お、いたいた!コーネリアのおねえちゃーん……。
グンパじゃない!どうしてこんなところに?
おねえちゃんにちょっとお願いがあってね。もしいなかったら誰に頼もうかと考えてたところだったんだ。
なあに?また変なお願いじゃないでしょうね?どうもあなたは信用ならないから……
ひどいww
人聞きが悪いなあ。実はね……ウェライの消息を追ってほしいんだ。
ウェライって……あなたと一緒に住んでて、失踪したっていう?
……失踪じゃない。転生の旅だよ。だから、そのままのウェライにまた会えるとは思ってないんだ……。
でもね……どうしてもボクに何も言わないで出ていったのが納得できなくて、何か手がかりがないかって……。
ああ、なるほど。
転生したウェライに会っても語り部ではありえないから前世の事を覚えているはずもなく…。
だから、今までいたウェライが残しているかもしれない何かを探してるのか。
で、おねえちゃんに頼めばなんとかなるかもと思って。みんなの動揺を見てると、何か情報がないとこれからも混乱は続きそうで……。
あんなしょぼい偽物が現れただけであの騒ぎだったものね。
で、でも……そんなこと私の力じゃどうしようも……。
何言ってんの?おねえちゃん、プレジデントの娘でしょ?だったらそれぐらい頼めばなんとか……。
どうしてそれを!?
ばれてないと思っとったんかーい!!
まさか気づかれてないなんて思ってたの?そう思ってんの、おねえちゃんだけだよ。みんな知ってるって。
格好が派手で目立って覚えやすいしねぇ。
でも、だからってそんな自分の立場を利用するなんてこと、できるわけないでしょう!?
確かに、いつも自分だけで何とかしようとしてた。
どうして?いつも言ってたじゃない?ガルカのみんなの力になりたいって……。あれはウソだったの?それとも身分を隠してボクらのところにきてあわれんでただけ?
グンパがここまで言うなんて。
相当強い危機感を覚えてるのね。
グンパ!!そんな言い方ないでしょう!?私は自分の力で少しでも役に立ちたいって……。
そんなのただの自己満足だよ。自分が望もうが望むまいが、おねえちゃんはその立場にいるんだ。自分だけの力、なんてただの幻想だよ。
これはキツイ。
自分に与えられた力を使わないのは、ただの……逃げ……。
自分にブーメランがぶっ刺さったぁ!!
何!?言いたいことがあるなら言いなさいよ!
ごめん……つい言い過ぎた。ボクが言えた義理じゃないよね。今言ったことは忘れて……。自分でもなんとかしてみるよ。
アイツ、いっつも勝手なこと言って!!
それで、カルストには話をしたのか?
ううん、してない。だってそんなこと言えるわけが……。
んで、頼ってきたのがシドだったのね。
コーネリア……ただの技術者のわしにはどうするのが一番良い選択なのかはわからん。ただな……昔、こういうことがあった。
古い家屋の多かったバストゥークの、とある一画で、大規模な火災が起きた。その復興のために当時のバストゥークは予算をあまり割くことができなかった。
ふむ。
そこで出た案が2件。ひとつは、寄付、浄財による復興。
もうひとつは、商人たちにその地域での商売の優先権の約束と引き換えに出資させる方法。これが……まだ若かったおまえの父親、カルストの出した案だ。
賢いな!
どっちが正しいと思う?コーネリア……。
それは、人々の浄財を募った方が……。
それじゃ、わずかしか集まらないでしょう。
ふむ……それもひとつの答えだろう。当時の大統領も人気取りのためにも浄財を募る方法を選択した。
しかし半年以上たっても復興はすすまず、家を失い、路頭に迷う者も多く出た。
でしょうね。
結局最後にはカルストの案が採用され、その区域は復興を遂げたのさ。
そうでしょうねぇ…。
わしは技術者だから思うのだが……人は時々、本来の目的、完成品のイメージを見失う。そのパーツの選定時においてな。
世の政治家に聞かせてあげたい。
おまえにとっての完成品のイメージを忘れるな、コーネリア。そしてそれはおまえが決めることだ。
コーネリアは…超荒波に揉まれてるし、こうして頼りになる人がたくさんいるし、もしかしたら超成長して大人物になるかもしれない。
さて、おまえさんも関係ない話で待たせて悪かったな。報告はこちらでやっておく。
うん。ありがと。
この特殊強化サーメットを「完成品」をイメージするための手助けにするとしよう。
頑張れ。