りぃさん、どうも北の地で大変なことがあったようですね。
情報通が過ぎる。
親衛隊の方々に尋ねてもよほどの口止めがされているのか、まったく要領を得ませんが、その不安は感じ取れます。
それに……どこからともなく、世界の終わりが近づいているという、不気味な噂が流れています。
まぁ、これだけいろいろ起こってると噂たつよねぇ。
その噂には、あのお嬢さん……アミュレットを奪われたお嬢さんが絡んでいるというのは本当ですか?彼女はその件でジュノ親衛隊に手配されているとか……。
絡んでいるというか…それならば私も絡んでるってことになるからなぁ。
本当の原因は、あの少年でござる!プリッシュ殿は、ただただ、ふりまわされているだけでござる!
そう、それよ。
ああ、あなたは!
邪魔するでござる、薬師の方。
おお、りぃ殿!大変でござるよ!
どうしたの?
我輩、ジュノ大公宮にて話をきいてきたのでござるが、今、ジュノではバハムート討伐のために、大規模な作戦準備が進んでいるでござる。
え、結構おおやけになってるの?
いくら人を滅ぼすと息まいているとはいえ、バハムートはヴァナ・ディールを守りし5霊獣のひとつ。我輩、バハムートをどうにか説得できぬものかと、その作戦の指揮官である、エシャンタール殿に同行を願い出たでござるが……
パワーアップした鳳凰丸ならバハムートと話ができるかしら。
一蹴されてしまったでござる。彼らに話し合いの余地はない、彼らが一斉に各都市を攻撃する前に片をつけねば、人に勝ち目はないと。
ちょっと待ってください。今の話、いったいどういうことですか?
各都市を一斉に攻撃するなどそんな物騒な話……まさか、現実のことではありませんよね?
~ かくかくしかじかタイム ~
そんな大変なことが!?真龍が各都市を襲う画策をしているなど!?
あの龍の大群見てないと信じられようはずもない。
そうだ、他の都市にはもう、知らされているのですか?戦いの準備は、なされているのですか?
いや、おそらく通知されておらぬ。空への武器を持たぬ我らと、彼らとの力の差は歴然。
パニックになるだけだものね。
それに、もっとも恐るべきはバハムートの力。空の覇者と呼ばれるバハムートには、その名のとおり、空間を制御する力があるのでござる。
空間を制御……?
そんな面倒そうな力持ってたの。
彼らが各都市の上空に現れた時点で、人の負けは決まる。そのとき人は、抗うことも許されず、滅びる他ないでござる。
……。
しかし、まだ手は残されているでござる。エシャンタール殿の話では、バハムートは配下の真龍たちを一斉に転移させるために、魔力を蓄えている最中だそうでござる。
各々飛んで行った方が早そうなのに。
先に攻撃されたところから連絡が行って反撃されたら面倒だから一斉にやるつもりなのかな。
バハムートが、魔力を蓄え終える前に、バハムートを説得することができれば……
……そんな……説得などしている場合なのですか?世界の終わりが、目の前にあるというのに!
!!! もちろん、説得できるでござるよ!我輩と鳳凰丸、そしてりぃ殿がいる限り!
あんた自信あるわけじゃないんでしょ!
巻き込むなー!!
そのためには……そうでござる!薬師の方、我輩たちに教えていただきたい!あの少年が最初に見つかったという場所を!
……!
……わかりました。ウォルフガング……ジュノ親衛隊隊長には口止めされていたのですが、もちろん、お教えしましょう。
人類の存亡がかかっていちゃぁね。教えざるを得ないよね。
あれは、クフィム島にあるデルクフの塔。その塔の北側に、地下へ下りる階段があるのです。そしてその先には……
私にはうまく説明できません。ただ、その部屋の中央に、あの少年は突然現れたという話です。
かたじけないでござる!クフィム島にあるデルクフの塔。我輩、行ってみるでござる。
しかし、武士の方、地下へ降りる扉は閉ざされていますよ。あのときは、事故のために開いたそうですが。
ふぅむ。しかし、我輩の鳳凰丸があればおそらくは……
テンゼン、結構楽観主義だからな。
きっと大丈夫じゃないだろう!?
りぃ殿、先に行くでござる。では、ごめん!
ああっ、先走るなー!
また殴ったり蹴ったりするんでしょ!
りぃさん、無駄足を踏ませてしまうかもしれませんが、あの扉を開く方法、私からウォルフガングに尋ねてみましょうか。
助かる。お願い。
正義感の強い彼のことです。世界の終わりを知りながら、自分ですべてを背負い込んでしまっているかもしれません。
頭カチカチだからなぁ。
同じ志をもって戦う人がいるということを、教えてやらねば……。この手紙をもってジュノ大公宮の衛兵詰所を訪ねてみてください。
だいじなもの:モンブローの封筒を手にいれた!