プリッシュは絶対ここにいると思うんだよね。
待て!
のこのことジュノに舞い戻ってくるとは……りぃ、おまえの自国の許可は既に取ってある。反逆罪の嫌疑で連行させてもらおう。
え、私何かしたっけ?
確か…謎の少年と行動を共にしているとか言いがかりをつけられて、ナグモラーダに殴られた。
とかじゃなかったっけ。
何もしてないやん!
それどころか訴えていいのはこちらの方では!?
おい、騒がしいな。俺の家で、なんの騒ぎだ?
アルドか、すまん。緊急の用件だ、おまえに迷惑はかけん。そこの罪人をジュノ大公宮に連行する。
罪人?
違う!と目で訴える。
ん?なんか向こうに…
あっ!行き倒れ!俺だよ、俺!
今ウォルフガングに顔を見られない方がいいのでは!?
……うおっと!
あっ、天晶堂の人に引っ張り込まれた。
ウォルフガングよ、わかってないな?ここは俺の家。俺の家にいる人間は、俺の客人だ。俺の客人を罪人呼ばわりする気か?
そうだそうだ!
アルド、そいつはこそ泥などとは話が違う。ジュノへの反逆罪で指名手配されている女だ。そいつをかくまえば、おまえも無事ではすまん。大事になるぞ。
何もしてないってば!
ここで俺の客人を捕らえれば、今、確実に大事になる。試してみるか?
……例外は作りたくないというわけか。仕方ない、りぃ、用事が終わったらジュノ大公宮へ出頭しろ。
引き下がるとは。
天晶堂の力ってそれほどなのね。
逃げようと思っても無駄だぞ。母国にも他国にも、通達してあるのだからな!
えぇ…。
いやでも、3国ミッションをクリアして各国の英雄になった私の方を信頼してくれそうな気がするよ。
システム的にどうなのか分からないけれど。
ありがと。アルド。
あ、中に入れって?
いやぁ、やっぱりおまえは罪人だったんだなぁ。だから、あれか。タブナジアに島流しの刑にされたんだな。なにやったんだ?盗みか?殺しか?どっちもか?
違うってばぁ。
知り合いのようだな。
ああ、そいつってば、タブナジアで行き倒れてやがったから、世話してやったのさ。
……そうだ、アルド。こいつが証人になるんじゃねぇかな?俺のこと、きいてみろよ。
おい、このお嬢さんが言っているのは本当のことか?タブナジアの生き残りが町を作り、20年もの間、細々と暮らしてきたというのは。
うん。
な?な?俺が話したことが本当だって、これでわかっただろ!?いやー、こいつ、ぜんぜん信じなくてさぁ、参ってたんだよ。
いきなりやってきて、今は亡き親父の名前をがなりたてられたら誰も信じたくなくなるさ。
しょうがねぇだろ。こっちの大陸で、俺が信用できるやつっていったら、天晶堂のグレッゾのおやっさんしかいなかったんだ。
お父さんの方と知り合いだったの。
ますますプリッシュ何歳よ。
グレッゾのおやっさん、なんかあったら力になるから、気軽に来いよって言ってたし。でも、そんなおやっさんが、もう死んじまってたなんて……。
アルドのお父さんが天晶堂やってて、アルドが引き継いだのか。
あっと、それでさ。タブナジアに帰るための船、出してくれるんだろうな?
簡単なことじゃない。航路地図は残っているが、20年前からあの辺りの海は、流れが違ってしまったからな。そこらの航海士があそこの海路を航海しきれるかどうか。
……しかしまぁ、ちょうどタブナジアへ渡りたいと言っていた客人がいるのでね。その客人が出してくれた金があれば、どうにかなるだろう。
客人?なんだそりゃ?タブナジアになんの用があるってんだ?
さぁ、俺も知らん。しかし、タブナジアに渡りたいのならば、その客人を受け入れてもらわねばならないぞ。彼の金で船を出すのだからな。
うう、しょうがねぇなぁ。でもま、いっか。客人のひとりやふたりで文句をいう俺様じゃねぇぜ!
よし。気前のいいことで結構だ。そうだ、ついでにお前もタブナジアへの亡命を頼んでみたらどうだ?タブナジアへ亡命したら、ウォルフガングも諦めてくれるかもしれないぞ。
何もしてないんだってば。
罪人はダメだぜ!女なら逃げんな!罪は償え!その命をもって!
フッ、きびしいな。では、船の用意ができるまで、ジュノの観光でもしているといい。出航の用意ができたら呼びに行かせよう。
わかった、頼んだぜアルド。さーて!俺はジュノで大遊びしてやるぜー!じゃあな、また生きてたら会おうぜ、りぃ!
ジュノで大遊びするところあったっけ。
しかしどうやらお前の方は、おとなしくジュノ大公宮に出頭した方がよさそうだ。身に覚えがあるかないかは知らんが、弁明の機会くらいは与えられるだろう。
無実の人を罪人にするような人たちが話聞いてくれるんだろうか…。