昇進試験~軍曹 其の弐

リリルン んんんん?

リリルン んんんんんん?

リリルン いろんなニオイにまぢって……。オチショーのカオリがするよーな、ちないよーな、ですの……?

Sazog ……ん、なんだ?タルタルか!?

リリルン このヒトからおなじよーなカオリがするよーな……ですの?
Sazog なんだ、キキルンじゃないか。どうしたんだ?

リリルン あ、すいませんですの。あのう………。
Sazog ひょっとして、迷子になったのか?

リリルン ち、ちがうですの!あたくちは、おこさまじゃ、ないですわのよ!
Sazog 子供はみんなそう言うんだよ。

違う種族の年齢は分かんないだろうね。

Sazog じゃあ、その大人がこんな大通りでウロウロとなにしてた?まさか、ここでは言えぬことでも?

リリルン そ、それどーゆうことですの!?シツレーちちゃうわですの!
Sazog ならば、なんでそんなにムキになる?

いや、失礼だからでしょう。

街に来て間もないって可能性考えないのかな。
外から来る人が極端に少ないのかしら。
でも、マウラと船便が繋がってるくらいだからそんなことないよなぁ。

あ、キキルンが来るのが珍しいのかな。

Sazog ……どうも、怪しいな。ちょっと、衛兵所までご同道ねがおうか。
リリルン ぷんぷんですの!もうけっこうですわのよ!

あー、そっか。
この服着てるってことは、街を警備してる人なのか。
だから用心深いのね。

Sazog あ、こら!ちょっときみ、待ちなさい!
リリルン やですのーーー!!

あああ。
なんだか大変なことに。

リリルン タスケテですの!りぃさーーーん!

助けないわけにはいかない。

Sazog なんだ?邪魔するな。見世物じゃないぞ。
りぃ リリルンは何も悪いことしてないよ。

Sazog ……ん?さっきから、こいつが助けを求めていたのは……さては、お前だな。ふん、こいつの保護者というわけか?

保護者…。
こちらのキキルン、超一流調香師なのに。

キキルンを下に見る風潮とかあるのかな。

Sazog いいだろう。身分を証明できるものを見せろ。

アトルガンで証明になるものって……サラヒム・センチネルの階級章か。

りぃ はい。

山猫伍長バッジがキラリと光った!

Sazog おお、そのバッジは……。

Sazog では、こちらの方はあの妖兵会社……失敬。サラヒム・センチネルの客人かなにかか?

妖兵って!
正規兵の間ではそんな風に呼ばれてるのか!

リリルン あら?あたくち、ジャノメたんていちゃのきゃくぢんですのよ。
Sazog え?あの社長。最近は、探偵業まで手を?
りぃ はわわ。

Sazog ま……それはそれとして、たいへん失礼いたしました。どうぞ、この件は社長には内密に……。

ナジャ社長に秘密に?
皇宮御用達傭兵派遣会社だけあって、皇室に対して発言力があるってことか。

Sazog おお、そうだ!なにかお困りのご様子でしたが?私も仕事柄、市井には通じております。なにかお力になれるかもしれません。

~ かくかくしかじかタイム ~

Sazog ……なるほど、お師匠さまを探して……。
リリルン たちかに、たちかに、アナタからおなじカオリがするうるですの。

Sazog ですが、あいにく私は無風流にて香水などつけたことも……。
リリルン でも、なにかおもいあたることは、ありませんですの?その、カオリについて……。

Sazog ……う~ん。なにも思い出せないですが……

Sazog ここ最近かぁ……なにか匂いが移るようなこと、しただろうか……。
リリルン ……ああぁぁぁんですの。

リリルン タンテーさん、このヒトに、なにかジンモンちておもいださせてあげてほちいですの!

えええええ。

お師匠様はホワ~ンとフラワーのよいカオリだから食べ物は関係なさそう。
匂いが移るほどの香水をつけてる人と会ったなら気づくだろうし、まずは場所を聞いてみようかな。

りぃ 今日どこに行ったの?
Sazog どこに行ったって?あぁ、そうだっ!ひょっとして、あれかな……。
リリルン なにか、おもいだちまちて?

