悪魔と悪鬼と

カラババ オーホホホホホホ!……よござんす!わたくし、それで手をうちますわ。
ナジャ・サラヒム さすがは大使様。決断力があられて弊社としましても、おおいに助かりますわ♪

アブクーバ ナジャ社長とあんなふうに談笑できる人、初めて見ました……。(背筋に寒気が走るのは気のせいです?)
りぃ 気のせいじゃないと思う。

ナジャ・サラヒム なんて!なんてステキなんでございましょう。私どもの支社が中の国で営業!しかも!しかも、星の神子さまご公認!!

ええ?
そうか、全権大使だから決めちゃっていいんだ。

カラババ あらあら、いいんですことよ。ナバゴ処刑場ではりぃが、ほんとうに役立ってくれましたもの。

商談が進んだのは私のおかげ!?

カラババ こんな傭兵が来てくれたら我が国の、ふにゃけたミスラ傭兵団も気が引き締まるというものですわ。(まぁ、しょせんは、わたくしの弾除けでしたけれども。)

ナジャ・サラヒム そうでしょう、そうでしょう♪しかも、これでも弊社の勇猛な傭兵の中では中堅にすぎませんですことよ。オホホホホ。

本当に…?

カラババ で、どのように計画を進められますこと?
ナジャ・サラヒム そうでございますネェ。まずは場所の選定に社屋の設計、兵員徴募に組織編成……。

アブクーバ あの、社長……。

ナジャ・サラヒム 武器の調達に傭兵の調練、連邦軍との交渉に……。

アブクーバ ナジャ社長!

ナジャ・サラヒム なんだい、うるさいネェ!
アブクーバ いえっ、あの、それほどの任務となりますと……ウィンダス駐在のイブワム先輩では、ちょっと荷が重すぎませんでしょうか……?

ナジャ・サラヒム うっ……確かにそうだネェ……。

流石人事。全社員の能力を把握している。

ナジャ・サラヒム うーん……。

ナジャ・サラヒム うーーーん……。

カラババ オホホ。ずいぶんと、お悩みのようでございますわね。わたくしが、ズバッと解決してご覧にいれますわ。

シャントット様が?
ウィンダスの人を使うのかしら。

カラババ アブクーバッ!!
アブクーバ はっ、はいぃぃ!

!?

カラババ こちら、社員数は何人ですの?社員登録番号で教えてくださいますこと?
アブクーバ えっと、そ、それは……その、社外秘で……。

カラババ 早くなさい!
アブクーバ 弱りましたね~。あの、……内緒ですよ?

ナジャ社長、人選に気を取られて聞こえてないのかしら。

アブクーバ (ごにょごにょ……です。)
カラババ まぁ、そんなに!

そんなにいるの?
人数だけ多いのか、多いなりに凄腕の人もちゃんといるのか。

カラババ (でしたら、ちなみに、わたくしの、あの盾は何番ですの?)
アブクーバ えと、たしか……(ごにょごにょごにょ……です。)

カラババ あらっ、覚え易い数字ですこと。

えっ、何番なんだろう。

カラババ さて……わたくし、こちらの社員番号を使って人選のために占いを行ってさしあげますわ。

ナジャ・サラヒム !?

ナジャ・サラヒム 占い……で、ございますか?
カラババ ええ、そうですわ。これは、はるか古よりウィンダスに伝わる算術、魔数分解を応用した……それは当たると評判のありがた~い、えらび唄ですのよ。

すごそう。

カラババ ど・れ・に・し・よ・う・か・な♪

えっ?

カラババ ほ・し・の・み・こ・さ・ま・の・い・う・と・お・り♪

ええー!?

カラババ な・ぞ・の・た・ね♪よ・ろ・い・む・し♪あ・か・モ・コ・そ~♪

カラババ ま・ほ・う・う・って~♪バババンッ・ドガンッ・ズガンッ!!

ええええええ!?

カラババ ……でましたわっ!定めを背負いし者の番号が……。

そんなばかな!

ナジャ・サラヒム そ、それで大使様?い、いったい……誰なんでございます?その運命の傭兵というのは……。

カラババ それは……。
アブクーバ (も、もしかして……。)

カラババ (ゴニョゴニョゴニョ……。)
ナジャ・サラヒム ん!?その番号は……たしか、りぃ!!

アブクーバ (やっぱりです~。)

ナジャ・サラヒム よりによって……。
カラババ あら?その役目、この者には荷が重すぎるとでも?

ナジャ・サラヒム え?いえ。そんなことはないですけれども……。

ナジャ・サラヒム 大使様が盾と呼ばれるこのりぃは、聖皇さまの覚えめでたく謁見を賜ったこともあるほどの……ウチのエースでございまして……。

カラババ !?

キング・オブ・ハーツ ア★ノ ヨー★ヘイ キン★グ ヨ★リ ハイ★レベル ノ エンプ★レス ト コー★ト?

国際社会で王よりも皇帝の方が地位が上なのはヴァナ・ディールでも一緒なのね。

キング・オブ・ハーツ シカ★モ キン★グ ヨ★リ ハイ★レベル ノ エー★ス ダ★ト? オー★マイ ゴッ★デス!!

おおお!勘違いしてくれたぞ?
これでぶっ飛ばされなくなるかしら!?

カラババ ……そのお話。くわしく話してくださいますこと?

アフマウ …………アヴゼン!

