昇進試験~中尉 其の玖

コジャ・サラヒム さて……りぃ仮少尉。総大将であるあたくしまでたどりついたこと。まずは校長先生、誉めてあげましょう。

ひとりで三人抜きしてるわけだものね。

コジャ・サラヒム 生徒をこよなく愛するあたくしとしては、がんばった御褒美に貴方をこのまま卒業させてあげたい。けれど、けれど……残念ながら貴方には「特に教育的指導を手厚く」と理事長から、きつく御達しを承っておりますの。
りぃ えぇ…。

コジャ・サラヒム ですから……さあ、楽しい実習を続けましょう!

コジャ・サラヒム おやまあ、あなた連戦でおつかれではありませんこと?あたくし、つまんないですわ……。そうですわ!ちょっと試合を盛り上げて差し上げましょうかネェ。ホホホホ!

えっ、なに…?

自分のボムが膨張した!
相手のボムが膨張した!
自分のボムがさらに膨張した!
相手のボムがさらに膨張した!
自分のボムがぱんぱんに膨張した!
相手のボムがぱんぱんに膨張した!

りぃ ぎえー!

コジャ・サラヒム さあ~ッ!あなたの学生生活最後の時間……校長先生がエンジョイさせてあげましょ~♪

一発勝負か!

試合は、第1本目!
自分はボム『4』匹の爆発で負けそうだ。
相手はボム『4』匹の爆発で倒せそうだ。

コジャ・サラヒム そうよ、ゆっくり選んで……いったい、なにが出てくるのかしら?校長先生、胸がドキドキしちゃうわ。

コジャ・サラヒム あ、ちなみにアレをちょっとでも見せたら校長先生、容赦しませんからね?

アレを…。

はっ!

ナジャ社長、おばけが苦手じゃないですか。
ということはゴーストは絶対使ってこないわけで。
すなわち出してくる手はビートルかクラブ。

私はビートルを出せば負けることは無い。

りぃ 切り札のビートル!!
コジャ・サラヒム 霊銀色のクラッシャァァクラァァァブッ!

ビートル vs クラブ!
ビートルがクラブを打ち砕いた!!

よっしゃー!!

爆発した!!

コジャ・サラヒム コホン……

びくともしてない!!!

コジャ・サラヒム はい、そこまでッ!校長先生の「負け」とします。

あっ、あっさり。

コジャ・サラヒム では士官候補生のみなさん、全員集合!

コジャ・サラヒム みなさん!よくぞ、ここまで辛い訓練に耐えがんばり抜きましたネ!先生、みなさんのがんばりにと~っても感動しましたっ!!!

コジャ・サラヒム 生徒のみなさんは誰1人とっても、我が社の中尉として恥ずかしくない実力の持ち主ばかり。

ヤスミール そ、それじゃあ……。

コジャ・サラヒム ええ、あたくしが太鼓判を捺します。みなさん全員に卒業資格がありますよ。
ファルズン や、やった~ッ!!!

クベ・イジューラ な~んだ、校長。けっこういいとこ、あるジャン♪

コジャ・サラヒム そこでッ!!みなさんには卒業の1枠をかけて……

コジャ・サラヒム 潰し合ってもらいま~すッ!!

えぇ?

ファルズン へ……!?
コジャ・サラヒム あら、やだ。最初に軍曹から伝えられてたでしょ?生き残った人数分だけ、卒業権利があるって。

コジャ・サラヒム だ・か・ら~♪公平に潰し合って、卒業生を決めましょ?ほら、にっこり笑って、ファイッ♪

つまり、バトルロワイヤルしろと。

誰も動かない。

ネオザリヤ 待て!私は卒業の権利を放棄する。

えっ。

コジャ・サラヒム ほっほ~?そいつは残念だね~。

トカ・テルポスカ セレブ家……じゃなくてモニヨン家の再興はどうなるの?

玉の輿で頭がいっぱいなのか!?

ネオザリヤ 確かに、私はこの士官学校に家の再興をかけていた。けれど、最後の実習BCGで一勝もできなかった。それは、私のどこかに慢心があったからだ。

ネオザリヤ だから、私はもう一度ゼロから別の道を探そうと思う。地道に努力を重ねていってね……。

な、なんと。
最初はあんなに、ザ・エルヴァーンだったネオザリヤが。

ヤスミール ネオザリヤ……。
ネオザリヤ 努力することは格好いい。そう思えるようになった……。それだけで私はここに来た甲斐が十分あったんだ。

ネオザリヤ ファルズン。りぃ。君たち同期のおかげさ。
ファルズン ボク、そんな……

トカ・テルポスカ ああ、なんて健気なの!薄幸の貴公子ネオザリヤ様ッ♪わたしも権利を放棄いたしますわ~。

クベ・イジューラ えぇ?ちょっと、あんた、マジ!?

