
第6章
時過ぎて鳴り響く
名前が!!
タイトルを最前面にして欲しかったッ。

りぃ。今日はどういった用件だ?ウォルフガング様ならば、今は……
すっかり顔なじみになってしまった。
なに?プリッシュという少女、だと?あの指名手配になっている?あの幼子ならば先ほど、ひとりでここへ出頭してきたぞ。

当然、その身柄を確保したが、偉い奴に会わせろの一点張りで、ほとほと手を焼いている。
どこでも大騒ぎだな…。
ウォルフガング様が早くお戻りにならないものか。

りぃさん!ごめんなさい、お話の途中に。……あの、私と一緒に来てくださいませんか?
こんなに慌てて。どうしたんだろう。

プリッシュが、自分からジュノに捕まりに行ったなんて……。いったい、どういうつもりなのかまったくわかりません。

けれども女神さまの思し召しか、ジュノ大公宮の方々は慌しくて、プリッシュに刑罰が与えられるようなことは当分なさそうです。
つまり放置されていると。
この機を利用して、プリッシュを救い出すことができれば……。
りぃ殿!ウルミア殿!

テンゼンさん!
会えてよかったでござる。プリッシュ殿が、捕らえられたという話は聞いたでござるな?

今後のことを検討するべく、一度、皆で顔をあわせて、互いの意志をまとめる必要があるでござる。りぃ殿とウルミア殿の他は、ジュノ上層にある酒場に集っているでござる。
そっか、3人バラバラで動いてて何が起こったか知らないからね。

ジュノ上層にある酒場……。
アルド殿のお心添えで、わずかな時間ながら、そこを貸し切らせていただくことができたでござる。
マーブルブリッジかな。
そこでお待ちしているでござる。では、ごめん。

スカリーZとジャボスもいる。

りぃ殿、よくきてくださった。我らは今やっと、皆それぞれの話を把握したところでござる。

我輩、今になってこのようなことを知ろうとは思わなんだ。ウルミア殿が来る前に、りぃ殿も心の準備を……

皆さん、暗いお顔をしていったい、どうしたのです?
心の準備をする暇などなかったのであった。
ウルミア殿、お待ちしていたでござる。我らが各地で聞き及んだ話、気を強くもって聞くでござるよ?

……もちろん我らも、その結論を覆すことができぬかと、幾度も考え直してみたでござる。しかしあの少年セルテウスはクリスタルの光を盗めども、古代の民の悲願とやらを止めるために来た存在でござった。

それに、「闇の血族」を率いていた「黒い神」は、男神のことではありませんでした。
今度は偽ヴランスなのね。

……でも……、モブリンたち……、「黒い神」から……「世界の終わりに来る者」……すでに……復活してると……聞いていた……。
そして、おまえも見たはずだ。プリッシュの胸に埋まっている魔晶石を。おまえたちの話では、あれは男神の象徴「虚ろなる闇」を封じた、まがまがしい結晶だという。

ウルミア殿。プリッシュ殿を慕うそなたには、まことに無慈悲な結論でござろう。しかし我輩、それに加えて霊獣カーバンクル、霊獣フェンリルがようやく教えてくれたこともあわせて伝えなければならぬ。

「世界の終わりに来る者」は、1万年の時を経て、タブナジアに生まれ落ちるよう運命づけられたのだと!
これは決定的だよねぇ。

……まさか皆さんは、それがプリッシュだったと言いたいのですか?

そんな!私はどうしても信じられません!私と彼女は、タブナジアが滅ぼされる前より、ずっと一緒にいました!

だからわかります。彼女は誰よりも、素直で、澄んだ心をもっている。

誰よりも強くて、誰よりも信じる心をもっている……。

もしプリッシュが「世界の終わりに来る者」だというのならば、なぜ霊獣ディアボロス相手に、「世界も人も救おう」などと言えるのです!?
プリッシュは、世界の終わりに来る者だからいっちょ世界でも滅ぼしてやるか!とか思ってないものね。

……確かに、我輩もプリッシュ殿ほど、生きることを楽しんでいる人を知らぬでござる。
プリッシュに対する評価よ。
その方法さえ知り得、それを成す時間さえあれば、プリッシュ殿をその定めより救わんと思うでござる。

しかし我らには、もう時間が残されてはおらんのでござる。真龍を率いるバハムートを止めねばならぬという使命がある!

それに、ミルドリオン枢機卿が生きているというなら、奴はプリッシュを使って男神の復活を企んでいるはずだ。プリッシュがあの魔晶石を手に入れた今、すぐに葬らねば世界が危うい!
……男神、復活すれば……、モブリンたち……、止めることできなくなる……。

もうやめてください。真龍の王バハムートを止めるために、みなさんはプリッシュを手にかけようと言うのですね?
私にはそんなこと、できません!

ウルミア殿!
説得できるはずもなく。

……。
仕方がない。とにかくまずは、プリッシュをジュノ大公宮より奪取せねばならないな。私は、その方法を探そう。

古い友人を訪ねてみましょう。なにか良い手があるかもしれません。
たびたび出てくる古い友人って誰よ。

これ以上……、犠牲、出したくない……。俺も……がんばる……。
具体策なしかい!!

りぃ殿。
ん?
りぃ殿は、我らの結論に、反対でござるか?
反対だねぇ。
プリッシュは世界を救う気だし、そもそも倒すことができないでしょ。
罪狩りのミスラ3人で斬りかかって力が出ないで負けてるんだから。

そうでござろうな。気にする必要はないでござる。りぃ殿は、ここで降りるでござるよ。

しかし、ウルミア殿のことだけは頼むでござる。あの様子、心配でござる。
テンゼンは優しいね。
慰めの言葉をかけてほしいとは言わぬでござる。ただ、ウルミア殿をタブナジアまで送ってさしあげてほしいでござる。エシャンタール殿に頼めば、快く送ってくださるでござろう。
エシャンタールが?快く送ってくれるの?
ほんとに?

では、ごめん!