Sazog 実は私、休暇中、ナシュモに旅行してて、今朝、帰ってきたばかりなんです。いえね、なんであんなところに?って、同僚からはつっこまれましたけど……

Sazog その……実は、最近この街に増えてる、あの冒険者ってやつに憧れちゃって……。 恥ずかしながら、ナシュモまでプチ旅行して、冒険者気分を味わってみたって次第で。

なんと。

Sazog ま、彼らも最近じゃ、妖兵会社に、こき使われてる人が多いみたいで、それほど、気楽な稼業でもないみたいですけれど。

なんも言えねぇ。

Sazog おっと、失敬。
リリルン いえ、キにちなくていーんですの。つづけて……。

Sazog そのナシュモから帰るとき、キキルンたちに、わ~と囲まれたんですよ。いえね、最近も友だちのヒュームが、ここ皇都に帰っちゃったらしくて、彼らも寂しかったみたいで……。

昔は繫栄した港だったけど、疫病が流行って、ほとんどの人が町を出て、そこにキキルンが住み着いたのがナシュモらしい。
今も残る数少ない人が帰っちゃったのね。

Sazog その時、見送りに来てたキキルンの中の誰かから、匂いが移った可能性は十分ありますね。
リリルン ナシュモですのね、わかりまちたですの!

リリルン メータンテーりぃさん!さあさあ、まいりますですのよ!
りぃ うん。

リリルン まあまあ、おナカマが、たくさんですのね!

リリルン ふうーむ……うっすらとかすかにきえいりそうな、ほどなのですが……オチショーのカオリがするよーな、そんなキがする……ですの?

リリルン でも……いろいろなニオイがまざってて、よくわからないですわのね……。

リリルン それに……ちらべてまわろうにもこの、ボーダイなおナカマのカズ……。

ナシュモに来たの初めてなのね。

リリルン あたくち……チョーヂキ、なめておりまちたですの……。あたくちのタビは、ここまでですのかちら……。

リリルン そもそも、こんなひろいクニでニオイだけをてがかりにちて、ヒトさがちだなんて……ムリでちたの……?
りぃ そんなことないよ。がんばろ。

匂いで分かるなら、結構効率良いと思うんだよね。
話しかけることもなく選別できるし。

リリルン そ、そうですわのね!あきらめてはそこでオワリですわのね!

安西先生と同じこと言った。

リリルン さすがはメータンテーですの!ゲンバ100ペン、キキコミ100ニンのココロですのね~。

リリルン あ、ねえねえ、そこのあなた!
トトルン んー?

トトルンだ。

リリルン ちょっと、このカオリを、かいだことはないですの??

トトルン んんんー?あるるような、ないような……ないけどやっぱりあるるような……?
リリルン んも~、はっきりちないですのねえ。

トトルン はっ!

トトルン くふふ。

トトルン くふふふふふ!

な、なんだ?

トトルン いいこといいこと、おもいついたん!
リリルン ……いーことって、なんなんですの?

嫌な予感しかしない。

トトルン ぼく、そのにおい、しってるる。おもいだしたのだぞ!
リリルン まあ、ほんと?どこでかいだか、あたくちにおちえてくださらないですの?

トトルン しるたい?しるたい?じゃあな、あんまいもの、もってきたらおしえてやげるぞ。
リリルン あんまいもの??

リリルン あんまいもの……?りぃタンテーさん、どうちまちょうですの……??
りぃ 持ってくるしかないんでしょう。

リリルン まあ!ありがとうございますの。

リリルン でも……かんぢんの「あんまいもの」って、なんですの?
トトルン くふふふふ。あるざびの、ぷるん、ぷるるるるん!たぞ!

トトルン、走り去った。

リリルン ぷるるるるん……?あたくちには、なんのことだか、さっぱりなのですの……。

リリルン でも、こーいうとき、タンテーさんなら、きっとヒラメキ★ましたですのね?おねがいするですの。あたくちは、ここらでおとなちくまってるですの……。

名探偵だから、あらかじめ用語辞典で見て用意して来た!
パパーン!シュトラッチー!

トトルン わ!?シュトラッチだな!くふふふふ!まいどまいど、だぞ!

トトルン ぼく、そのにおいたたーばのうきぬぅ、でかいだことあるん。
リリルン うきぬぅ、のどこらへんなのですの?

トトルン ばしょはわすれたの……。

ええ。

リリルン ………。

トトルン でもでも、ぷかぷか、たくさんたくさんあるところ、だったな?
リリルン ……ぷかぷか??りぃさん、ぷかぷか、ってなんですのかしら?

あー、瘴霧の沼か。ナシュモ近くの真ん中に島があるあそこ。