アヴゼンいないから、メネジンがそばに控えてるのね。

メネジン ……どこにいる?

メネジン ……なにをしている?

キングとやりあった時みたいに通信できないのかな。
あれは、アヴゼンだけの機能?

メネジン ……誰を、頼ればよい……?

メネジン ……誰を、信じればよい……?

メネジン ……わらわは、なにをすればよい……?

わらわ?

いつも一人称わらわだよね。
聖皇の「真似事」…。うーむ。

メネジン アヴゼンよ……。教えてくれ……。

メネジンの方が高性能っぽいけど、自分で考えて動けるのはアヴゼンなのね。

ナジャ・サラヒム ……ええ、それでお目通りの噂が広まったおかげで、履歴書も山のように届くようになりまして♪

山のように!?

アブクーバ (本当は、社長が広めたんですけれど……。)

oh…

ナジャ・サラヒム それもこれも、この大使様の盾りぃの働きゆえでございますよ……。ですから遠地に派遣するのは、まさしく私の片腕を失うようなものでございます。

ナジャ・サラヒム けれどもウィンダスに支社を築き、聖都をしっかりとお守りすることもまた、これは大切な弊社の使命と心得まして……このナジャ・サラヒム、断腸の思いではございますが……。

カラババ なるほど!あなたのおっしゃりたいこと、わたくしにも、よ~くわかりましたことよ。

カラババ りぃが、聖皇と接触するだなんて、まったく……想定外でしたわ。
ナジャ・サラヒム え?ええ、そうですネェ。それはうれしいオドロキでございました。

カラババ こうなると、ますます当地でのりぃの重要性は増しますわね。
ナジャ・サラヒム ……ええ。それはもう…………ん?

カラババ オホホ。……仕方ございませんわね。わたくし、やっぱり、きっぱり、支社のお話、考え直させていただきますわ。

ナジャ・サラヒム ……ヘ!?

あら…。

カラババ あら、あなた。だって今さっきこう仰ったじゃありませんこと?「りぃを手放すのは、腕と腸を失うぐらい辛い」って。

ナジャ・サラヒム いえっ、それは言葉のアヤでございまして……。
キング・オブ・ハーツ イッエ★ース! ワ★タシ ノ メモ★リー ニ★モ シッ★カリ ホ★ゾン サレテ★マース。

ナジャ・サラヒム ちょ、ちょっと……お待ちください……!
カラババ 残念ですわ。こちらの会社に、ゆくゆくは我が連邦の国防を……そんな青絵画を描いた瞬間が、わたくしにもございましたけれど……。

カラババ まさか……あなたに腸と腕を失うような思いをさせてまでわたくしは……。
キング・オブ・ハーツ オー★! カラババ★サマ ノ ハー★ト ハ ラ★ヴ アン★ド ピー★ス デー★ス!

シャントット様が震える演技してる…!!!

ナジャ・サラヒム 大使様っ……まさか、まさか……ウチの支社の件はっ!?

カラババ う~ん。とりあえず~白紙?
ナジャ・サラヒム !!!!!

私が聖皇と接触したって分かったから、会社を作るなんて面倒なことをしなくていい。って判断したってことなんだろうけど。
嫌な予感しかしない。

カラババ それでは、わたくしこれにて失礼致しますわ。オホホ!

ダンッ!

ナジャ・サラヒム 待ちなッ!!

カラババ あら、困ったわねぇ、キングや。そろそろ準備しないと、宰相ご招待の晩餐会に間に合わなくなりますのに……。

そういえば、そもそも国賓として来たんじゃないですか。

ナジャ・サラヒム !!
キング・オブ・ハーツ トゥー★レイト! シツ★レー デー★ス! コク★サイ モン★ダイ デー★ス!

ナジャ・サラヒム …………。
カラババ そうですわね。それでは、みなさま。ごめんあそばせ~!

シャントット様の方が一枚上手だった…。

歴戦の黒い悪魔に対抗できる人っているのか?

アブクーバ (くわばら、くわばらです……。)

ナジャ・サラヒム …………。

ナジャ・サラヒム …………。

ナジャ・サラヒム …………。

ナジャ・サラヒム アブクーバッ!!
アブクーバ はっ、はいぃぃ!

ナジャ・サラヒム シムシムだよっ。シムシムをまきなっ!ここいら一帯、隙間なく清めるんだよっ!
アブクーバ はっ、はいぃぃ!

シムシムって、ゴマだって。
アトルガンではお清めの塩みたいに使うのね。

ナジャ・サラヒム んんん?

ん…?

ナジャ・サラヒム おやおやおやおや~?これはこれは、りぃ中尉さん。現地ガイド兼人間盾を、ちゃ~んとやり遂げられたそうですネェ?

ナジャ・サラヒム たったいま、大使さまからお褒めの言葉をいただきましたわ。さぞや、お喜びのことでしょう?

ちゃんと報告してくれたんだ。

ナジャ・サラヒム そして、きっとあたいからの褒め言葉も期待してらっしゃるだろうネェ?

ナジャ・サラヒム おあいにくさまだよっ!あたいは今、あんたの顔も見たくない気分なんだよっっ!!!

でしょうね!!

ナジャ・サラヒム とっとと失せて、あたいを1人にしとくれっ!さもないと……

めっちゃトゲトゲ振り回すー!!

ナジャ・サラヒム あんたの腕と腸をソーセージにして喰っちまうよっ!!

断腸繋がりーーー!!!