なんだい？30年前の合同調査隊？
たしかに……ウィンダス……から……、鼻の院……研究……員……イルクイル氏が……参加……した……けれど……

……あの人は鼻の院から追放されてしまって、辺境でひっそりと亡くなったよ。

ウガレピ寺院でだよね。
大きな研究室まで作ってたし。

それでも、イルクイル氏について知りたいんだったら、石の区に住んでるヨランオラン博士に聞いてくれ。

ヨランオラン、鼻の院の元院長か。
色々知ってそうね。

ただ、調査内容を知りたいって言っても教えてくれるかなぁ。かなり重要な話なんじゃないの、それ？

おや？私に何か用ですか？私はヨランオラン。元「鼻の院」の院長……

とうちゃーん！
あいたかったよー！
かわいい子供たちだよー！

うわあ！とっても元気にやって来…とうちゃん！？

な、なんだ、なんだなんだ、おまえたちは！人の家に飛び込んでくるなり「とうちゃん」だなどと言いおって！

とうちゃん、とうちゃんは知らなかっただろうけど、とうちゃんと別れたかあちゃんのおなかの中には、おいらたちがいたんだよ！
いたんだよ～。

だからおいらたち、とうちゃんをずっと探していたんだよ！
いたんだよ～。

ほほう、ヨランオラン博士にこんなに可愛い子供たちがわらわらいたとは。
あらあら、これはなんて感動的な再会なのかしら。さっそく魔法新聞社に記事にしてもらわなくてはね。

楽しそうに揃ってやってきたー！！

知らん、私は知らん！なにかの間違いだ！
オホホ、男はみんなそう言うものですわ。

話はよーくわかったぞ。たしかに私は、ずいぶん昔にタブナジアへと行ったことがある。

おお、そうなんだ。

しかしそれは、妙な発見物を鑑定しに行っただけだ。

妙な発見物？

あの国には、海賊やら盗賊やらトレジャーハンターやらが世界各国から集めた妙なものが集まっていてな……そういったものはタブナジア礼拝堂の地下にある宝物庫にぎっしりみっしり隠されていたのだ。

ぎっしりみっしり…！
ものすごい価値だったのでは！？

私は、そこで見たことを決して口外せぬことを約束させられ、その宝物庫へと案内された。

そこに安置されていたどこぞの迷宮から掘り出されたという「恐ろしい像」を見てくれといわれてな……。
恐ろしい像？とっても気になるぞ！なんだったんだ、それは？

さぁ……、よくわからん。
あらまぁ。はるばるタブナジアまでご招待されて「わからん」なんて……。まったく恥ずかしい話ですわ。ウィンダスの院長たちの顔に泥をヌルような真似をしてきたというわけですわね。

ああ、しかも、頼まれてもないのに子供まで残して……。
だから、それは違うと言ってるだろう！

……それに、私は「その像がなんの像か」を調べるために呼ばれたわけではない。その像に、かすかに残っていた土から、それが「どこで掘り出されたものか」調べてほしいと言われたのだ。
で、その土がどこのものかは、わかったのかい？

もちろんだ。あれは、深海の土だった。シュ・メーヨ海の土だと思うね。
シュ・メーヨ海というと……、ジュノの北にある内海かぁ。

ジラートの遺物の可能性が高い？
「恐ろしい像」か…。

晴れていても船が沈むっていわれてる魔の海域じゃなかったっけか。
うむうむ。しかし、海の中ではなく地底の底から見つかったものだと聞いたがな。

地底の底？
魔の海域の地底をどうやって漁ったんだろう。

妙な話ですわねぇ。……それで、その謎を解明した勢いで子供までもうけましたの？
だから違うといっているー！

シャントット様容赦が無い。

こら、おまえたち、おまえたちのせいで、私の印象はボロボロだ！ほら、ちゃんと説明せんか！

おいらたち、おなかへった。
おなかへってなにもしゃべれない。
めまいがするよ。

ぬうう！しょうがない、水の区に食堂があるから、そこでごはんでも食べてきなさい！

わーい！
やったー！
めしだー！

ヨランオランのおごりで食べ放題だ！

2人の博士も満足したようで帰っていった…。

ううう……なんたること！なんたること！私の清らかなイメージが！清らかなイメージが！
おつかれ…。

清らかなイメージがあったのかは分からないけれど。

これはいかん！これはいかん！濡れ衣をはらすのだ！濡れ衣をはらすのだ！

身に覚えがないのに、子どもが3人もいるって新聞に書かれて国中に知られたら大変だものね…。

そうだ！こういうときには「再生の鏡」だ！人の記憶を覗くことができる「再生の鏡」！

それを使って、タブナジアでの私の思い出を見てもらうことにしよう！やましいことなど、これっぽっちもないのだから！

人の記憶を覗けるとか、えげつないアイテム出てきたな。

しかし、再生の鏡を持っていたのは誰だったか？以前、すごく嫌味な誰かに自慢された覚えがあるのだが？

そんなお宝アイテムを自慢する嫌味な誰かって…ホノイゴモイかな。

…の前に、この記者に話しかけるんだって。

モグモグ……なんだい？この物知りボクちんになにか質問でもあるのかい？……ほほう。ここに、異国の服を着たタルタル3人組がやってこなかったかって？

ものすごく食いっぷりの良いタルタル3人組なら見たよ。……モグモグ……。

ものすごく食べたんだ…。

おなかいっぱいだ～。
まんぷくまんぷく～。
生き返ったなぁ～。

あのでっかい竜にぶっとばされて、おいらたち死んだかと思ったもんなぁ。
あのでっかい竜にぶっとばされて、いちもんなしにもなっちゃったもんね。

お財布飛ばされてたのか。
最初に無銭飲食しないで偉かったよ。

……。あのさぁ、おいら思うんだけどさぁ……。

さっきのとうちゃん、ちょっとちがうよな？
うんうん、ちがうね～。
ちがう、ちがうね～。

違うんかい！！

もっとさぁ、おいらたちのとうちゃん、金持ちじゃん。
そうだよ、かあちゃんもでっかい宝石もらってたもん。
ふかふかの毛皮ももらってたもん。

金持ち…？
まさか…。

よーし！じゃあ、ほんとうのとうちゃんを探そうぜ！
探そうぜ！
探そうぜ！

……というわけで、あのタルタル3人組は、水の区の南の方に走っていってしまったのだよ。モグモグ……。
ありがと…。

あなたもすごい食いっぷりですね…。