りぃ殿。先ほどは、失礼したでござる。我輩、あれから考えたでござる。
うん?
これはプロマシアミッションが進んだから発生してしまった星唄ミッション。
「主なき都」の直後に始まったから、結構前の話になります。
我輩の祖国を包まんとしている「虚ろなる闇」の件は……以前にノーグで聞かせてもらった「未来の破滅」の件と密に繋がる話ではござらぬか?
繋がりそうだねぇ。
虚ろなる闇によって世界すべてが包み込まれる未来が、とうとう来たのではござらんか?
えっ、もう?
まだ現在のイロハの影も形もないから、10年とか20年とか後の話かと思ったけど…そうか、イロハが生まれた時にはもう大変なことになってたかもしれないのか。
そういったことをイロハ殿に詳しく問いただしたい。
師匠、お待たせして申し訳ございませぬ。
テンゼン殿。私めはイロハ。
また会えましたな……。
むぅ?そなたとは初めて会うでござ……
……わかったでござる。未来において、我輩と面識があるのでござるな?
我が命があるは、テンゼン殿の御陰。最後の別れは、涙なくして語れませぬ。
イロハは言わないけど、多分テンゼンは…。
うぅむ。未来において、我輩も闇に飲まれる……そういうことでよろしいでござるか?
私めひとりを残し、皆が闇に飲まれ申した。
闇に飲まれるよりも、世界にひとりだけ残ってしまう方が辛くはないだろうか…。
覚悟はしていたでござる。やはり、そのような未来が到来するのでござるか。ああ、我輩の力及ばず……。
テンゼン殿、落胆いたしますな。私めが知る未来では、師匠とテンゼン殿は英雄でございます。
そのような英雄たちも突然クリスタルの中から現れた闇に翻弄されるほか、ございませんでした。
プロマシアミッションの闇なんて砂粒くらいだった。ってくらいの量の闇が溢れ出たのかな。
クリスタルの中…きっと母なるクリスタルよね。
小さな島にいた私めも為す術などなく、瞬く間に、世は滅びたのでございます……。
なんと……。
うーむ。
それなら、でござる!我等の手で、その未来を変えなくてはならぬ!
そのためにイロハは来たんだから、やってみせないとね。
イロハ殿!りぃ殿!このテンゼン、全身全霊を賭け、魂を燃やし尽くしてでも死力を尽くすこと、お約束するでござる!
ん?勾玉が。
あ、また。
ばばば、万事休す!?
オチツケ。
は、早くも、我が魂は燃え尽きたでござるか!?
オチツケ。
感じ入り申した!テンゼン殿の魂の力、勾玉に宿り申したぞ!
然れども……まだ、勾玉に宿る力は弱きものでございますな。プリッシュ殿のお力は、まだお借りになっておらぬのでございましょうか?
このイベントが起こった時は、テンゼンはまだプリッシュに会う前。
私めの未来において、プリッシュ殿のお力は特筆すべきものであったと師匠はおっしゃっておりました。
プリッシュ?それは、どこの誰でござるか?
なんと!テンゼン殿とプリッシュ殿の定めは、いまだ交わらぬところでございましたか。納得でございます。それが、勾玉に力が満たされぬ原因でございましょうか。
プリッシュなる者。ちょうどジュノにいるようでございます。
のわぁ!?
私めがお連れいたしましょう。ジュノ港でお待ちください。
また上から来て上へ帰っていった…。
イロハも平然としてるの、慣れてるんだろうな。
うむ……では、ジュノ港にてまた会おうでござる。
師匠。テンゼン殿は乗り気のようでございますし、是非とも、あの方のお力をお借りください。
うん。
未来における闇との最後の戦いにて、師匠とテンゼン殿が「醴泉島」へやってきてくださったから……私めは、ある力を受け継ぐこととなり、その結果、この時代に危機を報せることができ申した。
ある力。
って何だろう。
然れども、ここは、本来ならば私めが「居ない」はずの時代。
私めが「居る」ことで、如何に未来が変わり、定めの針が振れていくのか。大変に不安ではございます。
ただ、時代の中心であった師匠がいれば……しかと歩んでくだされば……おそらくは……私めなど「居て」も「居なくて」も同じ。最後の決断の時を迎えることができるでしょう。
闇に飲まれる未来は変えたいけど、イロハがいることで干渉してしまい、そこに至るまでに私が経験するはずだったことが失われては困るってことね。
師匠。お先にジュノ港へと参ります。では、御免。
うん。
あっ、ドクンッってなって、苦しそう…。
お願いでございます。プリッシュ殿に会うまでは、お待ちを……。
誰に言ってるんだ?
イロハをこの時代に送り込んでる誰か?
誰だ?