山猫の皮算用

ナジャ・サラヒム そろそろ顔を出すと思ってたよ。りぃ。で、どうなんだい例のプロジェクトの首尾は?

ナジャ・サラヒム ……あんた、まさかとは思うけど……我が社の大事なプロジェクトを忘れたってんじゃないだろうネェ?
りぃ ドゥザフ探すやつだよね。

ナジャ・サラヒム おぉ~!頼もしいじゃないかりぃ中尉!聞いたあたいが悪かったよぉ。

ナジャ・サラヒム なんたって「腹黒のドゥザフ捕縛計画」は我が社創立以来の、一大プロジェクトだからネェ!

金貨2000枚だもんねぇ。

ナジャ・サラヒム さぁて、でその計画のことだけどちょいとおもしろいことに気がついてね。

ダンッ!

ナジャ・サラヒム ……!

ナジャ・サラヒム アブクーバ!!
アブクーバ はっ、はいぃぃ!

ナジャ・サラヒム 人払いはしてあるね?
アブクーバ はい。聞かれる心配はありません。

そんなに機密情報?

ナジャ・サラヒム よしっ。実は、地図を広げてドゥザフの目撃情報があった箇所を、アブクーバにマークさせていたときのことさ。あたいは、ある特徴に気が付いてね……。

結構堂々とうろうろしてたのね。

ナジャ・サラヒム 海から近いところ、しかも上陸に便利なところにそれが集中してたのさ。

ナジャ・サラヒム そこで、あたいはひらめいたんだ。腹黒のドゥザフの正体は、ひょっとしたら巷で噂の……

ダンッ!

ナジャ・サラヒム 漆黒のルザフじゃないかってねっ!

気づいたぁ!

パチパチパチ

えっ、拍手?

ナジャ・サラヒム …………。

アブクーバ (……早く。りぃさん、ここは拍手するところですよ……。)
りぃ えっ?

ぱっ、パチパチパチー!

ナジャ・サラヒム ふんっ、まぁいいさ。あたいだって、この推理に絶対の自信があるってわけじゃあないんだ……。

ナジャ・サラヒム もしも……もしもだよ?我が社の全兵力をつぎこんだあげく、間違ってたら……って思うとネェ。

ナジャ・サラヒム 我が社の経営状態をりぃにざっくり知らせておやり。
アブクーバ はい……この情報を集めるため、各地に傭兵を派遣したりキキルンから情報を買ったりで……経費が、かな~りかさんでいます!

アブクーバ 2度も遠征する予算はサラヒム・センチネルにはもうないですー。

そんなに…?

ナジャ・サラヒム 聞いてのとおりさ。あたいたちは、空振りするわけにはいかないんだ。

回収できなかったらどうするんだろう…。

ナジャ・サラヒム そ・こ・で、りぃの出番ってわけ。

ナジャ・サラヒム あんた、以前ブラックコフィン号に潜りこんだことがあっただろう?……ほら、このグローリークラウンを聖皇さまから直に賜るきっかけとなった一件だよ。

私の冠ィ。

ナジャ・サラヒム ようするに、勝手知ったる船ってわけだ♪

ナジャ・サラヒム だから、あんたにブラックコフィン号を捜しだして調べてきてほしいんだよ。あたいの推理が当たってるかどうか?ってコトをさ。……やってくれるね?
りぃ わかったよぉ。

ナジャ・サラヒム よく言った。それでこそ、ウチのエリート社員だよ♪

ナジャ・サラヒム あっと、そうだ。あんた、たしか言ってたよネェ。ブラックコフィン号の連絡艇には「渡し賃」が必要だってコト。同じつてに頼るつもりなら、忘れないようにしなっ。

めっちゃ苦しんでるおばけのお墓にあったイフラマド王国のコインね。

ナジャ・サラヒム ……いいかい?我が社の浮沈はこのプロジェクトにかかってるんだ。なんとしても、証拠をつかんできておくれよ。
りぃ はーい。

ナジャ・サラヒム もし、当たってたら、ウチの傭兵を総動員してドゥザフをとっ捕まえにゆくからねっ!

メネジン ……ずっと、……寝たままだな……。

そっ、そんな近くで看病してるの!?

ナシュメラ でも……前みたいに、うなされなくなったみたい。

アヴゼン めいかいノものデモゆめヲ、みルノカ?
ナシュメラ ……わからない。けど、この人もきっと夢にまで見てしまう、つらい経験をたくさんしてきたんじゃないかしら。マウは、そう思ってる……。

アヴゼン、めちゃくちゃルザフをつついてる。

サラブワーン Salabwahn 提督のお加減は?
ナシュメラ 今は落ち着いてるわ……。

サラブワーン 君らのおかげだ。感謝する。
アヴゼン ウム。

イフラマド式敬礼かな。

サラブワーン (……クソッ、審判の日も近いというのに……。)

えっ。

アヴゼン ドウカ、シタノカ?
サラブワーン いや、なんでもない。ご容態に変化があったら知らせてくれ。

自分たちの頭を心配してるわけじゃなくて、コマのひとつとして見てる感じだな…。

メネジン ……心得た。
Salabwahn 私は甲板にいる。

ルザフ ……ウウッ……。

ナシュメラ ルザフ!?

ルザフ ……審判の……日…………行か……ねば……。