
さて……りぃ仮少尉。総大将であるあたくしまでたどりついたこと。まずは校長先生、誉めてあげましょう。
ひとりで三人抜きしてるわけだものね。

生徒をこよなく愛するあたくしとしては、がんばった御褒美に貴方をこのまま卒業させてあげたい。けれど、けれど……残念ながら貴方には「特に教育的指導を手厚く」と理事長から、きつく御達しを承っておりますの。
えぇ…。
ですから……さあ、楽しい実習を続けましょう!

おやまあ、あなた連戦でおつかれではありませんこと?あたくし、つまんないですわ……。そうですわ!ちょっと試合を盛り上げて差し上げましょうかネェ。ホホホホ!
えっ、なに…?
自分のボムが膨張した!
相手のボムが膨張した!
自分のボムがさらに膨張した!
相手のボムがさらに膨張した!
自分のボムがぱんぱんに膨張した!
相手のボムがぱんぱんに膨張した!

ぎえー!

さあ~ッ!あなたの学生生活最後の時間……校長先生がエンジョイさせてあげましょ~♪
一発勝負か!
試合は、第1本目!
自分はボム『4』匹の爆発で負けそうだ。
相手はボム『4』匹の爆発で倒せそうだ。
そうよ、ゆっくり選んで……いったい、なにが出てくるのかしら?校長先生、胸がドキドキしちゃうわ。

あ、ちなみにアレをちょっとでも見せたら校長先生、容赦しませんからね?
アレを…。
はっ!
ナジャ社長、おばけが苦手じゃないですか。
ということはゴーストは絶対使ってこないわけで。
すなわち出してくる手はビートルかクラブ。
私はビートルを出せば負けることは無い。
切り札のビートル!!
霊銀色のクラッシャァァクラァァァブッ!

ビートル vs クラブ!
ビートルがクラブを打ち砕いた!!
よっしゃー!!

爆発した!!


コホン……
びくともしてない!!!

はい、そこまでッ!校長先生の「負け」とします。
あっ、あっさり。
では士官候補生のみなさん、全員集合!

みなさん!よくぞ、ここまで辛い訓練に耐えがんばり抜きましたネ!先生、みなさんのがんばりにと~っても感動しましたっ!!!

生徒のみなさんは誰1人とっても、我が社の中尉として恥ずかしくない実力の持ち主ばかり。

そ、それじゃあ……。

ええ、あたくしが太鼓判を捺します。みなさん全員に卒業資格がありますよ。
や、やった~ッ!!!

な~んだ、校長。けっこういいとこ、あるジャン♪

そこでッ!!みなさんには卒業の1枠をかけて……

潰し合ってもらいま~すッ!!
えぇ?

へ……!?
あら、やだ。最初に軍曹から伝えられてたでしょ?生き残った人数分だけ、卒業権利があるって。

だ・か・ら~♪公平に潰し合って、卒業生を決めましょ?ほら、にっこり笑って、ファイッ♪
つまり、バトルロワイヤルしろと。

誰も動かない。

待て!私は卒業の権利を放棄する。
えっ。
ほっほ~?そいつは残念だね~。

セレブ家……じゃなくてモニヨン家の再興はどうなるの?
玉の輿で頭がいっぱいなのか!?

確かに、私はこの士官学校に家の再興をかけていた。けれど、最後の実習BCGで一勝もできなかった。それは、私のどこかに慢心があったからだ。

だから、私はもう一度ゼロから別の道を探そうと思う。地道に努力を重ねていってね……。
な、なんと。
最初はあんなに、ザ・エルヴァーンだったネオザリヤが。

ネオザリヤ……。
努力することは格好いい。そう思えるようになった……。それだけで私はここに来た甲斐が十分あったんだ。

ファルズン。りぃ。君たち同期のおかげさ。
ボク、そんな……

ああ、なんて健気なの!薄幸の貴公子ネオザリヤ様ッ♪わたしも権利を放棄いたしますわ~。

えぇ?ちょっと、あんた、マジ!?
棄権する方に驚いているのか、ネオザリヤに入れこみ始めたのに驚いているのか?

けど……まっ、いいか。アタシたちだって一勝もしてないわけだしね。はいは~い!アタシも権利を放棄しま~す!

おやおや……これで、残り3人になったねぇ~。

あの……私も下ります……。
でも、ヤスミールさんはシルバーケトルを倒して……
あたしも士官学校に入ったのは他に目的があったからだった……。でも、もういいの。新しい目的ができたし……。
ぼ、ボクは……

ボクは放棄したくない!
おっ!
ファルズンが成長してる。いいね~!

傭兵になってからずっとりぃさんの背中を見てきた。一所懸命に追いかけてきた。それが、やっと……やっと、肩を並べることができたんだ!

ボクはみんなみたいに才能に恵まれてないし、こんなチャンス人生でもう二度と巡ってこないかもしれない。
恵まれてないことはないよなぁ。
体力オバケだし、賢いし。
臆病だから戦闘苦手だけど…もし幼いころ火事にあってなかったら、すごい戦士になってたかもしれない?

だからりぃさんと勝負したい!少しの可能性にでもかけてみたい!
受けてた…

な~んて、はは……やっぱり、いまのボクでは実力不足です。でも、りぃさん……
えーっ!

いつかきっとボクと勝負してくださいね!
うん。待ってるよ。
ファルズン……。

おやおや不戦勝でりぃに決定かい?つまんないね~。

それでは退学する生徒諸君は、約定どおり退学料を納めていただきましょうかネェ。
しまった!わたし、そんなお金ないよぉ……。
く……。

もちろん、払えない場合もご安心ください。強制労働コースもこちらに用意してございますからね。
ひえ…。
くうぅ、守銭奴め~!

待ってくれ、校長!

おや、軍曹。死人がのこのこ、なんのようだい?
こいつらはどいつもこいつも自分のことしか考えてない、ウジ虫やネズ公だった。
きぃぃぃっ!

だが、最後の最後に全員が自己犠牲と勇気という二枚羽を生やして見事に脱皮してみせやがった……。
突然のクサいセリフ。

確かに、こいつらはまだ士官として多くの点で資質に欠けている……。だが、少なくとも素質はある。卒業……いや、せめて留年を認めてやってはもらえないか……?
軍曹……。あんた、ボムの炎でオツムが過熱しちまったんじゃないかい?
確かに中尉の試験からちょっと甘くなってる気はしてた。
チョコボ数えるの、ファルズンとかできてなかったのに補習で合格になってるし、暗号のやつはみんなで喋っただけでOKだったし。
??? : ぼ、僕も計算してみました!

あん、なんだい?アブクーバ教頭。
アブクーバって言っちゃった。
こ、このまま、みなさんから退学料を徴収するより、入社してバリバリ働いてもらった方が最終利益は上がるんです。

あんたまでなに言い出すんだい?お黙り!

ひっ!い、いいえ……僕、黙りません。

どうでしょう?りぃさん以外の生徒は仮卒業という形で機会をあげては?

こ……これじゃまるで、あたいが悪者じゃないか!

ええいッ!たく、しょうがないネェ。ちょいと理事長に相談してくるから待ってな!
そこは設定守るんだ!?


話はコジャ校長から聞いたよ。アブクーバ教頭!ロンジェルツ教官!
眼鏡しか違いが無いのに…。

あんたらほんとにこいつらの士官の才能と我が社の最終利益を保証するんだろうネェ?
はっ、はぃぃぃ!
いまは亡き我が戦友に誓って……。

……ということは……

なにボケっとしてるんだい?さっさと卒業式の準備を始めんだよっ!