どこに不滅隊がいるか分からなかったから、適当にうろうろしてて最初に着いたのがハルブーン監視哨でした。
なにようじゃ?ここは「ハルブーン監視哨」。皇国軍の作戦領……はて?ヌシのその顔……誰ぞの使いか?
うん。
不滅隊への差し入れを差し出してみた。
Waudeenの険しい表情が緩んだ!
ほう、これはこれは……まさか、不滅隊への差し入れを持っておったとは。おヌシ、早うそれを言わぬか!
めちゃくちゃ喜んでくれた。
これはのう、はるか南方のゾワの国でしか採れぬ、貴重なオイルから作られたもの。えも言われぬ、よい匂いを放つのだ。
香水だったの。
わしらのように、いくさ場の死臭が染み付いた者にとって、もしも再び聖皇さまに目通りが適うた時、この不滅隊への差し入れは欠かせぬものとなる……
なるほど…。
ってか、親衛隊なのに滅多に会えないものなのね。
おお、そうじゃ!不滅隊への差し入れを届けてくれたおヌシにも、何か礼をせねばなるまいて。
ではひとつ、良いことを教えてやるかの。おヌシの後ろに、青く光っている紋様が見えるか?
うん。
あれは「移送の幻灯」といっての。遠方に人を飛ばす装置なのじゃ。詳しいことは、わしにもよう分からん……。王宮錬金術師どもが考案した、怪しき手品が一種よ。
ほほう。
じゃが理屈は兎も角、アレが便利なのは確かなこと。お主もいっぺん使うてみるとよいじゃろう。驚くこと、請け合いじゃ。なにせ、皇都までひとっ飛びじゃからのう。それに、一度でも皇都へ飛べば、あちらからこちらへも、飛んでこれるようになる。
便利が過ぎる。
ここ「ハルブーン監視哨」に火急の用がある時は、アレを使わぬ手はないぞ。
うん。ありがと。
よーし、帰るかー。
おやおや、その顔だと、無事に不滅隊への差し入れを渡してこられたようだネェ。
いやいやいやいや、あんた程の豪の者なら朝飯前の仕事だったかネェ!悪かったよお。
はっはっは。まぁねぇ~。
ねぇ、後生だからあんたの名前を教えとくれよ。さぞかし名の通った、冒険者だったりするんだろう?
そんなことないよ。
そんなぁ……もったいぶらずに教えとくれよ~。
しょうがないなぁ。
りぃ!なんて強そうな響きだろう!ねぇ、ねぇ、つづりはどう書くんだい?異国の名前は難しいから、ちょこちょこっとこの紙に書いてみとくれよ。
Rinlyは名前を紙にかいてあげた。
リンリィと書いてりぃと呼んでもらう。前世でも綴りは違うけど、りぃだったから。
フムフム……りぃ……か。なかなか、いかした名前じゃないか。
「ワタクシは……雨にも負けず、風にも負けず……矢にも逃げず、魔法にも怯まず……」
「蛮族どもが攻めてきたときは防衛し……攻めてこないときは遠征し……」んと……「健やかなるときも、病めるときも……呪われたときも、石化せしときも……」
「貴社、『サラヒム・センチネル』の発展に……この身を捧げることを誓います……」
フフン♪Rinly……、と。
えっ!?
う~ん。いつものことながら……か・ん・ぺ・き♪
えーっと、え?メモ用紙じゃなくて、契約書…?
いや、いつものことながらって。
つまりサラヒム・センチネルの傭兵は皆この手口で…!!
さて……、と。これで晴れて、あんたも我が社の「正社員」になったってわけ。
御入社おめでと~!
死んだときの音楽ー!!
さてと……りぃ二等傭兵。あたいの下で働くからには、それ相応の覚悟をしてもらうよ。
覚悟してないし、差し入れ成功したら待遇に色付けてくれるって言ったし!?
……ん?なんだか、不満そうだネェ。まさか「二等傭兵」ってとこがひっかかってんのかい?
それもあるけどそこじゃない!
ダンッ!
なめんなよっ!
!!?
あんたが西の国の騎士サマだろうが、銃士サマだろうが、魔戦士サマだろうが、んなこたぁ、あたいの知ったことじゃない……
ダンッ!
忘れてもらっちゃ困るのはあんたは傭兵としちゃ、ずぶの素人だってことさ。それがイヤなら、「アサルト」でもなんでもやって、あたいに結果を見せるこったね。
ええー!?
色付けないのかい!
ん?ハァ~。そうだった……まず、アサルトから教えてやんなきゃね。じゃあ、まずは基本中の基本から教えるよ。
いいかい?まず、これからあんたは「公務代理店」に 行くんだ。
……これは命令だよ。
強制!!
あんたのことはうちから連絡しておくから、そこで御公務の一覧が見れるはずさ。
あとは、その中から自分が「こなせそうな公務」を選び、依頼を受ければいい。
いいこと?りぃ二等傭兵。背伸びすんじゃないよ。あんたが公務を成功させなきゃ、うちにもマージンが入ってこないんだ。
心配してくれてのセリフかと思いきやそうではなかった。
……お分かりかい?
…。
不満!不満ー!
じゃあ、ぼけっとしてないで、ダッシュで公務代理店に行ってきなっ!
サラヒム・センチネルの社員になった!
だいじなもの:山猫二等傭兵バッジを手にいれた!
強制ーー!!
このあとアサルトの進め方の説明があったけど、本当に説明だけだったし長いので省略します。