そろそろ顔を出すと思ってたよ。りぃ。で、どうなんだい例のプロジェクトの首尾は?
……あんた、まさかとは思うけど……我が社の大事なプロジェクトを忘れたってんじゃないだろうネェ?
ドゥザフ探すやつだよね。
おぉ~!頼もしいじゃないかりぃ中尉!聞いたあたいが悪かったよぉ。
なんたって「腹黒のドゥザフ捕縛計画」は我が社創立以来の、一大プロジェクトだからネェ!
金貨2000枚だもんねぇ。
さぁて、でその計画のことだけどちょいとおもしろいことに気がついてね。
ダンッ!
……!
アブクーバ!!
はっ、はいぃぃ!
人払いはしてあるね?
はい。聞かれる心配はありません。
そんなに機密情報?
よしっ。実は、地図を広げてドゥザフの目撃情報があった箇所を、アブクーバにマークさせていたときのことさ。あたいは、ある特徴に気が付いてね……。
結構堂々とうろうろしてたのね。
海から近いところ、しかも上陸に便利なところにそれが集中してたのさ。
そこで、あたいはひらめいたんだ。腹黒のドゥザフの正体は、ひょっとしたら巷で噂の……
ダンッ!
漆黒のルザフじゃないかってねっ!
気づいたぁ!
パチパチパチ
えっ、拍手?
…………。
(……早く。りぃさん、ここは拍手するところですよ……。)
えっ?
ぱっ、パチパチパチー!
ふんっ、まぁいいさ。あたいだって、この推理に絶対の自信があるってわけじゃあないんだ……。
もしも……もしもだよ?我が社の全兵力をつぎこんだあげく、間違ってたら……って思うとネェ。
我が社の経営状態をりぃにざっくり知らせておやり。
はい……この情報を集めるため、各地に傭兵を派遣したりキキルンから情報を買ったりで……経費が、かな~りかさんでいます!
2度も遠征する予算はサラヒム・センチネルにはもうないですー。
そんなに…?
聞いてのとおりさ。あたいたちは、空振りするわけにはいかないんだ。
回収できなかったらどうするんだろう…。
そ・こ・で、りぃの出番ってわけ。
あんた、以前ブラックコフィン号に潜りこんだことがあっただろう?……ほら、このグローリークラウンを聖皇さまから直に賜るきっかけとなった一件だよ。
私の冠ィ。
ようするに、勝手知ったる船ってわけだ♪
だから、あんたにブラックコフィン号を捜しだして調べてきてほしいんだよ。あたいの推理が当たってるかどうか?ってコトをさ。……やってくれるね?
わかったよぉ。
よく言った。それでこそ、ウチのエリート社員だよ♪
あっと、そうだ。あんた、たしか言ってたよネェ。ブラックコフィン号の連絡艇には「渡し賃」が必要だってコト。同じつてに頼るつもりなら、忘れないようにしなっ。
めっちゃ苦しんでるおばけのお墓にあったイフラマド王国のコインね。
……いいかい?我が社の浮沈はこのプロジェクトにかかってるんだ。なんとしても、証拠をつかんできておくれよ。
はーい。
もし、当たってたら、ウチの傭兵を総動員してドゥザフをとっ捕まえにゆくからねっ!
……ずっと、……寝たままだな……。
そっ、そんな近くで看病してるの!?
でも……前みたいに、うなされなくなったみたい。
めいかいノものデモゆめヲ、みルノカ?
……わからない。けど、この人もきっと夢にまで見てしまう、つらい経験をたくさんしてきたんじゃないかしら。マウは、そう思ってる……。
アヴゼン、めちゃくちゃルザフをつついてる。
提督のお加減は?
今は落ち着いてるわ……。
君らのおかげだ。感謝する。
ウム。
イフラマド式敬礼かな。
(……クソッ、審判の日も近いというのに……。)
えっ。
ドウカ、シタノカ?
いや、なんでもない。ご容態に変化があったら知らせてくれ。
自分たちの頭を心配してるわけじゃなくて、コマのひとつとして見てる感じだな…。
……心得た。
私は甲板にいる。
……ウウッ……。
ルザフ!?
……審判の……日…………行か……ねば……。