ブラックコフィン号だ。
かなり大きな船なのね。
ドンブラコッコー!ドンブラコーッ!!
お船は、進むよ~どこまでも~♪
アヴゼンのめちゃくちゃ元気な声がする!
呆れてる。
ドンブラドンブラ、ブラブラブラコーッ!
……お前たち……。……落ち着きがないにもほどがあるぞ……。
メネジンも呆れてるやん。
ドンブラドンブラ、ブラブラブラコーッ!
めねじんヨ!
……如何した?
モット、すなおニふなたびヲ、楽シムガよイ!
ドンブラドンブラ、ブラブラブラコーッ!
たのシイゾ♪
マウも♪
……そろそろ静かにしたらどうだ?
メネジンはお兄ちゃんから貰ったって聞いてから、宰相みたいに見えて仕方ない。
なにヲいウ。よろこビヲ、がまんスルナド、ぐノこっちょう!
そうよ、メネジン……。だって、この幽霊船ってば……
想像してたよりも、ずーっとわくわくする乗り物なんだもの!
あふまうヨ。まどノ、そとニ、なにガ、みエル?
アヴゼン、身長が足りなくてよく見えないんだな?
そうねぇ……あ、アヴゼン!あれってもしかして……ワラーラの火じゃない!?
ほら、また……あそこよ!
オオッ!ほのおガ、とンデル~!
あっ、あのでっかい絵だ。
……アフマウ。
なぁに?
何か報告に行ってる。
なんだろう。
あの3人元気すぎてどうしましょう。とかかしら。
なんダカ、ぶきみナえダナ……。
お城と街が……燃えてる……どこなのかしら?
まさか……アルザビ?
……違うな。……これは、なにかの寓意だ……。
うん、そうよね……。
ドウシテダ?
だってこの巨人みたいな塔は、なんだか動いてるみたいだし……。
……槍を構えている騎士なぞ空に浮いておるしな……。
両方とも存在してるわけだから、この絵は寓意ではなく史実?
……まって。巨人と、騎士……
巨人と騎士……。
そうよ!
ここに描かれてるのは鉄巨人アルザダールと冥路の騎士だわ!
鉄巨人アルザダール!?
やっぱりあの建物がアレキサンダー!!
デハ、モシカシテモシカスルト、コノえハ!?
ええ、たぶん……「審判の日」……。
……こいつは驚いた。その絵の主題を知っているとは。
ルザフ提督!
……ふっ。安心しろ。とって食ったりはしない。
…………。
お前の言うようにその絵は900年ほど前、この地で起きた審判の日を描いたものだ……。
900年前!?
アトルガンの初期王朝であるアルザダール朝の時代。
もしかして、冥闇の鏡を1回使ってみたら都市が壊滅したっていうの、審判の日の出来事!?
西方では、超新星ゴルディオスにより夜をなくした年……天晶暦元年として知られているな。
あっ、そうか。そんなに前…。
ちょ、ちょっと待って。今気づいた。
ゴルディオスって、アレキサンダー座の主星じゃないですか。
冥闇の鏡のお話、
「かけらは天にまたたき。かけらは地にかがやく。」
って、この天にまたたいてるのはゴルディオスですね!?
地にかがやいたかけらは…なんだろう?
知ってるもん……。……マウだって……。
マウ?それがお前の名か?
……無礼な!
あふまうサマ、トよベ!
驚いたな。その人形、お前が操っているのか?
マウのことお前って呼ぶなんて……!
れでぃニ、たいシテしつれいシチャウゾ!!
あ、ああ……。すまない……。
謝ったー!
……で、ルザフよ。……我々をどうするつもりだ?
おいおい。勘ちがいしてもらっては困る。 勝手についてきたのは、お前ら……。
…………。
アフマウ……たち、だろう?
勝手についてきたのはアフマウだけで、アヴゼンとメネジンは誘拐したじゃないですか!
じゃあ、ここで、マウたちを下ろしてよ。
……残念だが、それはできない。その双人形には最初から用があるからな。
それに人形を操るアフマウ……君も、今や無関係ではなくなった。
いイゾ!ドウセ、こうきゅうニハ、もどラヌツモリダカラナ♪
! 皇宮の関係者か……。
アヴゼン! シーッ……。
はっ、ルザフ、聖皇の首を取りたいんだったじゃないですか!
憎き敵が目の前に!!!
ヤバい。バレたらヤバイ。
でもまさかこの少女が聖皇とはこれっぽっちも思ってない様子…。
……まぁ、いい。部下には手を出さぬよう言っておこう。この船の中なら、好きにうろついて構わない。
待って!
なんで?なんで、あなたは海賊をしたり、アヴゼンをさらったり悪いことばかりしてるの……。
目的は、なんなの?
……目的……か……。
いずれ、わかる。アトルガン……いや、この世界すべての人間が知ることになる……。
いずれな……。
この世界全て…。
聖皇の首を取るのが最終目的では無いんですね?
しかしこの2人、なんだか仲良くなってきてない?