棄権する方に驚いているのか、ネオザリヤに入れこみ始めたのに驚いているのか?

クベ・イジューラ けど……まっ、いいか。アタシたちだって一勝もしてないわけだしね。はいは~い!アタシも権利を放棄しま~す!

コジャ・サラヒム おやおや……これで、残り3人になったねぇ~。

ヤスミール あの……私も下ります……。
ファルズン でも、ヤスミールさんはシルバーケトルを倒して……

ヤスミール あたしも士官学校に入ったのは他に目的があったからだった……。でも、もういいの。新しい目的ができたし……。
ファルズン ぼ、ボクは……

ファルズン ボクは放棄したくない!

おっ!
ファルズンが成長してる。いいね~!

ファルズン 傭兵になってからずっとりぃさんの背中を見てきた。一所懸命に追いかけてきた。それが、やっと……やっと、肩を並べることができたんだ!

ファルズン ボクはみんなみたいに才能に恵まれてないし、こんなチャンス人生でもう二度と巡ってこないかもしれない。

恵まれてないことはないよなぁ。
体力オバケだし、賢いし。
臆病だから戦闘苦手だけど…もし幼いころ火事にあってなかったら、すごい戦士になってたかもしれない?

ファルズン だからりぃさんと勝負したい!少しの可能性にでもかけてみたい!
りぃ 受けてた…

ファルズン な~んて、はは……やっぱり、いまのボクでは実力不足です。でも、りぃさん……

えーっ!

ファルズン いつかきっとボクと勝負してくださいね!
りぃ うん。待ってるよ。

ヤスミール ファルズン……。

コジャ・サラヒム おやおや不戦勝でりぃに決定かい?つまんないね~。

コジャ・サラヒム それでは退学する生徒諸君は、約定どおり退学料を納めていただきましょうかネェ。
トカ・テルポスカ しまった!わたし、そんなお金ないよぉ……。
ネオザリヤ く……。

コジャ・サラヒム もちろん、払えない場合もご安心ください。強制労働コースもこちらに用意してございますからね。

ひえ…。

クベ・イジューラ くうぅ、守銭奴め~!

ロンジェルツ軍曹 待ってくれ、校長!

コジャ・サラヒム おや、軍曹。死人がのこのこ、なんのようだい?
ロンジェルツ軍曹 こいつらはどいつもこいつも自分のことしか考えてない、ウジ虫やネズ公だった。

クベ・イジューラ きぃぃぃっ!

ロンジェルツ軍曹 だが、最後の最後に全員が自己犠牲と勇気という二枚羽を生やして見事に脱皮してみせやがった……。

突然のクサいセリフ。

ロンジェルツ軍曹 確かに、こいつらはまだ士官として多くの点で資質に欠けている……。だが、少なくとも素質はある。卒業……いや、せめて留年を認めてやってはもらえないか……?
コジャ・サラヒム 軍曹……。あんた、ボムの炎でオツムが過熱しちまったんじゃないかい?

確かに中尉の試験からちょっと甘くなってる気はしてた。

チョコボ数えるの、ファルズンとかできてなかったのに補習で合格になってるし、暗号のやつはみんなで喋っただけでOKだったし。

??? : ぼ、僕も計算してみました!

コジャ・サラヒム あん、なんだい?アブクーバ教頭。

アブクーバって言っちゃった。

アブクーバ こ、このまま、みなさんから退学料を徴収するより、入社してバリバリ働いてもらった方が最終利益は上がるんです。

コジャ・サラヒム あんたまでなに言い出すんだい?お黙り!

アブクーバ ひっ!い、いいえ……僕、黙りません。

アブクーバ どうでしょう?りぃさん以外の生徒は仮卒業という形で機会をあげては?

コジャ・サラヒム こ……これじゃまるで、あたいが悪者じゃないか!

コジャ・サラヒム ええいッ!たく、しょうがないネェ。ちょいと理事長に相談してくるから待ってな!

そこは設定守るんだ!?

ナジャ・サラヒム 話はコジャ校長から聞いたよ。アブクーバ教頭!ロンジェルツ教官!

眼鏡しか違いが無いのに…。

ナジャ・サラヒム あんたらほんとにこいつらの士官の才能と我が社の最終利益を保証するんだろうネェ?
アブクーバ はっ、はぃぃぃ!
ロンジェルツ軍曹 いまは亡き我が戦友に誓って……。

ファルズン ……ということは……

ナジャ・サラヒム なにボケっとしてるんだい?さっさと卒業式の準備を始めんだよっ!