双刃の邂逅 其の壱

白タルの散歩道

バスガード 北の地に調査に向かったある冒険者が、何者かに襲われたらしいのだ。それが話を聞くと、その風貌は明らかに暗黒騎士ザイドだった、と言うのだ。
りぃ ええっ!?

バスガード ザイドとおぼしき人物は、逃げ帰る冒険者に、手紙を渡したらしい。その手紙の内容が何やら問題らしいのだが……。

手紙を渡すだけでいいのに、わざわざ襲ったの?なんで??

バスガード ひとまず大統領執務室に向かうように、とのことだ。

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アイアンイーター おお、君か。とても信じられない話だが、どうやら本当らしいのだ……。

さっぱり分からん。

アイアンイーター あの暗黒騎士ザイドが北の地の調査に訪れた冒険者を襲った。そして、隊長に手紙を持っていけ、と……。

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アイアンイーター その手紙の内容が信じられないものだったのだ。そのために今……。いや、まずは入ってくれ。話はそれからだ……。

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フォルカー どういうことですか、プレジデント!

おおっ!?
プレジデントに対して激怒してる!?

フォルカー 30年前の事件の真相を私に隠していた理由をお聞かせ願いたい!
シド いや、フォルカー……別に隠していたわけでは……。

あぁ…そのことを手紙に書いてたのか。

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フォルカー 工房長も……ご存知だった……?
シド う、うむ……まあ、なんというか、その……。

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フォルカー ……君も……か?
りぃ う、うん…。

というか私が魔晶石で過去を見て話し持ってきたよね…。

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フォルカー 30年前の事件の真相を知らなかったのは、その呪われた血に連なる私だけだったと!?

いや、アイアンイーターにもルシウスにも言ってないよね?
知ってるのはプレジデントとシド、そして私だけだったのでは?

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ウルリッヒ 無様だな、ラオグリムよ!
ラオグリム ウルリッヒ、貴様……!

ウルリッヒ 前からおまえは、気にくわなかったんだよ!
ラオグリム 自分が何をしているのか、分かっているのか?

ウルリッヒ 黙れ!

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ラオグリム ……コーネリア!?
ウルリッヒ う、ああ……。

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フォルカー 決して、あの叔父に影響されて銃士隊に入った訳ではない……。しかし、昇進するたびに叔父の力だと陰口をたたかれ……。

そっか、ウルリッヒはミスリル銃士隊の隊長だったね。

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フォルカー ミスリル銃士となり、その隊長にもなったが、待っていたのはこの真実か!?そしてその真実も隠されるような薄っぺらい信頼か!?
カルスト大統領 ……だからどうした?

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フォルカー ……何?
カルスト大統領 私も工房長もおまえに明かさなかったのは、こうなることが目に見えていたからだ。

だねぇ…。
信頼とか関係なく、知らないままでも問題ない事だし。
だって、プレジデント、シド、私の3人以外世界の誰も知らない事なんだから。

あ、あとザイドもか。
ザイドはどうやって知ったんだろう…って思ったけど、闇の王が言ってたね。

「俺は友に裏切られ、殺された」
「獣人との和平の道を訴えていた俺が、ウルリッヒはジャマだったのだ。」
「コーネリアも、俺をかばって、ヤツらに…。」
って。

カルスト大統領 実際、その通りだろう。それとも、一緒にその呪われた運命を嘆いてほしいのか?

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カルスト大統領 おまえには関係ないとなぐさめてほしいのか?それでおまえの心は安まるのか?どうやら、貴様を買いかぶっていたようだ、フォルカー。
シド カルスト!口が過ぎるぞ!

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カルスト大統領 今の貴様など役に立たぬ。さがれ。当分の間アイアンイーターに隊長代理をまかせる。
アイアンイーター プレジデント!

カルスト大統領 貴様が役立たずのままならせめてNo.2のザイドとやらをここに連れてこい。よっぽどおまえより役に立つだろうな。
フォルカー ……わかった。プレジデントの意志に従おう……。

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アイアンイーター 隊長……っ!

まぁ、今はこれが良いだろうね…。

ウルリッヒと同じ隊長の座について悶々としてるより、一旦離れさせて、目的を持たせて、解決に向けて動かせた方が。

プレジデント、やってることは良いと思うんだけどなぁ。
いつもいつも口と態度が悪いんだよなぁ。

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シド わしの……せいだ。いつか話そうと思いながらここまで……。
カルスト大統領 そこまでの男だったということです。おかげで冒険者に説明する手間も省けました。

プレジデント、シドには敬語なんだ。

カルスト大統領 おそらく、ザイドの意図はフォルカーを呼び出すことだろう……。そのために、冒険者を追い払い、真実を告げる手紙を持たせた。しかしフォルカーのあの様子では、果たしてザイドと向き合う決心もつくかどうか……。

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カルスト大統領 フォルカーが迷いを断ち切るのを待ってる訳にはいかぬ。冒険者を襲ったザイドをひったててこい。

簀巻きにしちゃって良いでしょうかね?

カルスト大統領 罪人として扱うか、フォルカーの後釜に据えるかは私が決めよう……。
アイアンイーター プレジデント!それではあんまりです!隊長も、ザイドもこの国のために……。
シド そうだぞ、カルスト!おまえはそんな男ではないはずだ。一時の感情にまかせてそのような……。

感情にまかせてる…かなぁ?
フォルカーがザイドと会う確信が持てないし、いつになるか分からないのを待ってられないから、ザイドの方をこっちに連れてきてしまえ。って事でしょ?

カルスト大統領 これは……プレジデントの命令だ。二度は言わぬ。

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カルスト大統領 奴には人望がある。銃士ではこの調査は務まらぬ。有能な冒険者を彼の地に派遣しよう。闇の王を倒した冒険者なら……できるはずだ。
アイアンイーター ……。

カルスト大統領 行ってくるのだ……。再び決戦の地、ズヴァール城へ。
りぃ うん。