぇ。
戦争を生き延びることができて、大変な生活を送ってるって分かってたわけだから。
ちょっとどうにかできなかったものか。
足が付く危険性を考えると放置して頑張ってもらうのが最適だったのかもしれないけど。
いや、そうじゃない。ミルドリオン様は、俺に託したんだ。
託した……?なにを……?
あの時、プリッシュが言いかけたこと、あれはいったいなんだったのでしょう。
託した…?
ミルドリオン枢機卿さまが私たちに託したこと。それが男神の復活だなんて、恐ろしいことだとは思いたくない……。
りぃさん、あなたならわかってくれるなんて、甘えなのかもしれません。でも、やっぱり私、最後まで諦めたくありません。
ヴァナ・ディール、そして人。そのどちらも救われる。私は、そんな世界を歌いたい。あなたもどうかそんな世界を望んではくださいませんか?
もちろん。プリッシュがやる気なんだから、できるよ。
ありがとう、りぃさん!
私、もう一度、大公宮に行ってみます。街の人には、誰にきいてもわからなかったけれど、マッキーチェブキーたちなら、噂をつかんでいるかもしれません。プリッシュを助けてくれる最後の望み、ミルドリオン枢機卿さまのことを……。
驚きの親分やで…。