
即死技使ってくるとか知らんかったもんよ。

……でも、ボク大した戦果だってまだ挙げてないんですけれど……
あれ?ファルズンだ。
どうしたんだろう。
おや、まあ!あんた、自分で気づいてないってのかい?
え?え?

やれやれ、能あるアプカルは爪を隠すってか?あんたには才能があるんだよ。
才能ですか……?
大鳥とかじゃなくて、アプカル…。
いまいち凄そうな感じが無いな?

そうさ!他の社員には内緒にしておいてほしいんだけどあんたは、我が社のエースなんだよ。
!?

エ、エース!?

つまりサラヒム社の希望の星ってわけさ。
ファルズンさん!すごいじゃないですか、星になるなんて!

ボ、ボクがエース。ボクは……星!でも、待てよ。星って空より高い……。

ダンッ!
そうさ!傭兵よ、大志を抱け!空よりも高く、羽ばたくんだよ!
そっ、そうですね!
ダンッ!
ファルズン!いや、ファルズン士官候補生!!
は、はいっ!
士官候補!?

さあ、これから、あんたは忙しくなるよ~。書類にサインしたり、教材をそろえたりっ!
ファルズンさん、教材の購入なら、僕に言ってくださいね。次回の給金から天引きしておきますから。
教材費を天引き?
えっ? えっ?

あっ……はい。

え、えと……。


ごめんなさーーーいっ!!
逃げた!!
よく分からないけど賢明な判断な気がする!

チッあたいとしたことが、急ぎすぎたよ。
あ、あの社長……。ファルズンさんをどうしましょう?

……。
い、いえなんでもないです~。
えと……えと……

あっ、りぃさん!ちょうどいいところに。
おや、渡りに船とはこのことだねぇ。特務曹長様のお出ましだよ。
最悪な場面で来てしまったらしい。
ほら、アブクーバ。
はい?

たく……モードΣだよ!
あ!

パンパカパ~ン♪りぃさんおめでとうございます!なんと、あなたは5000人の傭兵の中から選ばれ、サラヒム傭兵士官学校の社長推薦枠に内定しました!
ええ?
誰でも良かった感がすごい!

いやあ、あたいもずいぶん悩んだんだけどね~。やっぱり最後に残ったのは、あんたの名だったのさ。りぃ特務曹長。
みんなに言ってるんだろうなこれ。

あたいらも職務さえなかったら、通ってみたいもんだよ。華の傭兵士官学校にさ。ねぇ、アブクーバ。
え、ええそうですとも。

最新の設備。豪華な食事。親切で経験豊かな教師陣。まるで夢のようなエリート養成校ですから。
りぃ。当然、サラヒム傭兵士官学校に入学を希望するだろう?
士官学校ってなに?

慎重だねぇ。やっぱり、傭兵はそうじゃなくちゃ。戦場で生き残るのは、あんたみたいなヤツだよ。

アブクーバ。士官候補生殿に学校概要を説明してさしあげな。
了解です!

実はですね。我が社には「サラヒム傭兵士官学校」という系列の学校法人があるんですよ。
へぇ~。
学校といっても傭兵指揮官を養成するための私設訓練所に、毛のはえたようものなんですけれどね……。

で、通常、士官候補生は我が社専属のヘッドハンターが全世界から優秀な人材をスカウトしてくるんですけれど……。

(……実は今期、予算の関係で定員割れに……)
こっそり真実を教えてくれるアブクーバ人がいい。

アブクーバ!
ちゃんと聞こえてる。
は、はい~!だから、下士官や傭兵の中から適任者を選抜し入学者を募っている、というわけなんです。
あんたはラッキーだねぇ。本来なら、そりゃあ厳しい入学試験をパスしなきゃくぐれない狭き門なんだよ。

だけどねえ。あたいはあんたの可能性にかけてみることにしたのさ。その指揮官としての才能にね!
すごいじゃないですかりぃさんっ!未来の我が社をしょって立つ人材ってことですよ?
このまま傭兵稼業を続けても、あんたは下士官どまり。それはそれで、現場第一で立派だろうけど……

この学校を卒業さえすれば、高級将校への道が開けるんだ。あんたのその指揮の才このまま眠らせておくには惜しいだろう?
傭兵の指揮を執る?
傭兵会社と言っているけど、軍みたいな部隊を作るのを目指してる?
さあっ!そうと決まれば、早速、ご入学手続きだよ。アブクーバ、願書を持ってきな!

はっ、はい!いいんですよね、りぃさん?
怪しい…。

ダンッ!
……。

私ももう特務曹長。このくらいじゃ引かないよ。

おや?あんた、ちょいと足下見てみなよ!ひょっとしてそれ、アトルガン黄金貨じゃないのかい?
えっ?
ポッケから落ちた?

床には何も落ちていなかった!
おや見間違いだったかねぇ……。
??

ところで、アブクーバ。今りぃが頷いたように見えたのは、あたいの気のせいかい?
なっ、何ィ!!?
えっ?いいえ、りぃさんは確かに大きく首をたてに……。

そうかい、そうかい。そんなに、入学の御意志が堅いのかい。あたいも推薦のし甲斐があるってもんさ♪
とんでもねぇアウトローのやり方だ!!!

さあ。そうと決まったら、アブクーバ、手続きの準備だよっ。
かしこまりました!
アブクーバ、ガッツポーズじゃないんよ!

……アブクーバや、お待ち。りぃは確かに、あたいの推薦だけど特待生ってわけじゃないよねえ?
そ、そうでした……。

あ、あの、りぃさん。そのう……入学に際してはちょっとばかり費用をいただいてるんです。……すみません。
費用?

……まず入学金。アトルガン黄金貨1枚。それと、前期授業費。アトルガン黄金貨1枚。……あの~、前払いになります。
なんてこった!

それから教材費。給食費。実戦費。その他諸経費に雑費を加えましてアトルガン黄金貨1枚。
しめて、いくらだい?

ぜ、ぜんぶで……アトルガン黄金貨3枚です。す、すみません!
高ぇ!!!

おや、まあ驚きの安さってやつだねえ。まるで慈善学校みたいじゃないか?
そんなバカな!

さてと後はサイン、サイン、サイン。アブクーバ、向こうで手続きしておやり。あ、それから分割払いは認めないよ♪
入学決定してるけど、どうしてー!!

……こちら、カプラン。ドムズ08はエサを喰ったよ。
??? : こちら、ユラン。了解した……これでドムズは5匹。まだ、目標まで1匹足りないが……。

もう1匹かい?すでに袋のネズミだから、心配無用だよ。いま、ちょいと現実逃避してるのさ。
??? : ふん、くだらん。あとで叩きなおしてやる。
カプラン?
ドムズ08?
ユラン?
こちらって言ってるってことは、カプラン=ナジャ社長?
コードネームを使う通信って、一体…。

そんなことより耳寄りな情報があるのさ。さっき確保したばかりのドムズ08だけど……

ユラン……あんたの上官殿だよ。
??? : …………。用は済んだな?
??? : ザザッ……………………。

おお、こわ……。でもこれで仕込みは上々。あとは頼んだよ……。

ロンジェルツ軍曹♪
ロンジェルツ軍曹?
士官学校…一体何が起ころうとしてるのか?