工房長の秘密 其の弐

白タルの散歩道

りぃ こんにちはー。ロランベリー874取ってき…預かってきましたよー。

白タルの散歩道

ヒルダ これはロランベリー874!!本当にありがとうございます。なんとお礼を申し上げて良いやら…。早速代金を…。
りぃ いえ、大丈夫。これは頼まれて持ってきただけだから。

ヒルダ え?他の方から頼まれた?いったい誰が…まさか!その方は大工房の?
りぃ ばれてるよシド!!

白タルの散歩道

ヒルダ やはりそうですか。ここではなんですので、上でお話を…。

込み入った事情があるのかしら。

白タルの散歩道

ヒルダ 私の主人は、パルブロ鉱山のミスリル開発から得た資金でこの店を構えたのです。それができたのも、工房の先輩であったシドさんが弟のようにかわいがってくれたからだと…。

ご主人はきっと腕の立つ人だったんだね。

ヒルダ 20年前、パルブロ鉱山にさらに大きな鉱床が見つかり、鉱山開発から手を引いていた主人も陣頭指揮をとることになりました…。

一線から退いてたのに招集されたの?
戦争で人手が足りなかったのかな。

白タルの散歩道

ヒルダ しかし、そのとき不幸な事件が重なったのです。新しい火薬の暴発と、クゥダフの襲撃…。

パルブロ鉱山はもともとクゥダフの聖地で、そこで鉱石が取れるからってヒュムが支配したんだよね。その後クゥダフに取り返されて、今は再びクゥダフの支配下。
その取り返しに来たのが20年前だったのね。

それと同時に火薬が暴発して大惨事になったのかぁ。

りぃ ん?あれ?その火薬って、確か。

白タルの散歩道

ヒルダ おわかりでしょう?その新しい火薬の開発者がシド工房長だったのです。
りぃ ぅぉ…。

シドが作った火薬が原因でご主人が亡くなってしまったと…。
これは、うーん、シド…。

ヒルダ それは、工房長を恨むことがなかったと言えば、嘘になります。でも、主人は決して工房長を恨んだりはしませんでした。
りぃ うん…。

白タルの散歩道

ヒルダ これを持って行ってください。そして主人の残したこの店は私が守ります、と工房長にお伝えください。

りぃ 【悲報】シド工房長、キッパリと振られる

だいじなもの:書きかけの手紙を手にいれた!

白タルの散歩道

りぃ 残念なお知らせがあります。
シド ん?この手紙は…?

りぃ ヒルダさんのご主人の書きかけだって。
シド …。

りぃ 「主人の残したこの店は私が守ります」って。
シド そ、そうか、ヒルダさんがそんなことを…そんなつもりじゃなかったのにな。

ほう。どういうつもりだったと言うのかね君。

白タルの散歩道

シド すまんが、このことはみんなには黙っておいてくれよ。恥ずかしいからな。特にライバートには…。

恥ずかしいって。

可愛がってた後輩が自分の作った火薬の暴発で死んじゃって、事故とは分かっていても責任を感じていて、だから後輩の奥さんによくしてあげたい。ってのなら、恥ずかしがる必要が1ミリも無いよね。

恥ずかしいってことは、それもう、あんた。

白タルの散歩道

ライバート 工房長、何か言ったか?

ちゃんと聞いてた!

シド だあっ!おまえは気にせず研究しろ、研究!

ごまかし方が下手すぎる!
男子中学生カヨッ!

チリほども気にされてないシドに何か言えるとしたら…。

りぃ 仕事終わりに一杯ひっかけるのを口実に、会いに行っておいでよ。

自分で動かないと駄目よね。
追い返されたりはしないと思う。…たぶん。

りぃ あ、それと、シャツ着た方がいいと思う。