なに、隊長に用だって?
うん。
りぃ、ちょうどよかった、おまえを探していたのだ。
えっ、何で……はっ!!
私、国際指名手配されてなかったっけ!?
やばい逃げないとっ。
カムラナート様の代理としてエシャンタール様が、おまえに北の地で起こったことについての話をききたいと申している。
逮捕じゃないの。
よかった。
あっ、そうだ。これ。
……?なんだ?封筒?……モンブローからか。とりあえず受け取っておこう。
ちゃんと読んでよね。
しかし今は、おまえの件が先だ。さぁ、俺についてこい。
はー。やだなぁ。
来ましたね。冒険者りぃ。
来ましたよぉ。
北の地に眠る4つ目の母なるクリスタル。あなたはそれを守ることができなかったということですね。それどころか、あなたこそが、あの少年を導く役目を担っていたとか……。
げっ、また難癖付けられて何かやらされる!?
……そんなにかたくなる必要はありませんよ。
警戒中!警戒中!
ナグモラーダはあのアミュレットのことを自分ひとりの胸の内にしまっていました。そのことが今回の失敗を招いた大きな原因です。
そうだそうだ!
それに、あの少年の正体がわかった今、あなたとあなたの祖国に疑いをかけたこと、それが誤りだったということもわかりました。
そうだそうだ!
共にヴァナ・ディールの未来を憂える身として、これから先は力を合わせて参りましょう。母なるクリスタルを守るがために……。
そ…えぇ…?
調子良すぎないかい。
こっちは一方的に散々な目にあわされてきたのに。
でもヴァナ・ディールの存続が危ぶまれる今、協力した方がいいのかもしれない…。
わかったよぉ。
ところで、りぃ。4つ目の母なるクリスタル。そこでは、とても不思議なことが起きたそうですね。
不思議な?
あなたが連れてきたタブナジアの少女が、セルテウスを助け、ナグモラーダの計画を妨げたとか。
ああ、あれ。
正直に答えてください。そのことに間違いはありませんか?
うーん?
まぁ確かにセルテウスを助けた状態になってて、結果ナグモラーダの邪魔したことになるよねぇ。
まぁ、うん、そんな感じになった。
そう、ですか……。私たちは今、その彼女を探しています。
罪を問うためではありません。むしろ、その身の安全を保障するため。彼女はとても危険な状態にあるのです。
えっ!?
ひとつ目の脅威は、ナグモラーダ。彼は、4つ目の母なるクリスタルが「虚ろなる闇」に包まれた罪を、彼女ひとりに着せようとしている。
彼がその少女を見つけたならば、都合の悪いことを喋らせぬために、ためらいなくその口をふさぐことでしょう。
やりかねない。
やられないだろうけど。
そして2つ目の脅威はあなたがたが追っていた少年、セルテウス。彼の次なる目的は、5つ目のクリスタルに間違いありません。
だろうねぇ。
しかし5つ目のクリスタルははるか海底にあり、彼女はおそらくその場所を知っている……。
プリッシュが?
最後に3つ目の脅威。それは南から訪れている暗殺者です。あなたはもうどこかで噂話を聞いたかもしれません。タブナジアの僧侶の罪を問うために、海を越えてやってきたミスラのことを。
スカリーXかな。
彼女たちは決して罪を見逃さず、決して手を緩めません。
ですからいいですね、りぃ。彼女を見つけたら、ここに連れてきなさい。決して、悪いようにはいたしません。女神アルタナに誓いましょう。
本当に?
失礼する!
りぃか。第4の母なるクリスタルにてあったこと、嘘偽りなく、説明しただろうな?
あんたと違ってわたしゃ正直なんよ。
私の計画に不備はなかった。あのプリッシュという女が来さえしなければ、セルテウスを止めることができたのだ……。
いいか?あの女は、セルテウスの心の言葉を聞き、「石の記憶」を歌い、彼が逃げる手助けをした。
あの女が持っていた「絆の証」。あれは人の心と心を繋ぐもの。おそらくあれを介して、セルテウスにその身を乗っ取られていたに違いない。
……。
いやぁ、自分の意志で動いてたよねぇ。
だが、それはつまり、私たちにヤツの真意を聞き出す機会も与えられたということだ。あの女を捕らえ、その身を裂けば、必ずわかることだろう。神都アル・タユを守るために現われたという、セルテウスの真意が……!
操られてたから、セルテウスの考えを受け取ったはずってこと?
そんな暴論で拷問する気?
とんでもなさすぎる。
惨めな。我らの聖戦、往古に終結せしこと……セルテウスは知らぬのか?
愚かな。我らの神都は、往古に滅びたこと……セルテウスは知らぬのか?
もしくは、私たちが知らぬのかもしれない。聖戦の真の結果、神都の真の結末を……!
そっちっぽいよね。
私は今一度、神都アル・タユの調査をすべきだと提案する。
セルテウスが生き残った理由。彼がクリスタルに触れる理由は、すべてそこにあるに違いないからだ。
そのために、まずは、第5のクリスタルへと続くクリスタルラインの調査を行いたい。セルテウスのために封鎖されたデルクフの塔「クリスタル・ターミナル」への入室許可を、ぜひ……
ナグモラーダ。神都アル・タユの調査を行う必要があるということ、あなたの主張はよくわかりました。
しかし……
アルマター機関の決定は既に下されている。おまえにはバストゥーク近くに現れた、獣人モブリン族の調査が命じられている。
セルテウスに関してはエシャンタールが引き継ぐことになったのだ。後は彼女に任せたまえ。
今更だけど、アルマター機関ってなんでそんなに力強いの。
確か、研究機関だよね。
今一番偉そうなエシャンタールも従わないといけない?
もっと偉い人がいるのかしら。
しかし、エシャンタールは真龍バハムート討伐の任にあたる者。セルテウスの件は、その片手間に処理できるほどたやすいことではない。
そう、その通りだ、箱を使った奇襲は、もはや意味がない。
そう、そのすべてはおまえの失敗のために、な。
く……。
ナグモラーダ、誤解せぬように。私たちはあなたの不備を責めるつもりはまったくありません。
ただ、あなたの力、多種族との交渉に長けたクリュー人としての力がモブリンを相手に必要とされているのです。
……しかし……!エシャンタール、今のセルテウスは我らの想像を越えた力を持っている。
確かにナグモラーダなら舌先三寸で簡単にモブリンを丸め込めそう。
あの箱も失い、5つ目のクリスタルへの道も絶たれている今、おまえはどのようにして、ヤツを処理するというのだ!?納得のできる答えをおまえが示せるとは思えん!
わかりました。そこまで言われるのでしたら、ナグモラーダ、お教えいたしましょう。
私が箱なくとも、彼を封じることができること。母なるクリスタルの元にいかずとも、彼をおびき出すことができること。
……な、なんだと……?
えーっ!?
それなら最初からそうして欲しかった!!
すべて、聞いているのでしょう、セルテウス?
え?虚空に喋ってるぞ?
もうひとつの「絆の証」。それは私が持っているのです。
何ィ!?
それ、プリッシュが持ってたやつよね?
ミルドリオン枢機卿が取り戻しに来たのかと思ってたけど、エシャンタールが奪ってたのか!!
お待ちしていますよ。定めの地で。あなたが定めに添うことを。
あー、ナグモラーダがアミュレットのこと黙ってたから失敗した。って言ってたから、アミュレットが使えるならこういう方法もあるってことなのか。
この封筒の中身は分かった。モンブローに返してくれ。これはたぶん、あいつが大切にしていたものだ。
えっ、部屋の中にずっといたけど、喧々諤々やってる間にこそっと読んでたの!
それにしても、あいつは……。
やはりウォルフガングはそれが何か分かったようですね。あなたもそれに記された場所へ行ってみるといいでしょう?
手紙?読んでいいの?
え、どこへ行けばいいかって?フフッ、それは「ひみつのちず」ですからね。それは内緒です。
ジュノのモンブローからウォルフガングに
渡されるよう頼まれた封筒。
中にはバタリア丘陵らしき絵の隅に
『K9N』と書かれた紙が入っている。
K9N。
座標かな。
K-9の…N?北側ってこと?